神扇VS芽彩 1
「芽彩さんと勝負することになったー?」
芽彩ちゃんと勝負の約束をした翌日、僕は生徒会室に来ていた。そして千莉に昨日のことを話した。
「なんでそうなったの?」
「えーと、それは……」
まさか、年下の女の子の推しに折れたとは言えるはずもなく、
「もしかして、なんかしたの!?」
「し、してないよっ」
「……じゃあ、なんでよ」
「実は……」
神扇は昨日知った芽彩の話を全て話した。
「……なるほどね、大体の事情は分かったわ」
千莉が納得してくれたのでほっとする。
「でも、勝負か……」
「なにか心配でもある?」
「神扇くんは芽彩さんの能力を知らないものね」
「大丈夫だと思うけど」
「うーん、……まあ、いいか」
千莉が一人で納得していた。
「戦うのはいいとしていつなの?」
「えーと……」
「なんで、目を逸らすの?もしかして、今日とか言わないでしょうね」
「うっ……」
「え、ほんとに?」
神扇は小さく頷いた。
「嘘でしょっ!?」
「そ、そんなに驚くこと?」
「あのねぇ、決闘は生徒会長の許可がなかったらできないの」
「生徒会長の許可……じゃあ、千莉さんの許可がないとだめってことか」
「そういうこと」
「それじゃあ、大丈夫だね」
「まさか許可するとでも?」
「してくれないの?」
「まあ、許可しないわけにはいかないわよね」
「結局してくれるんじゃん」
「学園一位と噂の編入生だからね。見てみたいわよ。それに……」
「それに?」
「神扇くんの本当の力が分かるかもしれないしね」
●●●
「というわけで今から勝負しよう。芽彩ちゃん」
「今から?」
「うん」
「分かった」
「僕は先に行っとくね」
神扇は練習場へと向かった。
(ちょっとわくわくするな)
(たしかにね)
(学園一位だもんなー、そうそう戦える機会なんてないぜ)
(できるだけ、頑張ってみるか)
(お、俺は出なくていいのか?)
(アマノトは今回は出ちゃだめ)
(なんでだよ)
(僕の実力を示さないと)
(なるほどな。けど気を付けろよ)
(うん、分かってるよ。やばくなったら替わるから)
(そうか)




