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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第六章 新たな仲間

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第114話 救助者の扱い




「俺たちがおおよそここにいるわけで、一の浜からここまでの間には、彼女らの原因は無かった訳だ」


「ハイ、守様」


「風向きと海流はどんな感じかな」


「少しお待ちください」


 もうケリーたちは、操船だけでなく、こういう計器類の扱いにもだいぶ慣れてきている。

必要とされる情報の最低限くらいまでは、俺がしなくとも調べられる。

 現在も、隣の艦橋に出向き、計測器からデーターを調べてもらっている。

ケリーが戻ってきて、海図上の隅に、遠慮がちに風向きを矢印で書き込んでいる。


「海流といわれるものはこのあたりにはありませんね。

 現在ですが、おおよそ風向きに変化はなく北東方向から弱めの風が……」


「となると、最初の調査は北東に絞るか……」


「保護した彼女たちはいかがしますか?」


「そのままと言う訳にもいかないか……救助した人たち以外に他の人たちも気にはなるが、いったん一の浜に戻ろう。

 彼女たちをフランに預けてから、考えるか」


「わかりました、進路を変更して帰還いたします」


「一応、北東方向を調べるだけはしてみようか。

 誰か、付いてきてくれ」


「ハイ、ですが……」


「ヘリを飛ばす。

前は、俺が使えるかどうか知らなかったので、船だけで調査したが、現状では使わない手は無い」


「そうですね。

 私がご一緒したかったのですが……」


 ケリーは本当に残念そうに俺に言ってきた。

 そりゃそうだ。現在巡視艇の艦長のような扱いをしているので、ケリーが艦橋から外れる選択肢はない。

 そのあたりも責任感が強いケリーは自覚している。

 それだけに、どうしても俺はケリーを頼ってしまうのだが。


「ヘリに行く前に、もう一度士官食堂で寝かしている彼女たちの様子を見に行くか。

 現在誰が面倒を見ているのだ」


「ハイ、ミーシャが、護衛に一人交代でつけてはおりますが」


「なら、様子をミーシャに聞いてから向かおう」


 俺は、あとに続いてくれる騎士と一緒に下のデッキにある士官食堂に向かった。

 士官食堂には簡易ベッドが長椅子を使って簡単に用意できる仕組みになっている。

 これは、戦闘艦の宿命なのだが乗員の治療のためだ。


 通常航海中ならば治療する必要が生じても、せいぜい一人、多くても二人くらいだろう。

 それくらいならば、艦内の治療室での治療のほうがはるかに効率がいいが、戦闘などで発生する負傷者ともなると治療室では収まり切れない。


 軽傷者ならば、その場での治療になるが、重傷者でも治療室に収まらないので、士官食堂を使って治療が行える仕様になっている。

 そのために簡易的な手術までもがここでもできるよう用意だけはされている。

 何せ食堂だ。

 衛生面だけは、治療室に続きここもどこよりも清潔に保たれているので、安心だ。


 士官食堂に入ると、ミーシャが俺に気づき簡単に報告してくれた。


「守様。

 彼女たちですが、まだ……」


 まだ、意識を戻すまでには至っていないようだ。

 俺が、彼女たちに近づき様子をうかがう。

 正直、ここでしていたことは彼女たちを寝かせていただけで、治療と呼べるものではなかったので、そこまで状況は改善していなかった。


 呼吸が乱れていることがなかったので、心拍など一切測ることなく、そのまま濡れている服だけ着替えさせて、体を冷やさないよう暖かくしていただけなのだが、あまり状況的に改善しそうにない。

 まあ、悪くはなりそうになさそうだが、だからと言ってそのままと言うのも……


「守様……」


 俺と一緒にヘリで探索に向かう予定の騎士が、不安そうに聞いてきた。


「もう少し、ここで治療してからヘリを出そう」


「ええ、私は何も問題ありませんので」


「少し手伝ってくれないか」


 俺はそう言って、治療室から対処療法などで使われる栄養剤を準備して、点滴液を作る。

 一応人数分、5つ用意して、それから注射針なども探し出して士官食堂に向かう。

 荷物は、騎士と手分けして運んだ。

 手伝ってもらえて助かった。


 士官食堂では、大量の負傷者の治療に対しての準備もされているので、点滴用に液を吊り下げるスタンドがなくとも、寝かせているベッドわきに吊り下げられるようになっている。

 俺はそこに先ほど用意した点滴用の液を吊り下げていき、一人ずつ注射をしていく。


 気を失ってはいるが、さすがに針を刺すときには反応を示した。

 これは正常な反応なので、別に問題はないが、というよりも少し安心している。


 かなりの疲労が原因のようだ。

 まあ、死ぬ寸前まで追い込まれていたのだ。

 脱水の危険もあったのだろう。


 あ、脱水については考えていなかった。

 危なかった。

 意識があれば経口補水液でも飲ませればそれほど危険はなかったが、無意識だと点滴などで補給させなければ危ない。


 気が付いてよかったが、もう少し早くに気が付けばよかった。

 一応大学校時代に応急治療の授業も受け、救急救命士の資格も卒業までに取らされたのだ。


 だから点滴は経験があったが、本当に久しぶりだったので緊張した。

 全員の治療(点滴)を終えて、あとのことをミーシャに任せて後部格納庫に向かった。

 その際に、ミーシャに「彼女らに何か危なそうな変化がある場合には無線で知らせてほしい」と頼んだ。

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― 新着の感想 ―
>「となると、最初の調査を北東に絞るか北東に絞るか……」 それ北東一択というw
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