第三のすゝめ:男として生まれたなら、太平洋のように夢はでかく
「なるほど。つまり両親に借金を30億円も押し付けられて、ヤクザに狙われてるわけか」
「おう」
「はい・・・・・・」
まぁなんだかんだ青木も女の子だ。常識からある程度ずれてるとはいえ、ヤクザは恐いだろうな・・・・・・
でも全くそうは感じていないっぽい所が不思議だ
「なんでだろう。かなりシリアスでやばい状態なはずなのに、全く恐いくないや」
「だろ? 俺もそう感じていたところだ。多分敵が無能すぎるからだと思うけどな」
「私は恐いですけど・・・・・・」
そら茜には恐いよね
俺たちからしたら、弱すぎるし無能すぎるしまるでピンチじゃない感じだけど。普通の女の子代表、俺の妹茜では大男には絶対勝てないしな
「とにかく考えよ! どうやってこの状況を打破するか」
「つーか・・・・・・30億も返せないだろ・・・・・・」
「やっぱりバイトとか・・・・・・?」
バイトか茜。まずお前にはできないだろ?
そんなちまちま返していっても、30億は絶対に返しきれない・・・・・・
・・・・・・いやバイト。
バイトといってもピンからキリまで・・・・・・時給1000円やらなんやら・・・・・・一発で何千万と稼げるかもしれないバイトまで・・・・・・
「やるしか・・・・・・やるしかないのか」
「バッカ。それヤクザに関係してるし無理だろ」
「・・・・・・?」
そらそうだったな。海外に売られていくのが落ちだな・・・・・・
それにこんな会話するから、茜は完全に取り残されてる
「少年よ! 大志を抱け!!」
「あぁ? 兄貴引っ込んでてよ!」
「なっ・・・・・・優! 兄貴に対してひっこんでろはないだろ!」
「うっさい!」
「あぁ・・・・・・雅さん。おひさー」
「おう久しぶりだな」
この男は青木優の兄の、青木雅だ
馬鹿だ。馬鹿な上にニートだ。だけど俺はそんな雅さんを・・・・・・心より尊敬しています!
なぜって、この人は才能の塊なのにめんどくさがりなだけで、ニートをしているのだ。東大卒のニートだ。一度は一流企業に入社して、一年経たないうちに自ら会社を辞めたニートだ
・・・・・・尊敬はしてないです
「話は聞かせてもらったが・・・・・・俺に一つ策がある」
「マジ? 雅さんたまにすげぇこと言うからな」
「サウジアラビアで油田を掘り当てろ!」
「・・・・・・兄貴やっぱ馬鹿。もうちょい現実的なこと言え」
「何いってんだ優! これはすごく現実的だ! リアルだ!」
正直・・・・・・俺も馬鹿だと思う
油田なんて知らないけど、そんなにボコボコ湧いてくるなら、石油王いっぱいいるだろ。と思うのだけど、この雅さんはホントに凄いときもあるからな
「油田の出るポイントはおおよそ予測できる。それは俺がやってもいい。後は資金と機械と権力者の協力だ」
「す、すげぇ! 予測できるのかよ!?」
「兄貴マジ!?」
すご・・・・・・馬鹿だとか思ったこと・・・・・・
悪かった! さすが東大だぜ!
「まぁ待て。とにかくこれは、天才の俺の頭脳と、膨大な金と機械の技術。そして権力のカードがそろったときのみ、百発百中、一攫千金だ!」
「お、おっぉお・・・・・・なんかすげえ。つまり金と技術と権力がそろえばいいのか?」
「あぁ。知識は俺がいるからな」
すげぇすげぇ! めっちゃ頼もしいじゃねーか雅の旦那!
これは簡単に30億ぐらい返せるんじゃねーか!?
「油田なんて当てたら、30億なんて道端の1円だ・・・・・・まさにはした金だ。一瞬で返せる上に、俺たちは億万長者だ!」
「「「おー!!!」」」
さぁーてと・・・・・・いっちょ集めてみるか!
金と、技術と権力・・・・・・金?
「金が無いから苦労してんの!!」
「1億だ。1億だけでいい。それが何千億に跳ね上がる! これを狙わなくてどうする!!」
そりゃ一理ある。だが一億だぞ? 全うにやって稼げるのか・・・・・・?
一時的に借りるにしても、ただでさえ30億も借金がある俺たちは、闇金からだって金は借りれないだろう・・・・・・
かと言って、一億も貸してくれる知り合いなんていない・・・・・・
ならば、まずは権力だ・・・・・・どんな方法でもいい
権力者になればいい。悪にこの手を染めようと・・・・・・権力を手に入れれば、金と技術は転がり込んでくる!