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第十のすゝめ:考えるな、投げて投げて、がむしゃらに投げて知るのじゃ

 あーはっは。佐藤さんはすげぇーな

 一瞬にしてシチリア島にやってくるスキルを持っている。という冗談はよしといて、ただ単に即行で飛行機をどうにかして、俺たちをシチリアに連れて行った

 そのことが凄いということだ


 「おっほーぅ。シチリーア」

 「どうしたテメェ? 恐くて頭いかれたか?」

 「あぁ? いかれてねーよ。佐藤さんこそガクガクじゃねぇか」

 「バッカ! テメェそれは仕方ねーだろ」


 なんで仕方ないか? 俺にはわからない、ことは無い

 なんせほんのさっきまで、俺たち三人は全速力で走っていたからだ

 なぜかって? それは今まさにシチリーアのマフィーアに追いかけられていたからだ……


 『居やがったぞ!!』

 「「「ヤベェ!! 何言ってんのか分からんけど、ゼッテェ怒ってる!!」」」

 『ニホン・ヤクザ! ぶっ殺せ!』

 「おい。どう考えても日本ヤクザって言ったぞ?」

 「気のせいだ。息子よ。あれはイタリア語だ」

 

 いやいや。片言の日本語だったよ

 殺す気満々だ! 困ったな


 ――ズガガガガガ! ドドドドド! パァン! パァン!


 半端ねー……

 もう何がなんだか

 とりあえず分かるのはつかまれば死ぬことだけだ


 「ホゥアァー!!」

 「なっ! 田中さん!? 銃弾を弾き落とせるのか!?」

 「オォーイ息子ォ! 俺にもできるぞ!」

 「テメェら囮になれ!」


 化け物2人いれば、ピストルもったマフィアの1人や2人……10人以上いても大丈夫だろ

 いや……30人くらいいるけど、勝てるだろ


 「よし引き受けた! 息子! お前は先に行け!」

 「おれ達のことは構うな!」

 「テメ……なんで捨て駒がちょっとカッコいい感じに。……まぁいい。まかせたぜ!」

 『殺れー!! 殺ってしまえー!!』


 俺は振り返らない

 田中と佐藤は、そんなこと望んじゃいねぇ。重要なのは勝つことなんだ!

 そして借金を返して、石油王になりド派手に暮らしてやるぜ!


 そのためには、別に2人は死んでくれても……


 「セェヤァー!!」

 『『ぐはぁー!』』

 「トォー!」

 『『ぐはぁー!』』


 ちっ……

 いやいや、どうやら勝ち戦みたいだ

 それにしてもマフィアたちのやられ方のパターンが安っぽいな


 『少年。ここに何の用かな?』

 「!? なんだテメ……!」

 「おや? 日本人か少年。日本人がこのシチリアに何の用か、と聞いたのだよ」

 「テメェもマフィアかよ。悪いけど通るぜ!」

 「私を差し置いてここに何の用なのだ?」

 「あぁ?」


 なんなんだコイツは。他のマフィアどもと違うな

 日本語を話せるし、口調も丁寧で、来ている服もなんだか違う


 「5大勢力の一角、パネファミリーのボスを差し置いて誰に用なのか? と聞いたのだよ。少年」

 「テメェ……ボスか!」

 「だったら……? なんなのだよ?」

 「協力しようぜ」

 「……取引か? 少年。そういうのは年寄りの考えることだよ。若者はまず当たってみるのだよ」

 「あ? いやそうじゃねーけど」


 取引の意味取り違えてない? 別に金払うから逃がしてくれとかじゃないけど

 まぁ、いいか。5大勢力なんだし、一個くらいぶっ潰しといた方が名が知れていいかもな

 

 「いくぜコラァ!」

 「それでこそ若者なのだよ」

 「ズァア!」


 イテェ。なんだ今の

 分けわかんねぇよ、なんで俺こけてんだよ……この動きは田中さんと同じだ


 「卑怯だぜ。速過ぎる」

 「諦めるのが早過ぎはしないかな少年」

 「うるせぇ……」


 余裕……だろうな。むかつくぜ

 正直いって田中さんに勝てない俺は、この男にも勝てないだろうな……

 でも俺が勝てる必要は無い。人にはそれぞれ役目がある

 雅をホテルにほって来たのも、俺が2人を戦わせて走ったのにも、それぞれの役目がったからだ

 だから俺が追いつめられることはない。追いつめられることがない。戦うのはこいつら2人の役目だからだ!


 「片ついたぜ!」

 「あとは大将だけだな!」

 「よっしゃー! 行けー! 田中さんに佐藤さん!」


 さぁ行け! 戦いはお前たちに任せたんだ!


 「ぐはぁー!」

 「ぐはぁー!」

 「な、なんだ!? 田中さんと佐藤さんのやられ方が雑魚に……」

 「弱いのだよ」


 ちっ! あまりに実力が違いすぎるあまり、こっちの精鋭が雑魚に……

 これはヤベェ。俺で勝てるわけねぇじゃん!

 どーすんの!? どーすんのよ俺!?


 「少年。戦うのだよ」

 「くっそー。死ねや!」


 えぇい! とりあえずそこにあったものを投げつけてやる!


 「あたるわけがないのだよ」

 「あたれぇ!!」


 何でも投げてやる! 拳銃だろうとなんだろうと……手榴弾も!


 「残念。それが最後の手か?」

 「うっせー!」


 あ、手榴弾いった


 ――ズガァーーン!!


 「なんだ今の!?」

 「む、なんな……のあぁっ!」


 ん? なんだ? 建物が崩れた?

 なんか知らんがチャンス! 投げまくれ! 主に手榴弾を


 「ま、待つのだよ!」

 「死ね! うひゃひゃひゃ!」


 ――ズゴゴゴゴゴ……


 この音はヤバイ。建物が倒れそうだ。というか倒れてる

 ……うん。逃げよ♪


 「うぎゃー!!」

 「待て! 出すのだよ!」


 なんだ? あいつ挟まってんのか? てかそれじゃあ俺の完全勝利じゃねぇか?

 あんな家が一軒まるごと落ちてきたら、絶対死ねるだろ


 『ぐあぁーーー!!』


 最後は多分現地、イタリアの言葉の断末魔を残して散ったか……


 『おい! 見ろ! ボスが!』

 『そんな馬鹿な!? ありえない! あいつ何した?』

 『超能力か、気孔とかだよ! ヤバイ! あいつ消さないと!』


 あぁ? なんだ?

 何言ってるのかわからねぇよ。日本語で喋ってくれないかな?


 『あいつ人間じゃねぇ!!』

 「だから何言ってるんだよ?」

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