第四のすゝめ：大人数が相手でも、勝機は必ずあるからあきらめるな
「じゃあ優。茜のことは任せる！ 俺もがんばるから、何かあったら茜を守ってやってくれ！」
「・・・・・・分かった。私は茜ちゃんと・・・・・・あんたを待ってる！」
「おう！ じゃあな！」
カッコいい旅立ちだろ？ 我ながらいい感じだ。共に過ごした幼馴染に、妹を任せて1人戦いに出て行く男・・・・・・
さぁ青木！ 男の背をしかと目に焼き付けてくれ！
・・・・・・ちょっとぉ！？ なんで泣いてんのぉ！？
「テメェ！ これ以上優を泣かしたら殺すからなぁ！！」
「ちょと待て！ ・・・・・・俺が死ぬと思ってんの？ 冗談寄せ！ すぐ帰って来るッつーの！」
「・・・・・・うん。そうだね。ずっと待ってる」
茜・・・・・・お前はまだ寝ているだろうが・・・・・・別れの挨拶もしないこと、悪く思う・・・・・・
だけど俺が行くといったらお前はついて来ると・・・・・・多分言ってくれないだろうけど！ 兄貴としてその可能性を排除したまでだ・・・・・・
お前を傷つけるわけにはいかないからな
「行って来るわ！」
「・・・・・・いってらっ「コラァ！！ くそ息子ぉ！！」
て、・・・・・・てめぇ！ この糞ヤクザども！！ 空気読めよ！！ お前等KYの極みだぞ！ 絶対殺す・・・・・・時代遅れのKYどもを成敗する！
「金払えぇ！！」
「うっせぇ！ 金が無いんだよ！！」
「えぇ・・・・・・知らん！ そんなの！」
まずは顔にパンチ、これ基本
本当は鳩尾とかがダメージデカイし、顎の方が決定力あるけど、とにかく相手に痛い思いをさせるなら眉間にストレート！
鼻から血も出るし、なにより痛い！
「ぐぅ・・・・・・死ねぇ！」
「お前が！！」
鳩尾にキック。
倒れたヤクザの鳩尾にまたキック。そして鳩尾にキック。それから鳩尾にキック。そしてとどめに鳩尾に踵落し！
「ぐげぇ・・・・・・」
「はっはー！ 感動的な別れを邪魔した罰だ！」
「いたぞ！ 糞息子だ！」
「なに！？ くそせがれいやがったな！！」
「・・・・・・我島のボケ息子ぉ！！」
あいつら・・・・・・後からぽこぽこ涌いてきて生意気だな・・・・・・というか本当にひどい言い草だな・・・・・・
というか・・・・・・何人おるねん！
20人て・・・・・・勝てるやないかーい！
「死ねぇ！！」
《ズキューン！》
いっ！ ・・・・・・今のは銃声だよな。これはマズイ。ついにヤクザらしくなってきやがった・・・・・・そりゃそうだ。カタギがヤクザに挑むのならこれくらいの覚悟はいるんだよな・・・・・・
「いてー！ ・・・・・・な、なんじゃこりゃー！！」
うわぁ！ あいつ見方に当てとる！ なんてノーコン！ そして流れ弾直撃したヤクザなんて不運・・・・・・
「おい！ トマトジュースの缶をぶち抜いただけだぞ！」
「あっ！ ホントだー！ ・・・・・・てへっ♪」
「・・・・・・死ね」
やべぇ・・・・・・うっかり口から出ちまったぜ
ヤクザが「てへっ♪」は無いだろ・・・・・・だいたい缶を貫通してるんだし、体からも血が出てるし・・・・・・
「ぐあぁー！ やっぱりイテェ！」
「だ・・・・・・大丈夫か！？ マジで血が出てんぞ！ おい！ 救急車！」
呼んじゃうのー！？ ヤクザが交戦中に救急車呼んじゃうの！？ 119番しちゃう！？
マジで携帯取り出したよ！ で、マジで救急車呼んでるよ！
「あっ！ 救急です！ お腹から血が・・・・・・ハイ・・・・・・え？ 銀の皿さん？ あっ！ すみません。 間違えました」
「おい！ 何やってる！ 救急なんだぞ！」
「おい血がとまらねぇよ！！」
「もしもし！ 救急です！ はい！ 急いでお願いします！ え？ あれ！？ はい・・・・・・600万・・・・・・口座にですか？ はい今すぐ・・・・・・」
多分振り込め詐欺にあってる！ だって救急車で先に振り込めなんて言うわけないし！ というか何回119番を押し間違えてるんだよ！
なんで出前と、詐欺師の家に掛けてるんだよ！ こんなカモそうそういねぇぞ！
「バカヤロウ！ 早くしやがれ！」
あれ・・・・・・？ 俺帰っていいですか？ そうですかそうですか・・・・・・じゃあ帰りますね、というか行きますね
マジで帰れそうだ。えっ？ 帰っていいの？
「俺帰っていい？」
「それどころじゃねぇんだよ！！」
「・・・・・・」
だったら喜んで！ 帰りまーす！
そしてとりあえず、一旦は隠れて資金でも集めますか・・・・・・
