第一話
我輩は犬である。名前はアレン。
愛らしいお目々が自慢(ご主人曰く)の愛くるしいらしい。そして黒い毛並みが美し…
って恥ずい!!俺なんで我輩は猫であるみたいに自己紹介しようとしてんだよ!!痛いよ、痛いよ俺!!
しかも猫じゃなくて犬だし!せめて猫なら良かったのにね!!
え?そんなことどうでもいいって?漱石さんに詫び入れろって?
………
漱石さんごめんなさい!!けっしてあなた様を侮辱なんてしてません。これはちょっとした出来心なんです。本当にごめんなさい。
以後気をつけます。二度としませんたぶん…
まぁ漱石さんに謝ったし、気を取り直して改めて自己紹介します。
ん?謝ってないって?もう俺犬だし細かいことは気にしないで!ねっ!?
とりあえず名前から、俺の名前はアレン。今は黒い毛並みの犬やってる。
え?犬種?そんなもの知らないよ!!たぶんなんかのミックスだ。正直、犬種がどうこう言われても俺には関係ないと思う。だって何犬って決められても俺にはよくわからないしな。
まぁなんとか捨てられずに可愛がってもらっているし、ちゃんとご飯ももらって、マジご主人こんな駄犬見捨てないでくれてその点には感謝だ。
ご主人ありがとうございます!!!
え?今は犬ってことは昔はなにやってたのかって?
普通に男子高校生でしたよ?何か問題でも?
まぁ、簡単に言うと転生したみたいなんだよねー
でも、前世の人間の記憶がある程度残ってるだけで細かい部分ははっきりしないし、理性より本能に負けることの方が多くてあまり使えないのが現実だなこれが…
だから記憶を頼りに名犬になる、なんてことは俺自身の能力では難しい。
やっぱり飼い主の躾が必要なんだと文字通り体感中である。
まぁどうして死んだのかは機会があれば話すとして、そろそろ俺のご主人が帰ってくる時間だな。
玄関でお迎えしないとご主人はすぐに拗ねるからな、お迎えは俺の大切な日課だ。
俺は伏せの体勢から立ち上がり伸びをするとご主人をお出迎えするために玄関へと移動する。
カシャカシャと歩くたびにフローリングから音がする。
その音に混じって聞きなれた足音が外から聞こえてきた。
間違いない、ご主人の足音だ。
いつもよりやや軽快に聞こえる。これは何かいいことでもあったのだろうな…
玄関に到着すると同時に玄関のカギがガチャリと音を立て扉がひらいた。
「アレンただいま~」
そういって入って来るのはブレザー姿の美少女
俺のご主人だ
ご主人は靴を脱ぎきちんと揃えるとしっぽがはち切れんばかりにぶんぶん振っている俺近づきしゃがむといつものようにすりすりと頬ずりする。花のようないい匂いがして思わずひくひくと花が動く。
マジ美少女からの頬ずりとか絶対前世ではありえなかったからな…神様ありがとうございます。そしてご主人今日もいい匂いっすね…
「今日もいい子に待ってた?」
(もちろん、あなたのために今日もいい子で待っていましたよご主人!!だからもっと撫ぜてください!!)
はぁはぁと荒くなる息も人間ならドン引きだが犬なら許容範囲だ!!
え?変態?変態上等だコラ!!マジ美少女に頬ずりされてみろよ!興奮もするって!だって俺前世は健全な男子高生だもの!!
「アレンあのね、今日はとってもいいことがあったの!」
俺の頭を撫でつつご主人が嬉しそうに笑う。
(やっぱり、いいことあったんっすね!俺には分かってましたよご主人!!)
そしてご主人はきらきらとまぶしい笑顔で俺に爆弾を投下した
「あのね、私好きな人ができたみたい」
え?マジですか?
固まる俺に気が付かずご主人はキラキラ笑顔でそいつについて語ってくる。
相手は学校の王子様とかではなくちょっぴり素行の悪い奴のようだ…
一応言っておくがご主人は優等生タイプだからな!!決してギャル系なんかじゃないぞ!!清楚な美少女なんだからね!!
そういえばご主人のことは話していなかったな…
ご主人の名前は小山ひなた。今年で高校2年になる美少女だ。黒々とした艶やかな髪は腰には届かないが背中の真ん中ぐらいまであり、癖がなくさらさらと風になびく。瞳も大きくパッチリとした二重だ。もちろん睫毛だって長い。鼻すじだって通っているし肌も雪のように白くきれいだ。なにより、そばにいると温かい気持ちにしてくれる不思議な人なのである。
まぁ他にもご主人のいいところはたくさんあるのだが、その都度説明していくとして…
(ご主人!好きな人ってどういうことですか!?しかも不良だなんて俺は認めませんよ!断固反対!!)
たしかに、不良に絡まれたご主人を助けた点は認めてやってもいいですけどね…
どうやら帰宅途中に不良数名に絡まれたご主人をパパッと救ってくれたらしい。そしてご主人は恋に落ちましたとさ…
っていうかベタじゃね?不良に絡まれる美少女助けて惚れられるとかどっかの少女マンガとかにもあるようなベタ中のベタじゃね?
まぁどうせイケメンのちょっぴり悪ぶってるような根はいい子なんだろ?しかもクラスメイトとか転校生とかなんでしょ?もうベタベタなんじゃない?
そして、ご主人は嬉々として俺にやっぱりねって発言をくれる。
「でね、その助けてくれた人なんだけど同じクラスの柏木君だったの」
嬉しそうに語るご主人には悪いけどこれだけは言わせてほしい…
マジでベタ中のベタじゃねーかよ!!
「あぁ柏木君ってアレンは知らないよね。柏木君は今日転校して来た人なんだよ」
……
もうどんだけベタベタなんだよ…
俺はご主人に撫でられつつ、これからも起こるであろうベタな展開を思いため息がでた。
読んでいただきありがとうございます。
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ひょっとしたら出てくるかもしれません!
誤字脱字などありましたらすみません。