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ギャラクシーフォース  作者: こうえつ
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異世界からの来訪者

愛莉は禍々しい剣を頭上に構えると思いっきり刺し込んだ。

剣先は”Stars Logbook”を真ん中から貫いた。


「え? どうして……」

 動けずに居た私はその場にヘナヘナと座り込んだ。

 私が手にしていた本には、深々と小さな剣が刺さっている。

 さっきは貫いたように見えた剣先が反対側に飛び出ていない。

 愛莉が手を伸ばし、座り込んだ私を助け起こしてくれた。そして微笑む。

(いつもの愛莉に戻ったの?)


 剣を半分飲み込んでいるように見える”Stars Logbook”が青く輝き初め、霧のように光をまき散らした。

 いったん広がった霧は、なぜか私のまわりに集まり初め、少しずつ何かを形作って行った。そしてついには人の姿となった。愛莉がとても愛しそうに光から生まれた人のことを見つめている。

強い意思がこもっているように輝く銀色の瞳と、美しい銀色の髪。

「もしかして……フレイヤ?」

 私がつぶやくと、愛莉が頷いた。

「そうよ、悠里絵。あなたがフレイヤ。やっと思い出してくれたのね」

 私は首を振り、愛莉に聞いた。

「思い出す? なぜこんなことになったの?」


「時間も空間も無限に繋がっていると言ったらイメージできる? 未来と過去もリングのようにまあるく繋がっている。そしてそういうリングはたくさん並行して存在している。モイラと戦ってフォームを無くしたフレイヤは、繋がっていたここ、現代へと飛ばされた。フォームを持たず、エーテルだけでは長く存在していることはできない。すぐに魂が消滅してしまう。それで、まだ生まれたばかりの悠里絵の身体にフレイヤは融合した。その時に、悠里絵とこの世界を生きていくために、この世界に存在してはならない、光の神の記憶を捨てたんだと思う。自分がこの世界の災いとならないように。フレイヤの捨てた記憶が”Stars Logbooks”となった。悠里絵には本に見えているようだけれど、これは”力のある記憶”であって、実態を持たないはずよ。これを感じた人のイメージでどんな形にも見えるの。」


 驚く暇さえないくらいに、私の頭は高速回転をした。

 飛ばされたフレイヤのエーテル……。


「フレイヤが私の中に? これって逢えたっていうのかな?」

 こんな時に私は何を言っているのだろう。

 シルバーグレイの瞳のフレイヤが私のことを見つめている。

 たぶん、今、私の顔は赤くなっているはず。どうしよう。


 愛莉は微かな笑顔フレイヤに向けたあと、話を続けた。


「新しい神となったモイラは”混沌”を望んだの。表面の理性をはぎ取り、大脳旧皮質を目覚めせた。あの二人は、異世界に一番近いこの場所で、影響を受けて、今、自分の本能のみで行動しているわ。この世界に終わりが近づいている」

 愛莉の声に気が付き、近づいてくる時輪と八束の二人が見えた。

 迫りくる二人を愛莉は冷静に見ている。


「私はモイラの策略にはまって、十二次元上の世界から、この現代に飛ばされてしまったけれど、そのおかげで、フレイヤと再び逢うことが出来た。そして……私の姉妹とも。これは運命なんだろうね、あなたが強く望んだから、その身にフレイヤを宿した」

 剣を飲み込んでいる”Stars Logbook”を指差す。

「これで、時空は繋がったわ。まだ時空の穴は小さくて、私とあなた、そしてフレイヤのエーテルが通れる程の大きさではないけれど、シヴァが間もなく穴を大きくしてくれる。その時に三人で飛び込みましょう」


 愛莉は何を言っているのだろう? まったく意味がわからない。飛び込む? それも私と愛莉が一緒に?


「愛莉、私はフレイヤやあなと何か繋がりがあるの? ……教えて!」

 その時目前に近づいて来ていた、時輪と八束が、突然襲いかかって来た。

 私は愛莉に意味を問うチャンスを逃した。

「クク、そんな所に居たのか。二人とも。さあ、遊ぼうぜ!」

 時輪の手が愛莉に延びる。

 長い髪を空中になびかせて、愛莉は延ばされた時輪の腕をすばやく取って投げ打った。時輪の身体は大きな円を描くように、床に叩きつけられる。

 そのまま膝で首を押さえられ、時輪の動きは止まった。

 続けて襲いかかる八束の首筋には軽やかに手刀を入れる愛莉。

 後ろに吹っ飛ばされた八束は倒れて動かない。愛莉は静かに立ちあがる。


「大丈夫よ。気絶しているだけ。この世界では、私も普通の人間でしかない。光の神の力も制限されるわ。普段の力だったら、この子達は分子レベルで破壊されたかもしれないけれど。」


分子レベルで破壊……って。別次元の訪問者とは。おちおちケンカもできないなと思った。


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