第十八話 『巨乳 VS 貧乳』
「いいや、クリッサ一択でしょ」
「お前わかってないな智弘、クーシャしか選択肢はないもんだぞ?」
昼休み、俺と智弘は絶対に誰も来ないであろう校舎端っこの空き教室で、昼飯を食っていた。
そして、今話しているのが、今季からスタートしたアニメのヒロインキャラについての議論。
「これだからロリコンは、巨乳の魅力にそろそろ気づかなきゃ人生損するよ?」
「余計なお世話だ、貧乳ならではの魅力もわからないにわかに言われたくないね」
やはり、智弘とキャラクターについて語り合うと、必然的にこうなってしまう。
なぜなら、今の会話からわかる通り、俺は貧乳ロり好き、対して智弘は巨乳お姉さんキャラ好きだからだ。
こいつをいつかロリの沼にハメてやりたいと思ってたら、予冷が鳴った。
最初はアニメについて語り合い、そのあとにキャラクターについて語ってたら、気づいたら結構時間が経っていたらしい。
「そろそろ行くか、このわからずや」
「篤君にだけ言われたくないね」
まあこうやって互いの趣味を共有できる相手は、俺にとってとても貴重だ。
こういう言い合いだって、実は楽しかったりする。
◆◇◆◇◆◇◆
「……ねえ」
放課後。
すべての授業を終え、帰りのショーとホームルームも終わり、俺は帰るために荷物を持って席を立とうとしたとき、隣の席の華怜が、今にも消えそうな声で俺に訪ねてきた。
「な、なんだ」
明らかにいつもと表情が違う華怜。
やっぱりあの一件のことが原因か、俺まであの言葉を思い出してしまって、返事にちょっと詰まってしまった。
なにあんなこと言われただけで動揺してんだ俺!
一歩譲って俺に彼女がいなかったらそうなってしまうのも仕方ないが、俺にはみーちゃんという最高の彼女がいるんだ。
動揺している場合ではない。
こいつはただの元幼馴染で、俺はみーちゃんのことが大好き。こいつはただの元幼馴染で、俺はみーちゃんのことが大好き。こいつはただの元幼馴染で、俺はみーちゃんのことが大好き。
よし、三回繰り返せば大丈夫だろう。
何言われても動揺するもんか。
「あっ君の家に行くって言ったじゃん……。せっかくだから一緒に帰ろ……?」
「まあ、別にいいけど」
なんだよ華怜!いつもの威勢はどこにいった!
しっかし恋心ってこんなにも人を変えるものなのか?
まるで別人みたいだ。
「じゃあ……帰ろっか」
「……おう」
調子狂うぜこの野郎。
そんな感じで、変な空気のまま俺は華怜と一緒に帰ることになった。