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タガタメノセカイ  作者: マルタマ
第零章
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2話

 ここ数日で我は気づいたことがある。

 それは『食す』事。


 我は視覚で得られる情報量よりも味覚で得られる情報量の方が圧倒的に多い。

 ただ口に入れただけなので味覚でとはいえないかもしれないが。

 

 最初は倒した木を観察していた。

 ただじっくりと観察するだけであったが、次第に手で触れ、臭いを嗅ぎ、そして一口食べてみた。

 思いのほか軟らかいものであったが味はしない。


 その後のことをどう説明すればいいのかわからん。

 我が木になったと言えばいいのか?

 我は食した木のあらゆる情報を食べ尽くした(知り尽くした)

 そして我は木になった。



 ……比喩でもなく『木』になってしまった。

 そよ風と共に我も揺れる。

 根元から枝までエネルギーが行き渡っているのを感じる。




 そしておよそ百年後、我は目覚めた。

   



 なんて冗談は止めて現状の把握に努めよう。

 まあ、間違いなく木を食べたからだな。

 我は食べることで食べたものになることができるのだろう。

 

 面白い。

 面白いが戻るにはどうすればよいのだろうか。

 このままでも別にいいが、この姿では周りが見えんのが欠点だ。


 せっかく世界に生を受けたのだ。

 もっと色々見てみたい。

 もっと色々感じてみたい。

 もっと色々食べてみたい。


 だがどうすれば戻れるのかさっぱりわからん。

 ……時間が解決するかもしれん。

 冗談ではなく百年このままで元に戻るのを待つか。


 そうと決まったら寝るとしよう。

 一応、風の感触はあるが見えないのはつまらない。



 ……つまらないか。

 少し前の我の状態こそこれよりつまらなかった気がするのだが。

 もうあんな所に戻るのだけは御免だな。


 あそこにいた時間を考えると、百年なんてそう長いわけでもない。

 一眠りすれば百年経っているだろう。

 短い、短い。

 一休み一休み。

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