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タガタメノセカイ  作者: マルタマ
第零章
4/28

3話

 そして百年後。






 ……流石に同じ冗談を言うのはつまらんか。

 

 寝てから起きてみると、何時の間にか元の体に戻っていた。

 一日しか寝ていないので、木になれるのも一日だけなのだろう。


 元に戻ったのは良しとしよう。

 ただ疑問なのは、木になれるのも一度きりなのだろうか?


 頭の中で、昨日の感覚を思い返す。



 何時の間にかまた木に戻っていた。

 どういうことだろうか?

 次は木になる前の我を頭に思い浮かべる。



 ……元に戻っている。

 一度なれたものを頭の中で思い浮かべたら姿を変えられるということか。

 それとも頭に浮かべたら何にでもなれるのかもしれん。


 疑問に思ったら即行動。

 試しにあの時見た鳥になってみようとした。

 が、全く変わらない。

 せめて飛ぶための何かでも変わらないか試してみたが結果は同じだった。

 これで食べたものではないと変わることができないのは分かったな。


 遠くを見ると昨日と同じ鳥が木に止まっている。

 アレを食べれば我も飛べるのか。


 ……駄目だな。

 我が食べるとそれは消える。

 目の前で動く。

 それだけでも素晴らしいのだ。

 あの鳥を消してまでしたいわけでもない。


 それよりも今日こそ散策をしようか。

 できれば周りを見渡せるような場所を見つけられたら最高だ。

 

 周りを見渡すためにはどうすればいい?

 試しにうつ伏せになってみたが、逆に世界は狭まる。

 まあわかってはいたが……


 となると、どこか我の位置を高めるものを探さなければならないな。

 木は高いが、寄りかかっただけで倒れるほど脆いのに我を支えることなんて無理であろう。

 できれば木よりも高く、我を支えられるもの。


 ……あそこに登ってみるか。

 

 我の目に映るのは巨大な何か。

 あれは『山』だな。

 

 あの巨大さならば我も支えられるだろう。

 ここからは……遠いな。

 まあゆっくり行けばいいだろう。


 時間はまだある。



-------------



 あれから歩いてはいるがまだまだ山は遠い。

 

 だが悪くない。

 歩いている中で見えるものもある。


 例えば光。

 

 木々と木々の間で光が洩れてくるのを見たときはつい見蕩れた。

 光を認識するにはまだ条件がよくわからん。

 今のところはわかるのは闇が必要、てことだな。


 それにかなり遠くにいたが、『可愛い』モノがいた。

 外見は『ふわふわ』していて『耳』は長く『垂れて』いる。

 ぴょこぴょこ跳ねながらそこら中を駆け巡っていた。

 近づく前にどこか消えてしまったが。


 


 

 ふむ、あの山に登ろうとしたのは早計だったかもしれない。

 歩いていて分かったが、あの山は果てしなく遠い。

 

 遠くの物は小さく、近くのものは大きくなるのはわかった。

 なのにあの山は最初にいた時から大きく見えていた。

 それだけなら元々近いものだったと言えてしまう。

 だが歩いている今もあまり大きさが変わらないように見えてしまうのだ。




 大分歩いたが疲れは感じない。

 特に何も我には必要とはしないらしい。

 『旅』には助かる……??



 ……何故我はさっきから知らない単語を使っているのだろうか。

 頭になぜか浮かんでくる。

 それに『我』って。

 それに、それに、それに、それに、それに、それに、それに、それに、それに……




















 ……よし山を目指そう。

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