第61話 フェリー内での会談
まあ、今の俺にとっては非常にありがたい話なのだが。
それに、ホバークラフトがあるのが知っていたら、あの人たちを下ろすのに苦労はしなかったのにとも思った。
まあ、補給艦でもないのでホバークラフトを船から降ろすのに苦労はしそうだったが。
あ、それにあの機動支援橋とかいうやつ、仮設の橋をあっという間に掛けてしまうやつ。
あれも一個セット乗せていた。
変わり種としては走る病院車ともいわれる救急搬送車の化け物。
走りながらは無理でも、停めてならば車の中で10名は寝かせられるやつ。
これって大規模災害の現場に派遣して応急措置をする車らしいがそれもあった。
同様に車の中で手術もできる走る手術車も乗せていることから、衛生中隊も乗せているのだろう。
詳しくは良く調べないといけないが、とにかく今の俺には本当に都合の良い贈り物だ。
まあ、今は少なくともパワーショベルをどうやって降ろすか考えないといけないが、パワーショベルが使えるようになるのならばすぐに岸壁を作って、船の出入りを改善したい。
フラン達が新たな仲間のために奔走しているので、俺もそろそろ手伝ううか……そういえば災害救助に向かう途中だったんだよな、この船は。
ならば絶対にあるはずの仮設テント類を今度は真剣に探し始めた。
トラックの荷台にはトラックごとに色々と積んであるのだが、箱詰めされていると本当にテント類が分からない。
いちいち箱に書かれている文字を読んで探さないといけない。
結局一日探してやっと見つけたのは、よかったが、俺は本当に考えが無いなと反省もした。
防衛隊は船に乗せるのにもしっかりと考えていたのだ。
最初に上陸する本部隊は司令部を作らないと始まらないので、出口に一番近い場所にあるっトラックに仮設テントや無線類などの仮設本部を作るものが収まっていた。
俺は、騎士の他に前からこの島にいる連中に手伝ってもらいながら人海戦術でテントを運んでもらった。
本部用にするのにはちょうどいいのだが、住民たちの仮設住宅には向かないので、それも探さないといけなと考えている。
フランやケリーにエルムまでもそんなことには一切構っていないようだ。
彼女らは森の木を使ってバラックを作ればいいと真剣に考えている。
まあ、最終的には、森の木や石などを使い家を作るのだろうが、フラン達が作ろうとしているのは本当にバラックだ。
とてもじゃないが仮設の住宅には不向きだと思うのだが、大丈夫だろうか。
幸い、ここが中緯度地方のしかも真冬でないのでそれでも問題ないらしいが、俺は嫌だな。
俺がフェリーにかかりきりになっていたが、フラン達も受け入れでいっぱいだったようで、なんだかんだとあっという間に3日は過ぎた。
どうにか、今後の方針だけは決まったのか。1800名もいたグループの指導者層との会談ができることになった。
こちら側の出席者は俺の他にはフランとケリー、それにエルムの三人に加えて手伝いとしてミーシャとドーラも来るので6名になるが、さすがに相手は大所帯だ。
代表者と言われていた人を筆頭に全部で20名近くになるらしい。
俺の使っている巡視艇でも兵士の使う食堂でも使えば何ら問題は無いが、せっかくフェリーが仕えるのだ。
俺の強い希望で初めての会談はフェリーで行うことにした。
フェリーのどこでという問題もあるが、ただの会議だけならばラウンジを使うことにした。
ソファーも十分な数もあるし、飲み物も簡単に準備ができそうだと思ったからだ。
まだ使ったことないので実際に使えるかは知らないけど。
それでも総勢で30名近くの人をボート4艘で運んでもらった。
当然、まだフェリーを動かしていないので、フェリーに乗船させるのにアンタレス教国の船を経由させるためだ。
俺は会談に先立ちボートでフェリーに向かい、簡易タラップを操作してこちらに乗り込めるように準備を始めた。
フェリーは一旦ここから人を降ろしたのならばいつまでも簡易タラップを捕虜の乗るアンタレス教国の船には降ろしていない。
何せ、船の中には怪しげな捕虜たちがたくさんいるのだ。
そいつらにこのフェリーには入ってほしくはなかった。
さすがに積んである武器類は使えないだろうが、それでも危険なことはできるだけ避けるのが基本だ。
それで、みんなを助けてから4日目の昼前にみんなが続々と集まって来た。
ケリーがいるので問題ないだろう。
集まったみんなをケリーが上手に案内している。
フランに続き、名前すら聞きそびれた代表と言われている姫が一人の少女を連れてやってきた。
その後ろにはエルムがついてきている。
不思議な組み合わせだと思ったのだが、とにかく全員が乗り込むまでここで待った。
一度全員が乗り込むと俺はもう一度タラップを元に戻した。
フェリーは当然そこら中に散らばっていた服などは片づけてある……と言ってもここメインデッキの見える場所だけだ。
それも適当な部屋にまとめて突っ込んだレベルなので片付けたと言えるのか甚だ疑問の残るところだ。
「やっとゆっくりお話ができますね。
お待ちしておりました。
話し合いをする場所までご案内いたします」
俺はそう言って、先頭を切ってみんなをラウンジに案内している。
途中で通過するプロムナードでは今夏救助した人だけでなくフランたち全員も同じように驚いていた。
「守様……ここは」
「ああ、この船は戦闘を目的としたものではない。
俺たちが今まで乗っていた船は純粋に戦闘だけを目的としたものだが、これはお客様を乗せる船になっている。
そのために十分なおもてなしができるいろんな仕組みもある。
だが、残念なことにまだこの船の整理がついていないので立ち入りを制限させてもらっているのだ」
「そうでしたか……」
フランは俺との関係も良好なのですぐに俺に聞いているが、他の人、特に今回多しけだした人たちはただ黙って驚いているばかりだ。
プロムナードを通りすぐそばにあるラウンジに入り、ソファーに座らせる。
「俺は貴族でも高貴な生まれでもないから常識に疎い。
なので席の順番など知らないので好きに座ってほしい」
俺がこういうと、フランがみんなに向け席に座るよう促した。
その際、好きに座れと言っても俺のことをよく知らない人たちには面を食らうだろうが、そこはフランも心得ていたようで、俺の意図を組んで適当に座席を指定しながら席に着かせた。




