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第二十二話 『みーちゃんイヤホンを買う』

「あーくん、私もイヤホン欲しい」


 俺の上でみーちゃんがASMR動画を聴き始めてから一時間が経過したころ、俺のイヤホンを使って聴いていたみーちゃんがそのイヤホンを外し、突然そんなことを言ってきた。

 確かにこれからみーちゃんがASMRを聴くというのならばイヤホンは必須だ。

 その都度俺がイヤホンを貸すのもあれだし、そもそもその場に俺がいなかった時はどうしようもない。

 

「よかったら今からでも買いに行く?」

「うん!買いに行く!私のイヤホン!」


 みーちゃんはポンと俺の上から飛び降り、はしゃいだ様子で俺の腕を引っ張る。

 そうと決まれば早く行こうということだろうか。


「わかったわかったから、準備するから待ってて?」

「うん!……あ、でも私お金持ってきてないや……また今度にしよ?」


 そもそも出かける予定がなかったのだから、みーちゃんがお金を持ってきていないのは仕方がない。

 それに――


「俺が買ってあげるからいいよ。みーちゃんと付き合い始めてからまだ何にもプレゼントしたことないんだから」

「……ほんと?」

「うん、ほんとだよ」

「……いいの?」


 それでもやっぱり俺にイヤホンを買わせることに抵抗があるのか、みーちゃんは何度も申し訳なさそうに聞き返してくる。


「みーちゃんに一つ教えておこう、一緒に出掛けて何か買おうってなったとき彼氏は彼女に何か買ってあげたくなるんだ。だから、俺はみーちゃんにイヤホンを買ってあげたいし、みーちゃんは素直に俺にイヤホンを買ってもらうの。わかった?」

「そーなの?」

「そーなの!」

「わかった!ありがとあーくん!」


 実際どうなのかわからないが、なんとかそれっぽいことを言ってみーちゃんを納得させることができたから良しとしよう。

 それにイヤホンを買ってあげることくらいみーちゃんの笑顔に比べれば安いもんさ(名言)。

 むしろ俺が『みーちゃんの笑顔税』を納めるべきだろう(謎)。


「さ、準備してくるからちょっと待ってて!」

「うん!」


 さすがに彼女と出かけるのに部屋着はマズいから、最低限でもみーちゃんと並んで外を歩いてもいいような服に着替えるためそうみーちゃんに言ってから俺は部屋に向かう。

 何気みーちゃんと初めての外出デートだ……ちょっと緊張するな……。

 そんなことを考えながら俺は準備を済ませ、みーちゃんが待ってるリビングに戻る。


「お待たせみーちゃん、行こっか」

「うん!」


 初めての外出デート。

 こういう初めて事は一生記憶に残ってしまうから、みーちゃんにも本当に楽しかったと思えるようなデートにしたい。

 そう願ってしまうが故に生まれるプレッシャー。

 ただ、そんなことを考えてデートをしても、俺とみーちゃんどっちも幸せな思いはしないだろう。

 よし!楽しもう!ただ何も考えないでみーちゃんとデートをできることを楽しもう!

 失敗も一つの思い出だ!

 そうポジティブに考えた方が絶対いいよね!うん!

 そう俺の気持ちが整理できたところで俺とみーちゃんは家を出た。

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