第十九話 『下校』
「……」
「……」
こいつ、一緒に帰ろうといっておきながら、何一つ話さないじゃないか。
「なあ、いい加減に……」
「あっ君はさ、もし仮に昨日の子に告白されてなくて、私が予定通りあっ君の家で告白してたら、なんて返事してたの?」
「……それは、わからない」
そう。わからない。
その時の自分になってみないとわからない。
だってもしかしたら、告白されたことによって異性として捉えていなかった華怜が『実はこいつめっちゃかわいいな』ってなるかもしれないし、特に今までと感情は変わらないかもしれない。
確かに、今日華怜が俺にした衝撃の告白で華怜を女子として認識して、よく見れば可愛いなっては思ったけど、それは俺にみーちゃんっていう彼女がいるから思ったことかもしれない。
いなかった場合だって結果が変わるかもしれない。
だから、わからない。
「ただな、俺に今彼女がいるから言えることだが、お前って……その、普通にかわいいんだな」
「かっ、かわ、かわいい!?」
「もう一回言うが、俺に今彼女がいるから言えることだけどな」
正直今のセリフは恥ずかしかったが、華怜は俺に見られないように横を向き、両手をほっぺにあてていたので、たぶんバレてはないだろう。
顔は見えないが、耳が赤いから恐らく顔も真っ赤になってるだろう。
そして、華怜は調子を戻したように、
「あ、あたりまえでしょ。私は昔からかわいいよ!」
「お前は昔からしつこいんだよ」
「「ふっ」」
お互い思わず笑ってしまった。
空気も、いつもと変わらない元幼馴染との空気だ。
そんな感じで話していたら、いつの間にか家に到着していた。
咲は部活でまだ帰ってないから、咲が返ってくるまで華怜と二人きりだ。
別にやましいことは一切ないのだが、みーちゃんと二人の時とは異なる緊張感がある。
「上がってくれ」
「おじゃましまーす」
「あーくんおかえり!って、その子誰?」
あれ?なんで俺んちにみーちゃんがいるの?
「あ、お兄ちゃんおかえり。あ!華怜ちゃんだ!久しぶり~」
あれ?なんで部活のはずの咲が家にいるの?