第十三話 『よくできた妹だ』
「というわけでだな」
「というわけなの」
俺とみーちゃんは、ベッドの上で正座をして、目の前で同じベッドの上に仁王立ちしている咲に事の顛末を説明した。
俺の言い分は、眠ろうとしたら俺の部屋のドアが開いて、それがみーちゃんで、そのまま俺のベッドにもぐりこんできたから、咲の部屋に戻そうとするのも躊躇われたので、そのまま一緒に寝ることにした。
そして、みーちゃんはトイレに行って、その帰りに俺と先の部屋を忘れてしまって、間違えて俺の部屋に来ちゃって、まあいいかと俺のベッドにもぐりこんできたらしい。
確かに俺と咲の部屋は、廊下を挟んだ隣にあるし、ドアにもどっちの部屋かを区別する装飾だとか、ネームプレートもないので、どっちの部屋から出てトイレに向かったのか忘れてしまったのだろう。
「まあそういわれれば仕方ないか……。朝食できるからすぐ下に来てね」
そう言い残し、俺の部屋から去っていった咲。
ふう、咲も理解が早くて助ける。
それに、俺を信用してくれてるのか、『寝てるときみーちゃんにやましいこととかしてないよね?』とも聞かれなかったし(もちろんしてない)、朝みーちゃんが自分のベッドにいなかったのに驚いただけで、俺の部屋にいたのを確認したときは、少し安心していたようにも感じた。
「じゃあ制服に着替えるからちょっと待ってて」
「うん!」
制服に着替えている間、みーちゃんは俺の部屋を色々物色していた。
18禁系の物はもちろんないので、特に止めたりはしなかった。
だけど、小学生の女の子にこんな部屋を物色されるのってなんかむず痒い。
「みーちゃん準備できたよ。下いこ?」
「うん!また今度見てもいい?」
「みーちゃんがみたいならもちろんいいよ」
「やったー!」
本当に拒絶している感じじゃなくてよかった……。
一階のリビングに行くと、すでに三人分の朝食が出来上がっていた。
昨日の残りのカレーライスと、レタスの上に乗った目玉焼きに味噌汁、それと野菜ジュースといった、THE朝食が目の前のテーブルに広がっていた。
「「「いただきます」」」
そして、三人揃って各々朝食に勤しむのであった。
◆◇◆◇◆◇◆
「はぁおいしかった」
俺はすでに食べ終えていて、残りの野菜ジュースをゆっくり飲んでいたところ、みーちゃんが完食したっぽく、おなかを自分でポンポンたたいていた。
「先の目玉焼きの半熟加減は世界トップクラスでおいしかっただろ?」
「うん!咲ねーの料理全部おいしかった!」
「おそまつさまです」
言われた本人も、満足そうな顔で台所から応える。
「じゃあ行ってくるね」
「さきねーいってきまーす!」
咲があらかじめ早く起きて、一回みーちゃんの家によっても間に合う時間に起こしてくれたので、これから一回みーちゃん家に向かうことになった。
気が利くいい妹を持ったものだ。
しかしみーちゃん、パンダパジャマで外歩くの恥ずかしかったりしないのかな……。
着替えは家で洗ってしまってるし、泊まるって決まって持ってきたものがこのパンダパジャマと下着だけらしいから、仕方ないちゃあ仕方ない。
ま、いっか。