第六話 『怖がりみーちゃん』
みーちゃんの家から歩くこと十分くらい、俺は家に着いた。
割と近所だったことが驚き。
ドアを開けると、ぱたぱたとリビングから妹が現れた。
「ただいま~」
「お帰りおにいちゃん」
夕食を作ってくれていたのであろうい我が妹、金村 咲がわざわざ出迎えてくれた。
恰好はまだ中学校の制服のままで、黒髪ポニーテールで我ながら可愛い妹だと思う。
「夕飯もうちょっとまってね~」
「はいよー」
といった感じで、兄弟だけど割と仲も良く、喧嘩は基本しない。
恐らく両親に捨てられて、そういう家族とかの大切さがお互い身に染みて感じているからだろう。
俺はいったん自室に戻り、荷物を置いて軽くスマホをいじる。
十分くらいいじったところで、制服を脱いでハンガーにかけ、着替えを取り、風呂場に向かう。
脱衣所で服を脱いだ俺は、スマホで最近ハマっているアニソンを流し、一緒に風呂場に持ち込む。
音楽を聴きながら、シャワーを浴び、髪の毛と体を洗った俺は、風呂につかる。
「きもち~」
最近冷えてきたこの季節に、どっぷり肩まで湯船に使った俺、そして風呂場に響くアニソン。
まさに至福のひと時だった。
「はぁ~」
と、幸せをかみしめていると、
ピロリンピロリン
アニソンが流れていた俺のスマホが、LINEの通話が誰かからきていることを報せた。
「みーちゃん……?」
俺はなんで電話をかけてきたんだと、不思議に思いながらもその電話に出た。
「もしもしどーしたのみーちゃん?」
「あーくん助けて……!」
「大丈夫だよみーちゃん、落ち着いて状況を話せるかな?」
みーちゃんが今にも泣きいりそうな声音で助けを求めるものだから、俺はなるべく安心させるように返した。
「うん……。リビングのソファで寝転がりながらスマホ見てたら、台所の方からなんか物音して……」
「みーちゃん電話このままにしててね。俺今すぐそっち向かうから」
「うん。まってる……」
「大丈夫みーちゃん。さっき俺が守るって言ったでしょ?」
「うん。あーくんが守ってくれる」
さっきよりはだいぶ落ち着いた声になっている。
俺はみーちゃんとなるべく会話を途切れさせることなく、風呂から上がり、着替えてみーちゃんの家に向かった。