第十六話 『いや待て、元幼馴染よ』
俺には幼馴染がいる。
いや、厳密にはいた。
「あっくんおはよう」
「うす」
隣の席の元幼馴染藍沢 華怜は、いつもと違う何かにやにやした顔で俺に挨拶をしてくる。
元というのにも理由があって、昔俺が中学二年の時まで、隣の家に住んでいたのだ。
中学二年の時に訳あって引っ越したのだが、そもそも華怜の両親は、俺の親父が高校の頃のクラスメイトだったのだ。
だから、必然的にその子供である俺、咲、華怜は昔からよく遊んでいた。
いや、俺は一人でゲームをやっている中、咲と華怜が仲良く遊んでいたといった感じだ。
「ねぇねぇあっくん」
「なんだよその、俺の弱みでも握ってるかのような顔は」
華怜がにやにやした顔で自分の栗色ショートボブをいじりながら、俺の顔をのぞいてくる。
ほんとなんでこいつの隣なんか……。
俺のクラスでは、クソハゲ教師のせいで一年に一回しか席替えをしないらしいので、華怜と隣になってしまったが最後、一年間もこいつと隣なのだ。
窓際の一番後ろをとれたのはラッキーだが、思わぬところでついてない。
「弱み?昨日小学生の女の子に告白されてたやつ?」
「はっ……、お前……!」
周りのみんなは雑談やらなんやらで、教室は喧騒に包まれてるし、華怜もそこまで大きな声ではなかった(恐らく俺だけに聞こえる声量で言った)ので、誰かに気づかれている様子はない。
しかしこいつ、見てたのか!?
嘘だろ……。
確かに場所が場所だったからあれだけど、あいつはその方面まで来ることはないはずだ。
じゃあなんで?
「お前ら席に着け~」
ちぇ、クソハゲ担任が来ちまったか。
詳しくはまた聞くことにしようと決め、隣を睨むと、てへっと舌を出して正面に向き直る。
こいつ後で覚えとけよ……!
◆◇◆◇◆◇◆
「あっくん強引~」
「誰のせいだ誰の!」
「周りの人たちに見られちゃってるよ?」
「知らん!」
朝のショーとホームルームが終わるなり、俺は華怜の手を掴んで人気のないところまで連れていく。
「で、なんでお前が昨日のことを知っている」
「見たから」
こいつ……!
「じゃあ質問を変える、なんでお前がいるはずのないところにいるんだ」
「久しぶりにあっくんの家に遊びに行こうとしたからだよ」
「そんなの連絡でも、隣の席なんだからその時にでも言えばよかっただろ?」
ふっ、これで言い逃れできないだろ。
と思っていた俺だが、次の華怜の言葉は俺の想像を絶するものだった。
「はぁ……まいったなあ。じゃあ正直に言うね、私昨日あっくんの家に行って、告白するつもりだったんだ」
「…………………………は?」
いや、……………は?
どゆこと……?
どうもロリコン勇者です。
すみません、訳あってみーちゃんとあーくんの年齢を一つ下げました。
みーちゃんを小学六年生から小学五年生に。あーくんを高校二年生から高校一年生に。
理由はもっと進んでいったらわかります。
まあ、みーちゃんが可愛い幼女という点においては変わらないので、皆さんよろしくお願いします。
レッツ幼女!