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最弱になりすました最強  作者: 士奈
第1章 編入
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嵐の前のラブコメ

神扇(かおうぎ)が魔法を使えないと知られてから一週間。学園の生徒たちのほとんどが神扇を蔑んだ。

だが、神扇は気にすることなく過ごしていた。


「………?」


昼休み、一人で静かにご飯を食べていると声が聞こえた。声のするほうに向かうと複数人の男子生徒が一人の女子生徒を囲んでいた。


(うわ、嫌なとこ見ちゃったよ……)


(助けるのか?)


(見たからにはね)


アマノトと少し会話をし終わったあと神扇は男達のほうへ寄り、声を掛けた。


「あの~……」


「あぁ?なんだてめえ」


リーダー格の男が神扇を見て威圧する。


(なぜかめっちゃ切れてらっしゃる……)


声を掛けただけなのにすごくガンを飛ばされた。なぜだ。まだなにもしてないのに。


「その()を放してもらっても……」


「だめに決まってんだろ。これから俺たちが楽しむんだからよォ」


リーダー格の男はそう言って少女の腕を掴む。


「っ、………」


少女は怖いのか少し涙目である。


「へへへっ、そそるねぇ。……おい、お前らあいつを黙らせろ」


リーダー格の男は他の男子生徒に命令した。


「では、楽しむとするか……」


少女に近づこうとすると後ろから声がした。そして肩に手を置かれた。


「だから、放せって言ってるんだよ」


「なっ……!?」


男が驚愕する。


「てめぇ、あいつらをどこに……!?」


男は続きを言えなかった。なぜなら神扇の後ろに倒れ伏している複数の男子生徒がいたからである。


「てめぇ、なにしてくれてやがんだ!」


男が殴りかかろうとすると神扇はその拳を片手で受け止めた。


「なにって……向かってきたからちょっとやっただけだよ。自己防衛さ」


(ぐ、こいつ全然動かねぇ)


男が体重を前に掛けて押し込もうとするが一歩も動かない。


「な、めるな、よ!」


男の手の平が淡く光る。ドォンっ!と音がして目の前に土煙が立つ。魔法を使ったのだ。


「ハハッ、これで終わりだ」


男はそう言って煙が晴れるのを待つ。


「なっ!」


煙が晴れるとそこには誰もいなかった。そして男の肩に再び手が置かれる。


「今のはちょっと危なかった」


(な、なんだこいつは!?)


男は一歩も動けない。神扇がものすごい力で押さえているから。


「暗技『(くさび)』」


神扇は男の頭を持つと地面に埋め込んだ。


「あ、ぐ……」


頭を地面に埋め込まれた男はまるで杭のようだ。

神扇は男をほっといて少女に声を掛ける。


「大丈夫?」


少女に手を差し出すと少女は震えながらも神扇の輝を掴んだ。


「よっ、と」


神扇は少女を立たせた。


「おい、なんか凄い音がしたぞ」「あっちのほうだ」

「先生呼ばなきゃ」「喧嘩か?」「さあ?」


あちこちから声が聞こえる。


(やばい!人がくる。騒がれるのは嫌だから……)


「ちょっとこっち来て!」


神扇は少女の手を握ると走った。


「え、あ……」


少女は戸惑いながらも引っ張られるようについて行った。


●●●


「はあ、はあ、ここまでくれば大丈夫でしょ」


神扇と少女が隠れたのは校舎裏だった。


「あ、あの……」


「ん、なにかな」


神扇が域を整えていると少女が声を掛けてきた。


(……改めて見ると可愛いんだよなぁ)


艶めいた黒髪は結わずに下ろしていてカチューシャを付けている。結わないから目が見えないんだけど(カチューシャの意味ないよね)、微かに覗く瞳は綺麗な色をしていた。年下なのか背は小さい(可愛らしい)。あと、肌がとても白い。日差しを受けたことがないってくらい白い。


「えっ、と…あの……ありがとうございます」


お礼を言ってきた。


「え、ああ」


神扇が素っ気なく返すが気にした様子もなく、さらに少女が言う。


「な、なにかお、お礼をしたいなと……」


(なんだかやけに声が小さいな。人見知りかな)


「お礼なんて別にしなくても……」


「そ、それじゃ私の気が収まりません!」


少し強めに言ってきた。


「えー、どうしようかな……?」


なんかないかなと考えていると


(あ、……これでいいや)


一つだけ思いついた。


「じゃあ……」


「は、はい」


少女が少し不安そうにしている。


「大丈夫。そんな大した事じゃないから安心して」


「わ、分かりました」


少女はそう言うがやっぱりまだ不安そうだ。


「君の顔を見せてほしいんだ」


「……え」


少女が驚く。


「だめ、かな」


「あ、いえ少し驚いただけで」


「じゃあ、見せてくれる?」


「わ、分かりました」


少女が震える手で前髪に手を当てると前髪をあげた。

少女の瞳は色違いだった。いわゆるオッドアイ。右目は碧で左目は金色だった。とても綺麗で神扇は一瞬その瞳に見とれていた。


「・・・・・・」


「あ、あのやっぱり変ですよね……」


「いやいや!変じゃないよ。すごく……綺麗だ」


「っ……」


少女が顔を赤くする。少女が俯いたので瞳が隠れてしまった。


「あ!もっとよく見せて」


神扇はそう言って少女に近づくと前髪を触ろうとした。


「えっ……」


少女は少し後ろに下がったのでそのせいで神扇とともに倒れてしまった。


「うわっ」


「きゃっ」


ドスンと軽く音がした。


「てて……」


神扇は頭に手をやりながら体を起こすとそこには前髪がなく、綺麗なオッドアイが再び神扇の目の前に映り込んだ。


「やっぱり綺麗だ……」


神扇はそう言ってさらに近づいた。


「ふぇ?」


少女が変な声を出す。神扇はそれに気付かないままじっと少女の瞳を見つめた。


「・・・・・・」


「~~~~~~」


少女がトマトのように顔を赤く染める。


「あ、あの!」


「・・・・・・」


「そ、そろそろどいてください!」


「え、あ……」


少女の声で我に返った神扇は今の体勢に気が付いた。

少女を被さるようにして至近距離で見つめる男。


(……うん、これやばいやつだ)


「ご、ごめんね」


神扇はさっさと上からどいた。そして謝る。


「い、いえ……」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


気まづい沈黙が流れる。


「ぼ、僕はそろそろ行くね」


「あ……」


神扇は逃げるようにそこから去る。少女がなにか言いたげだったが関係ない。


「にしても綺麗な瞳だったなぁ……」



●●●


少女は神扇が去ったあともそこに居ており胸に手をやっていた。顔がまだ微かに赤く、苦しいのか胸の手をぎゅっと握る。


「先輩………」


神扇は知らぬ間に少女の心に種をまいたのである。


<hr>

作者からのあとがき

なんかあとがき書くのめんどくさいな(なら書くなよ)。まあまあ。

今回はラブコメ重視にしてみました。次はバトルシーン重視で書きます!絶対!

最後の一文はわからない人もいるかもしれないので説明しときます。単純に初恋みたいな感じの比喩です。恋愛はしたことないけど頑張って考えました(考えた時間は2分ぐらい)。

では次もお楽しみに~



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