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末っ子  作者: 夏目 碧央
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取って食われる?(テツヤ目線)

 モバイルバッテリーを持ってカズキが部屋を出た。

「それで?レイジは俺と二人きりになりたい?それともなりたくない?」

改めて聞くと、レイジは目を泳がせながら姿勢を正した。

「なりた・・・くなくなくなくない。」

と、レイジが言った。

「は?」

ちょっと考えたが、分からない。

「どっちなんだよ!」

そう言いつつ笑ってしまい、枕でレイジの横腹を叩いた。レイジは笑いながら痛がるフリをした。

「まあいいや。そうだ、今日のコンサートのツイート見ようぜ。」

「あ、俺さっき見てたよ。ほら。」

レイジがスマホを見せた。

「どれどれ?ああ、こっちに来いよ。」

レイジを壁に寄りかからせ、横からスマホを覗いた。今日のコンサートの写真がアップされていて、この時はどうだったとか、他愛もない話をする。

 こうしていると、心が安らぐ。俺はすぐに不安になったりイライラしたりするから、心の安定は大事だ。レイジが傍にいて、こうやって寄りかかったりすると、とても心が安らぐ。歌ってもらうとすごく安らぐ。

 トントントン

ノックが聞こえた。カズキだろうか。返事をしようと思ったが、する前にドアが開いて、タケル兄さんが入って来た。

「お前たち、好きな者同士での部屋割りは規則違反だぞ!」

と、いきなりタケル兄さんが言った。その後ろから、不安そうな顔のカズキが顔を出している。カズキのやつ、しくじったな。まあ、仕方ない。好きな者同士で部屋を決めるなんて事になったら、みんなでレイジの取り合いになって大変だ。そして、レイジは気を遣って誰と一緒がいいかは絶対に言わないだろう。多分、本心は俺と一緒がいいと思っているだろうに。いや、でもカズキとも仲がいいし、シン兄さんといても楽しそうだし、やっぱり本心は分からないな。

「違うよ、兄さん。寝る時にはちゃんとレイジはそっちに返すから。」

仕方なく、俺はタケル兄さんにそう言った。それでカズキが、

「さあ兄さん、部屋に戻って飲みましょうよ。レイジ、お前が戻ってきたら俺も戻るから。」

と言うと、

「はい。12時頃には戻ります。」

と、レイジが素直に言った。12時か。お前はシンデレラかよ。それまであと1時間ちょっと。その間、何をしよう。レイジを独り占めできる貴重な時間だぞ。

 タケル兄さんとカズキが去って行った。さて、どうするかな?

「あと1時間、何する?テツヤ兄さん。」

レイジが俺の方を見て、そう言った。その顔は、さっきしおらしく12時頃には戻りますと言った、あの末っ子と同一人物とは思えない表情を浮かべていた。魅惑的?小悪魔的?悩殺的?良く分からない。

「う、あ・・・。」

言葉が出ず、思わず唾をごくりと飲み込んだ。なんか、取って食われそう。

「どうしたの?取って食ったりしないよ。」

レイジはくくくっと笑った。


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