プロローグ2
「お嬢様、いえ、魔王様、朝食の用意が整いました。」
扉が開いてレインの声が聞こえる。
「ん~、後、五光年~。」
「それは距離の単位でございます。」
「むにゃむにゃ。」
はぁ、とため息をつき、右手を前方にだす。
「蒼え」
「起きますから、それだけは勘弁して!」
「よろしい。」
ニッコリと笑ったレインが声をかけてくる。
(あの笑顔の後ろにどす黒い何かが引っ込んでいくのを見たのは私だけ?)
いつの間にかてがカタカタと震えていた。
「食べ終わったら、勉強でございますので、お忘れなく。」
「今行くから待ってて。」
レインは、うなずいた後蒼い炎に包まれて消えた。
(とりあえず、着替えてご飯を食べに行こう)
・・・・・・・・・・・・
「さてお嬢様、いえ、魔王様、早速、勉強をするのでございますが、
まずはウォーミングアップも兼ねて各大陸の国々の名前を、北の国から時計回りにお願いします。」
「ん~と確か~、「バ-ンタスク」「サンダーハート」「ウッドフット」「アクアネイル」
「ストーンブレイン」だったっけ?」
数秒の間・・・。
「お嬢様、いえ、、魔王様!」
すごい形相でこちらを見て言ってきたので一大事かと思った。
「えっ、何どうしたの?」
「天変地異が起きます。」
「なんですって!
どうして!!?」
「まさか、あなた様が問題を間違えない日が来るとは、これは、天ペンチッ!!」
ドゴォン!
「何ですって、もう一度言ってみなさい。」
私の回し蹴りがレインの頭部をとらえていた。
「いえ・・・何でもありません。」
(これ以降は、怒らせるのはやめておきましょう・・・。)
「そう、ならいいけど・・・。」
「ふぅ、なら抜き打ちでテストしてもかまいませんね。」
(・・・はい?)
「ちょっと待って!
復習とかさせてよ!」
「大丈夫です、授業の途中プリントをいきなり渡して、始めますし、
やる場所はプリントを渡したその時の単元ですので。」
(あ、それならいけそう。)
そう思っていた私は、お笑いだったぜ。
「お嬢様、いえ、魔王様、結果をご報告します。」
「さあ、きなさい!
今回は、自信満々よ!!」
「それでは、一枚目から2/10、3/10、0/10、1/10、4/10、全て100点満点に直すと、100/500
つまり、1/5問しか答えられていません。」
重い沈黙・・・。
「それ、私並みの歳の人間だったら何問答えられるわけ・・・?」
「そうでございますね~。
ざっと、420/500くらいなので、21/25、これくらいはできて当たり前かと。」
再び重い沈黙・・・・・・。
「今の私みたいな人が国に居て、知り合いだったらどうする・・・?」
「お嬢様、いえ、魔王様、それはいわずともわかっていらっしゃるではありませんか。」
(そうよね、こんなに点数悪くても、知り合いなら・・・。)
「全力で 他 人 の ふ り をします。」
「もうだめだ~~~~!!!」
私の中の何かが決壊した。
部屋の隅で体育座りで・・・
(あきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめようあきらめよう)
そんな私に、レインが近付いてある提案をした。
「そんな、お嬢様、いえ、魔王様には、朗報があります。」
「・・・なに?」
「私の特別カリキュラムがあります。」
少しだけ顔を上げレインを見た。
「それを受けるとどうなるの?」
「学力アップ間違い無しです。」
私はレインに、とびついた。
「お願いしますっ!
受けさせてください!!」
「それが、お嬢様、いえ、魔王様のお頼みとあらば。」
そういって、紙を差し出す。
「・・・何これ。」
「契約書でございます。」
「いや、わかるんだけど、なんでこんなものを?」
「契約をしてしまえば、途中でやめるという、ことは出来なくなるでしょう?」
そう言われ、書類に目を通すと、こんなことが書かれていた。
・途中で投げ出さない。
・私のする事についてくる。
・旅は道連れ、世は情け。
(三つ目はわからなかったが、まあいいだろう。)
そう思い、朱印を押した。
「押しましたね?」
そう言い、ニッコリとするレイン・・・。
(・・・なんかいやな予感がする。)
「それでは、明日から・・・。」
「バーンタスクに向かいます。」
「・・・は?」
私の間抜けな声が城の中に響いた。