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第十四話 『照れるみーちゃん』

「ふぅ……」


 パンダパジャマみーちゃんと歩くこと十数分、ようやくみーちゃんの家に到着した。

 すれ違う通行人に二度見されたり、不審そうな視線を向けられたりと、いろいろ大変だったが、何とか無事にここまで来ることができた。

 それでも登校時間までまだ余裕があるので、俺も一緒にあがり、今度はみーちゃんが学校の準備をする番。


「あーくん昨日のリビングのソファでくつろいでていいよ」

「おう。サンキュ」


 そのまま、すたすたとみーちゃんは別の部屋に行ってしまった。

 俺はソファに腰かけて、部屋全体を見渡す。

 必要最低限の物しか置いておらず、家族写真とかも置いてなかった。

 恐らく両親の写真を見ると、思い出してしまうのだろう。

 お母さんに髪の毛をすいてもらっているみーちゃん、お父さんに肩車をしてもらっているみーちゃん、そんな不自由ない幸せいっぱいの家族だったのだろうと、何となく想像できた。

 だが、それ故に急な別れはきっとつらかっただろうし、悲しかったと思う。

 だからこれからは、その傷を癒せるように、俺がみーちゃんをたくさん笑わせて、たくさん楽しい思いをさせたいな。


「準備完了!」


 そんなことを考えていると、昨日と同じ小学校の制服姿のみーちゃんがリビングにやってきた。

 マフラーを首に巻き、手袋をつけて、いつでも行ける格好だった。

 俺もソファから立ち上がろうとすると、


「うりゃあ」


 俺のところに飛び込んできたみーちゃんにより、押し戻されてしまった。

 再びソファに座っている状態になった俺の膝上に座っているみーちゃんは、俺を笑顔で見上げていた。

 昨日からこのくらいのスキンシップが何回もあったとはいえ、やはり女の子特有の香りが鼻腔をくすぐり、動揺して顔をそらしたくなってしまう。


「小学校の校門前じゃあ恥ずかしいから」


 と言って、みーちゃんは俺の後頭部あたりに両腕を回し、しっかりロックして自分の方に引き寄せる。


「行ってきますのちゅうをここでしちゃう」

「って、え……」


 俺はされるがままに、みーちゃんの引っ張りに抵抗せず顔を近づけていく。


 ちゅ。


 そのまま俺のほっぺにちゅうをしたみーちゃん。

 昨日のみーちゃんの玄関前での別れ際の不意にきたやつと違って、されるってわかってながらだとすごく心臓がバクバクする。

 現にされた後のいまでも心臓が鳴りやまない。


「……」

「……」


 お互いが顔を赤く染め、視線を逸らす。

 って、みーちゃんも自分から行ってきますのちゅうとか言っておきながら何照れてるのさ!

 俺も照れてるけど!

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