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タガタメノセカイ  作者: マルタマ
第零章
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1話

 さてまずは何をするか。


 周りを見渡しても興味深いものばかりだ。

 ただこれだけあると逆に何をしようか躊躇してしまう。

 

 ……ひとまず寝るか。


 ただ下はいつもの『黒』ではなく『緑』が大多数を占める。

 この『緑』は周りにある『緑』とは形が違う。

 色の濃淡で認識はできても些か面倒だな。


 とりあえず寝る前に周りの物に軽く名前をつけた。

 下の『緑』は『草』、周りの『緑』は『葉』。


 ただ頭に浮かんできただけの名前だったが中々しっくりくるものだ。

 そのまま草の合間に見える『茶』を『土』、葉にくっついている『茶』を『木』と名付ける。


 今までを大きく超える情報量に頭が破裂しかけたせいで寝ようかと思ってしまったが、しばらく立っていると慣れてきたのか問題はなくなってきた。

 ここまで素晴らしいものばかりなのだ。

 当分眠らなくてもいいだろう。


 試しに草に触れてみる。

 何やらむず痒い感覚を伴うが、『白』、いや『白』にも別の名前をつけよう。

 『光』だ。『光』と名付けよう。

 ……さっきから考えるよりも前に名前が出てくるが、これは何なのだろうか?

 まあいい、その光とは違い触ることができる。


 そういえば光と名前は付けたものの肝心の光がない。

 頭上にそれらしきものはあるが、あれは色が似ているだけだろうか。


 ……不可解だな。

 それも今はいいか。

 他にも分からないことは多いのだから今更一つ不可解な事が増えた所で構わん。


 


 あれから我は全く動いていない。

 視界の中で無秩序に動く物が三つ。

 何やら音を出しながら木から別の木へと飛び移っている。


 近くで見てみたいが、ここからでも鮮明にその姿を見えるので問題ない。

 

 頭上に見える『青』(新しく付けた名は『空』だが)よりも濃い青色をしている。

 大きさは近くの果実よりもほんの一回り小さいぐらいか。

 自らを支えている足は白く何やらザラザラしている。

 口には何やら突起のようなものを付けてもいる。


 何より目を惹いたのは、木から木へと飛び移るときに大きさが三倍近く大きくなること。

 そして大きくなると空に浮かんでいるのだ。


 あの姿を見たときは心が躍った。

 我も体を膨らませば空に浮かべられるのだろうか?

 今はあの物たちの姿を見ることを優先するが。


 光が白から赤に変わる頃、あの物たちは空のどこかへと行ってしまった。

 早速あれに『鳥』と名前をつける。

 それに鳥たちがしていたことを『浮かぶ』と表現するのに何故か抵抗がある。

 『飛ぶ』という言葉が頭に出てきたのでそれを使おう。

 

 ちなみに我も体を膨らまして飛ぼうとしたが無理だった。

 確か鳥たちは我のように腕がなかったな。 

 おそらく我と違う構造でもしているから飛べるのだろう。


 光が赤から見慣れた黒になってゆく。

 『白』に光と名前を付けたのだ。

 『黒』にも付けるべきだろう。

 今回は悩まず『闇』とした。

 毎度のことながら何故そんな名前が出てくるのか分からん。



 闇の中でも周りは見えるが、色がない。

 この状態でも様々なことを発見は出来るだろうが、光がある時よりも感動が少ない気がする。

 仕方ない。

 せっかくだし、木に寄りかかって寝てみるか。







 ……木に寄りかかると、そのまま木が倒れてしまった。

 慌てて何度も元に戻してみたが、何度も何度も倒れてしまう。


 ……悪いことをした。

 草の上でこれからは寝ることにしよう。

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