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天才賢者と最強幼女

連日投稿——それはドMの所業

「彼は……死にました。もう、40年近く経ちますかね」


 食後、テーブルを挟んで会話をしていた二人に、少し昏い影が落ちる。

 これは、彼——即ちヴァイゼが死んでいる事を告げられた日、くまさんスプラッタから一日か二日後の事。


「えっ、死んだ?」


「あ、いや、その……そんな何か、賊に殺されたとかではなく普通に寿命でですよ!?」


 驚きながらも、一体何に殺されたのかと思考を巡らせるハルニアに、カザルメが慌てて静止の声を掛ける。


「寿命? 寿命って、あの寿命?」


「え、はい。 ……そうですが?」


 訝しげに問うハルニアに、キョトンとした声で返答するカザルメ。

 ——そのカザルメの姿は、『ハルニア』の持つデータ上の彼女と外見が全くといって良いほど違わない。……このデータは常に更新されていた物か、それとも——


「あの、すごい失礼なんですけど、その——40年前から、見た目が変わってないんですか?」


「へ? ……あ、あぁ〜……」


 今気づいたと言わんばかりに苦笑いするカザルメ。それはですね、と一拍置き、紅茶を一飲みしてから、解説を始める。


「一応ですが……今の私の年齢は、多分——360? ぐらいです。もうかなり前から数えてないので直感なんですけど」


「さ、さんびゃくろくじゅう」


 最早数えることすら飽きたと嘆息する彼女に、まさかそんな、とハルニアが驚愕する。

 エルフという事前知識からある程度は予測していたが、見た目から多くても100や200だと思っていた、と。


「彼はまぁ、逆算して320くらいで亡くなったと思います。……なにしろエルフとハイエルフは寿命が違いますからね」


「エルフとハイエルフ?」


 カザルメはエルフとハイエルフの違いをさも当たり前に語るが、ハルニアの頭には疑問符が浮かんでいる。


「あぁ、……そっちの世界では人族しか居なかったんでしたっけ。

 ——エルフとハイエルフの違いは、簡単に言うと混血と純血、みたいな感じです」


「なるほど、……なるほど」


 純血のエルフ——つまりハイエルフの寿命は、ハイエルフと比べて寿命の短い他の種族との混血であるエルフより寿命が長い、という説明を盛大に端折(はしょ)って行われた説明を、脳内で再構築しながら理解する。


「まぁ、彼が私よりも早く寿命を迎える事は分かりきっていましたし、覚悟は出来ていましたけどね」


「……」


 やさしく強がりながら笑うカザルメに、ハルニアは掛ける言葉が見つからない。


 そんなに深く考えないで良いですよ、と、紅茶を入れ直しながら優しく微笑(わら)うカザルメ。入れ直されて湯気が昇りなおした紅茶を一息で(あお)って、にこやかに、気丈に振る舞う。


「なんというか、ほんと——ハルニア(あなた)に伝えたい事の一つや二つ(のこ)して逝ってくれたらよかったのに」


「あ、それについては少々アテがありますよ?」


「……?」


 当時、ハルニア宛の遺言が聞けなかったと愚痴をこぼすカザルメに意外な言葉を掛ける。

 ハルニアには確信があった。そこは彼の遺言が隠れていそうな場所であり、ハルニアが目覚めた場所。


「地下室です」


 ——そして、『ハルニア』が一番詳しく知っている場所なのである。

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