名前と属性
目を開けると見知らぬ男性と女性がいた。
その2人は僕のことをとても優しい目で見ていた。
「私達の息子…やっと会えた。よく頑張ったなぁ」
男性の方が僕と女性に言った。男性はやや緊張気味に僕の頬をプニプニと指で触っている。
「あなた、私達の息子です。とても可愛らしい…どうか名前をつけてあげてください。」
2人はどうやら僕のこの世界での両親らしく、僕はついさっき生まれたみたいだ。
それにしても赤ちゃんなので、身体が思うようには動かせない。
地味に不便だが仕方ない。
そんなことを考えていると、父が僕の顔をジッと見た。
「この子の名前はシンカ。シンカと名付けよう。」
シンカか…うん、いいと思う。僕は笑ってみた。
「あなた、気に入ったみたいよ。この子も笑ってるわ。」
父と母は満足気に顔を見合わせた。
「それではこれからシンカの属性の確認をしよう。子は生まれた時なんらかの属性を持っていて、生後すぐに確認する決まりだ。基本的には両親のどちらかの属性か、ごく稀に両方を持っている。」
「あなたは火で私は風ですね。シンカの属性が楽しみです。」
属性かぁ…父が火で母が風。どっちも面白そうだけど、その他にはどんな属性があるんだろう。
でもどうやって確認するのかな?
疑問に思っていると、少し離れて控えていた執事らしき人が無色透明の石がついたペンダントを持ってきた。
「これを胸の上にかざすと、色が現れる。赤なら火、緑なら風。二色なら両方だな。」
なるほど、分からないことは父の話から理解出来た。
受け取ったペンダントを僕の胸の上にそっとかざした。
するとペンダントが数秒光り輝き、光が収まったあと見えた父と母、側まで来ていた執事らしき人までもが固まっていた。
僕からは石の色が見えないのでどうしたのだろうと思っていたらハッと我に返った父が言った。
「7色だと…⁈」
ん?7色⁇
「信じられん…いやでも確かに7色ある。でもこんなこと今までの歴史の中で1度もない。まさか基本の4属性だけでなく、この国でも数人しかいない2属性と伝説の属性まで備わっているなんて…」
「あなた、一旦落ち着きましょう。とにかくこれはこの場にいる私達だけの秘密にしましょう。このことが知れ渡れば、きっとこの子を利用しようという輩が現れます。そうならないよう、この子が大きくなるまでは私達が守らなければなりません。」
それを聞いた父と執事らしき人は静かに頷く。
「そうだな…この子はきっと偉大なことを成し遂げる、そんな気がするよ。だからこそ今はこの力を公にはせず、我々が守り抜こう。ゼフも分かったな?」
父はゼフ…執事らしき人をそう呼び、ゼフは今度は力強く頷いて頭を下げた。
「この命に代えても、シンカ様をお守り致します。」
それを聞いた両親と僕はホッとして優しく笑った。
それにしても神様はかなりのチートをプレゼントしてくれたみたいだ。