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ギャラクシーフォース  作者: こうえつ
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バトルフォーム

フレイヤは椅子にもたれかかって動かない。


瞳は閉じられ、椅子の左右に流れる長い銀色の髪が微かに揺れている。

「警告」

 ”管理する者”の声がして、フレイヤは目を開けた。

「警告。システムに原因不明の異常が発生。メモリログを出力中。システムの再起動を推奨します」

 フレイヤの眉間が動いた。

(今なら前線も落ち着いている。敵の攻勢も無い。リブートするなら今か)

 考えは一瞬のことで、すぐに指示が飛ぶ。

「分かった。システムの再起動を許可する」

 ”管理する者”が再起動の指示を確認。

「了解しました。再起動の準備に入ります。障害確認用にメモリログを出力。システムの再起動を行います」

(メンテナンス以外でシステムの再起動をすることなど、ここ数百年は無かった。もしかして、アイリとモイラの異常と何か関係があるのか? ログ解析で原因が分かるといいのだが……)


”管理する者”の確認から数秒、メモリログの出力が終わったのだろう。

 フッと照明が落ち、あたりは真っ暗となった。クィィィン。微かな音をたて、艦橋の窓が空いていく。

「全スクリーンロスト。船外のモニタリングを目視に切り替えます。システム再起動開始に備え、艦橋のフロントをオープンします」

 再起動プログラムが進んでいく。

「再起動開始十秒前。システム復旧は九十秒後。システムロストします」

 オペレーターの声を最後に、全ての光と音が消える。窓の外では、閃光が漆黒の宇宙を走る黒と白の二色となって、モノクロームで幻想的な景色を織りなしている。


「美しいものだな」

 フレイヤがつぶやくと、それに応える者がいた。

「そうですね。本当に美しい。あの閃光の先で、誰かが命を落としているというのに」

 闇の中で悲しそうに、美しい声が響いた。フレイヤが静かに問う。

「アイリか? それともモイラなのか?」

 しばしの沈黙の後、返事があった。

「どちらだと……いや、どちらに傍に居て欲しいですか? フレイヤ」

 船外で閃光が走ると、その整った姿が見えた。フレイヤが何か言おうとしたとき、オペレーターの声が艦橋に響いた。

「システム再起動しました。これより動作チェック及び状況確認に入ります」

 システムのチェック音が響いた。コントロールルームに再び灯りが戻ったときには、もう謎の女の姿はなかった。

(夢を見たのか?)

 フレイヤは、たった今、話をしたばかりのアイリのことを考えながら、メインスクリーンを見ていた。

「システム再起動完了。現在の状況を確認。ターミナル回復。フレイヤへの再接続を開始します」


 十二のターミナルからフレイヤに向けて情報が送信され始めた。その時、突然、オペレーターが危険を告げた。

「緊急。敵旗艦アガレス、距離二百kmに接近」

「なに!」

 フレイヤが険しい顔をした。

「報告。ヴァレットを起動します」

 オペレーターが、自動反撃システムの起動を宣言した。マスティマには危機察知と同時に、自動で起動するシステムが幾つかある。ヴァレットは、その中でも最も早く適用される、自動戦闘システムだった。隕石の接近など、衝突の危険を及ぼすものが突然現れた場合には、それを破壊する。

「光子ガトリング起動。光ビット装填。照準オート。攻撃を開始します」

 オペレーターの声が船内に響く。マシンガンのように連なる、光の弾丸が装填されていく。ガガガガガガガガガガン

 光ガトリングによる攻撃が始まった。一分間に二百五十六発の光弾を打ち込む。

 だがアガレスの強固なシールドは光ガトリングの強力な攻撃を吸収してしまった。

「報告。アガレスへのダメージ、0.2%。効果的なダメージを与えられません」

 オペレーターの戦況報告に、フレイヤが指示を出す。

「他のウェポンを選択せよ」

「警告。距離が近すぎます。他のウェポンを選択できません」

「警告。アガレスが距離を詰めてきます。接触まであと三十秒」

 フレイヤが叫ぶ。

「緊急指示。艦内を迎撃体制へ移行せよ。敵が乗り込んでくるぞ!」

「了解しました。対象クルーのフォームを、”守る者”に変換します」

 敵の艦内への侵入を許し、白兵戦になってしまった場合に備え、艦内を守る兵士として戦うためのフォームを“守る者”と呼んだ。緊急時にのみ、”力を生む者”及び”管理する者”から選択され、フォームとスキルが接近戦闘用に変更される。


鈍くも大きな衝撃で船が揺れた。

アガレスが、マスティマのシールドを突き破って激突してきたのだ。

ぶつかり合い、大きく揺れる二つの巨大艦船。

 軌道を逸れた、巨大な二つの船は宇宙を高速で流されるが、それをものともせずに、アガレスはその船体をマスティマ内部へと押し込んでいく。


「艦内の生体反応をスキャンせよ。敵を探せ。攻撃には光剣を使用し、重火器は使用を禁ずる」

 フレイヤがマスティマの内部を破壊しないように、”守る者”が使用する武器の限定を指示する。オペレーターの声が船内に響く。

「警告。船内への敵テレポートを確認」

「“守る者”に迎撃させよ。船内テレポートシステムの使用を許可する」

 フレイヤが自分専用のコンソールを呼び出す。

「フレイヤ、強制ログアウト。フォームを、”戦う者”へ変更する」

「了解しました。フレイヤ、強制ログアウト。光のメサイヤを起動します」


 船内上部から十二の光球が降りてきて、フレイヤの周りを静かに回り始め、少しずつ回転を速め、輝きを増しながら、フレイヤの胸の辺りまで降下していく。

 フレイヤは立ち上がり、光球に向かって手のひらをかざすと、十二の光球が力の循環を描き始める。やがて光球は一つの透き通った魔法陣になった。 フレイヤを中心に輝き、回転を続ける魔法陣。力の循環は続き、フレイヤの身体に光を纏わせていく。徐々に変化するフレイヤの姿。同時にスキルと知識も変更されていく。


「ウェポンはマサムネブレードを選択」

 フレイヤの言葉で、光の刀、マサムネブレードが出現した。

 フレイヤの胸に十二の翼を持つ光の天使の姿が浮かぶ。白き艦隊の戦旗、十二翼の光の獣の姿だ。光の艦隊で最高の戦闘力を持つ”戦う神”へとフォームチェンジが完了した。

「テレポート開始!」

 フレイヤが命じると、強い光がフレイヤの体を包み、光の瞬きがフレイヤの身体を飛ばした。


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