空いた心に詰める物
学業がかなり忙しく、体力的にも精神的にも安定するのにかなり時間を要しました……(まだ安定はしてません、ごめんなさい)
投稿できる体力が戻るまで、改稿とかさせてもらってました。
謝り倒しですが、今回短いです。
「ん……ぁ……」
夢を見ていたような、いなかったような。そんな朦朧とした意識から引き上げられて、見知らぬ天井……否、見知った天井に見下ろされる。
「あれ……?」
上体を起こして初めに感じたのは、額からずり落ちてきた湿ったタオルの、少しじめっとした感触と、足の上に何かが乗っている感覚。
「……」
ただ、ぼうっと向かいの壁を見つめる。部屋には、小さな呼吸音が響いて、その音が一つだけであることを感じる。
その音の発生源に目を向ける。
——看病をしていたのだろう。ハルニアの膝の上では、緑髪の少女が、すうすうと、小さな寝息を立てていた。
「——。すぅーー……はぁー……」
思い出したかのように、自身の呼吸も再開する。
状況整理をしよう。あの、ヴァイゼが作り出した情報の結晶——「ライブラリ・オブ・ウィズダム(相変わらず彼のネーミングセンスは無い)」にアクセスした後、『ハルニア』はというと、ある反応を起こした。
「幹意識を保護する為の、一時的且つ強制的なシャットダウン」——つまりは気絶だ。
体は強くとも意識は人のソレである為、せざるを得ないのである。
あれから何分、何時間、何日経過したかハルニアは知り得ないが、その間ずっとこの緑髪少女——カザルメが看病していたはず。
カザルメが起きたらお礼を言わなければ、と状況の判断を締め括ったハルニアは、次に「ヴァイゼからの指示」を確認する。
彼がハルニアにやらせたいこと——それはつまり「戦争の終結」で相違無い事を確認する。
過程や思想に彼と自身の間で多少の差異こそあれど、最終目的は「戦争の終結」に間違いない。つまり思想の差異など誤差だ、と片付ける。
……。
「……とりあえず」
この精神状況から脱却せねば。なんなんだこのロボットじみた思考は。もっと熱くなれよ!
「もっと熱くなれよッ!!」
「ふぇ……んぅ?」
思考の切り替えと共に叫んでしまったハルニアを咎めるように、カザルメの長い耳は声を聞き取り、彼女の意識を現界へと引き戻した。
「アッ……オハヨウゴザイマス」
「ん……? あぇ?」
コミュ障万能魔導人形(笑)はさておき、かわいい寝起き顔を作るエルフの少女は、現状を理解するなり驚愕に表情を変えていく。
「ハル……あなっ、あなた、目覚めっ……。 よか、よかったぁ……!」
「えっ?」
寝起きから驚愕、驚愕から涙目と、表情をころころ変えながらハルニアに抱きつくカザルメ。
当然ハルニアには何が起きているか理解ができず。
「よかった……! ほんとうに……」
「……?」
結局、事態が収束するまでに数時間を要したのだった。