襲撃者
初の戦闘描写です。
いえーーい!
「さあ、参りますよ。
お嬢様、いえ、魔王様。」
「ほんとに行くの?」
「もちろんでございます。
あなた様は、直にその場所に行かれた方が記憶に残りやすいタイプだと思いましたので、
思い立ったが吉日というやつです。」
「ああ、なるほど・・・。」
傍らには、着替えやその他の日用品を入れた大きな荷物があり、日帰りなどではないことが、
簡単に想像できた。
(もしかしたら、全ての国を回るつもりなのかもしれない。)
そう思いながら、アル達は、居城をあとにした。
・・・・・・・
「キシャァァァァ!!」
後ろから、魔物が襲いかかってくる。
「嫌ァァァ!
ちょっとレイン、何なのアレ!!」
「そうでございますね~・・・。
ブラックタイガーですかね~。」
「そんな、魔物、初めて聞いたわよ!?
それにあんなのが、そんな名前なわけ!?」
すると、レインが余裕そうなニッコリ笑顔で、後ろを向く。
「お嬢様、いえ、魔王様、やはり見てから答えたほうがいいのですね・・・。」
「おい!
ふざけんな、糞執事!!」
「奴は、「ワーム」でございます。
ちなみに、ブラックタイガーは、存在しませんよ。」
「いないのかよ!」
そんな言い合いをしてるうちに逃げ切ったようだ。
「逃げ切ったみたいですね。」
「って言うか、なんでそんな余裕そうなの?
そして、そもそも、なんで攻撃しなかったの?」
すると、いつもニコニコしているレインが急に顔をしかめた。
(よほど、嫌なことでもあるのかしら)
「お嬢様、いえ、魔王様、あの臭さをご存じないのですか!?」
レインがすごい、真面目な顔で言ってくる。
「そんなに臭いの?」
「嗅いでみればわかります。」
「やっぱりいい・・・。」
ひどく、嫌な予感がした。
「それでは、先を急ぎましょう。
まだまだ、道のりは長いですからね」
「は~い。」
・・・・・・・・・・
「とりあえず、ようやく森を抜けましたね。」
「ハァハァ・・・つ、疲れた・・・。」
「後は、この海を越えれば、バーンタスクですよ。」
よく見ると、海の向こうに陸地が見える。
「え?
でも、船とかないけど、どうするの?」
「お嬢様、いえ、魔王様、もちろんこうしますよ!」
そういって、翼を生やして・・・
「行きますよっ!!」
「いつからそんなこと出来るよウニッ!」
「お嬢様、いえ、魔王様、そんなにウニが食べたいのですか?」
「言ってない!
言ってないから!!
それ以前に、やめて、下ろして、死ぬ~、死んじゃう~。」
「なるほど、急降下してほしいのですね。」
「嫌ァァァァァーーーーーーー!!!」
・・・・・・・・・・
「いや~、謝りますからね?」
「・・・・・・。」
(ブッコロス)
「プリンはおあずk」
「お許しくださいっ」
(あれ?
立場が逆転しているような気がする・・・。)
「まあまあ、では行きましょう。」
そのまま、バーンタスクの森の中に足を踏み入れた。
しばらくすると、岩が目立つようになり、いつの間にか、岩山の間を歩いていた。
「お嬢様、いえ、魔王様、誰かが来ます。」
「ふぇ?」
どこからともなく、笑い声が聞こえてくる。
「ハッハッハッハッ、
そこの執事っぽい奴は、少しはやるようだなぁ!」
目の前に銀色の甲冑をまとった騎士が着地する。
「あの、いわくつきの大陸から来た以上、貴様らを通す訳にはいかん!
いかなる理由であれ、ここで、灰となってもらう。」
周りに炎の壁ができ、逃げ道をふさがれる。
「ちょっとレイン、なんでこうなるの?」
「いや、私も二十年ぶりですので・・・。」
騎士が大剣を構える。
「話し合いは終わったか?
では、いかせて貰うっ!!」
騎士が大きく振りかぶった大剣が、振り下ろされると同時に、炎の斬撃がとんでくる。
「危な!」
斬撃はすぐ横を通り過ぎ、岩山の表面にクレータを作った。
「う、嘘~・・・。」
「よそ見している暇があるのか?」
「ちょっ!」
ブンッ!
横薙ぎに振るわれた、大剣をしゃがんでかわす。
「どうした?
守ってばかりでは、勝てぬぞ?」
「うっさい!」
(そんなことは知っているけど、手が出せない!)
「くたばれぃ!!
爆炎熱波!!!」
大剣を地面に刺したとたんに、直径五十メートルの大規模な魔法陣が刻まれる。
「や、やばくない?」
「フンッ、気付くのが遅いわ!」
魔法陣が紅い光を放ち、そして・・・。
魔法陣の三倍近く大きな爆発が辺りを包んだ。
ドガァァァーーーーーーン!!!
「嫌ァァァーーーーー!!!」
(あれ?
痛くない?)
「ふぅ、危ないではありませんか。」
レインが目の前に立っていた。
「今までどこに行ってたのよ!!」
「薔薇の木を伐採しに行っておりました。」
「今やることじゃないでしょ!?」
「まあまあ、良いではありませんか、それより見ていてください。
これが本当の戦い方です。」
そう言い、刀を取りだす。
「ハッハッハッハッ、そうでなくてはな、攻防の駆け引きがあってこそ真の戦いというもの、
さあ、来い!
貴様の実力を試してやろう!!」
「その減らず口を塞いであげますよ。」
そして、二人がその場所からとび出す。
甲高い音が響く。
キィーーーン!
「貴様も炎を扱うのか。
面白い。
ならばこれでもくらえ、火災旋風!!」
「甘いですね、その程度の炎は、囲炉裏でも出せますよ。
さあ、実力の違いを思い知らせなさい、蒼炎旋風。」
赤と青の竜巻がぶつかり合う。
「ふむ、こめてある魔力が多いですね、押しきれないかもしれません。」
「貴様、少量の魔力でこの火力か、でかい口をたたくだけの事はある。」
そして、二つ同時に竜巻が消える。
「今は生かしておいてやろう、また再び殺し合おうぞ。
さらばだ。」
そう言い、炎になって消えてしまった。
「さて、行きましょうか。」
「え、ええ・・・。」
私はあいた口が塞がらなかった。
グダグダでしたね。
ハァ・・・。