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第八のすゝめ:突然芽生える、友情でも愛でもないなにか

 「うおぉー!!」


 俺は右手に持った鉄パイプで、男の背中を思いっきり殴った


 「ぐっ……!」

 

 殴られた痛みで男に隙ができた

 どうやらコイツも人間。殴られればちゃんとダメージはあるみたいだ


 「ラァッ!」

 

 思い切り顎を殴る

 ……倒れない。やはりまともな人間ではないな……半端なく頑丈だ


 「こんなもので……倒れるか!」

 「グアッ!」


 なんだ!? もうどうなってるか分からねぇ!

 多分コイツはもう本気みたいだな。目でも動きが追えねぇ……


 「甘いねー……」

 「くっ! どこガッ!!」


 首に……マズイ意識が……

 倒れ……なんだ苦し……喉に蹴りが……


 「グフッ!」

 「もういいよ。死んじゃえば?」

 「ガアァ!」

 

 だめだ……まるで歯がたたねぇ……ヤクザを侮りすぎたな

 終わりか。まぁ仕方ねぇか……もう俺はいい。絶対に茜は守る!


 「待てコラ「まぁ待てよ……カタギの高校生相手に度が過ぎるってもんだ」

 「んー? てめぇだれだ? 事情も知らない一般人に横は入りされるとねー……」

 「どうするって?」

 「殺したくなるよ……」


 刹那耳元で鈍い音がした

 俺の前に立ちはだかった男に向かって、ヤクザの男が飛び蹴りを放った。だがそれを止めた男は、ヤクザに向けて反撃の蹴りを放った……

 なんだこりゃ? 人間同士の戦いじゃねぇよ


 「ガキ……お前は何も知らんのだろうな」

 「何がだよ……!」

 「たかが30億であの男は動かん……お前の首にはもっと大きなものが掛けられている」

 「だからなんだよ!」

 「さぁな」

 「死ね……」


 ……おっさん?

 何が起きた? 目の前に今ヤクザが立っていておっさんは……

 

 空?


 「お前が死ぬんだよ」

 「グアァ!」


 鉄パイプでもほとんど揺れないあのヤクザが、一撃でふらついてやがる。一体このおっさんは……?


 「お前も宝が目当てか?」

 「宝……? ふん。そんなものに用は無い……俺はただ、我島の息子を刻んでやりてぇんだよ……小英の野郎に……絶望を……な」

 「それは無理だ」

 「あ? どういう意味だ?」

 「あの男は……息子のことなどなんとも思ってないさ……たとえ目の前で息子が殺されかけていようと……自らの身が危険なら、迷わず逃げる。あの男は本物の外道だ」

 「分かってんじゃねぇか……だったら」

 「だから息子を殺すと? ……くく。俺にはわかるさ。あの男の恐さも……それを恐れているお前も」

 

 ……ちくしょう!

 まさにその通りなのがムカつく! 確かにあの野郎は今考えれば、俺たち兄妹を本気で商売道具としか……捨て駒としか思ってないだろう

 だが……どうやら死んでねぇみたいだ……会話を聞く限り、裏社会で調子よくやってるみたいじゃねぇか


 俺たちをこんなところに泳がせてな……


 「あぁそうだ……だから俺は、そのガキを殺すんだよ!!」

 「ザケンなコラァ! 実の息子が一番ムカついてるんだよ! ゼッテェあの糞親父殺す!」

 「……どうだ? 利害の一致じゃないか? 借金とか……30億なんて小さいじゃないか」

 「……お前こそ分かってない。あの男は……本物の外道だぞ!」

 「知ってんだよ!!」


 叫んだのは俺だ

 だいたいこいつらは、何をあの糞親父に対してビビってるんだ?

 ぶちのめしてやりてぇんだよ……この手でぶん殴って謝罪させたいんだよ!


 「あの糞親父を……どつきまわして土下座させるんだぁ!!」

 「……しかしあいつは」

 「なぁ……?」


 なにを糞強い男が2人もそろってビクついてるんだよ……

 分けわかんね……


 「いいから! あいつを殺す! ぶっ殺す同盟だ!」

 「いいだろう。あいつを殺せたら、30億なんてすぐだ。その場で返せ」

 「……俺もあの男にはチョイと借りがあってな……乗ったぜ」


 ……ははっ!

 俺等がいれば、ただのおっさんに……あの糞親父に絶対負けねぇよ!


 「ぶっ殺すぞぉ!」

 「「おぉ!」」


 夜の街で、俺たち三人で、糞親父をぶっ殺す同盟が完成した

 もちろんターゲットは我島小英くそおやじだ!

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