旅立ちと初めての実戦
あれから2週間経っていよいよ旅立ちの日が来た。2週間の中でこちらのことをいろいろと聞いたり一応は剣の素振りなどをして我流ではあるものの潜在能力が違うので野盗に襲われても大丈夫にはなっていた。
フィーネの家
フィーネ「2週間なんてあっという間だったね。いままではそんなことなかったと思うけど」
ユキ「まあ、楽しかったのは変わらないけど」
フィーネ「それはそうなんだけど、会って1か月もたたないのにお別れなんて」
ユキ「まあ、もう決めたことだしね。それに、1年だけだよ」
フィーネ「1年も よ。たしかに世界の命運がかかっているのは分かるけどだとしてもよ。子どもにそんな ことさせるとかありえなくない」
ユキ「まあまあ」
「ガチャ」
婆「準備はできたか」
ユキ「うん、一応はそろえたよ」
婆「そうか、ならそろそろ行くとしよう」
フィーネ「・・・・・」
3人は家を出て村の正門に向かった。
村の正門
そこには、村のみんなが立っていた。
村長「おぅー、来たか」
ユキ「はい」
婆「どうした、こんなに集まって」
村長「世話になったからな、みんなで送り出そうと皆で決めたのじゃ」
フィーネ「・・・・・・」
ユキ「そんな大層なことはしていないんですけど」
村長「なにをその年でいうのじゃ。この場合は素直に喜べ」
婆「まあ、仕方のないことだと思っておれ」
ユキ「まあこれからが大変だから、なんかこういうのもいいって思うよ」
村長「まあそう思っておれ」
婆「行く前に1つ伝えておく」
ユキ「なに」
婆「この世界にはレインを使えるのは限られておる」
ユキ「レインと言うとヘルハウンドが使っていたものだよね」
婆「それで合っておる。レインと付く魔法を使えるのは魔獣でも限られておる。それに人間も同じじゃ、 もともと上級魔法であり使えるものはそうそう違ないが上級魔法を使える中でもレインを使えるも のは世界に二人しか確認できていない」
ユキ「そんなにいないの」
婆「なぜ、これだけしか使えないか神であるわしたちでもわからん。その内の1人にお前さんも入ってお る」
ユキ「なんで、そんなの使ったことないけど」
婆「お前さんは一応は全ての魔法を使える」
ユキ「まじで。・・・・なんで」
婆「それは・・・・・今はどうでもいい話じゃ。だが、レインだけは違う。あの魔法には段階があっていまのところ3段階まで分かっておる。ユキが使えるのはまだ、1段階目じゃ」
ユキ「そうなんだ、それでレインを使える人と会ったらどうすればいいの」
婆「できれば仲間になってほしい。有望な人材だからな、無理なら友達くらいでいい」
ユキ「分かった、見つけられたらそうして見るよ」
婆「そうしてくれると助かる」
村長「なにを話しておるのじゃ、やはり残るのか」
ユキ「いや、なんでもない。それじゃ行ってくるよ」
皆「行ってらしゃ~~い」「元気でね」「がんばってこい」
フィーネ「・・・・・」
こうしてユキは旅立った。
婆「なにか言わんでよかったのかのう」
フィーネ「うん、またすぐに会えるだろうし」
村長「帰ってきたら告るのか」
フィーネ「なっ・・・・・フン」
フィーネはそれじゃと言うと踵を返し家に逃げた。
村人1「なに言ってんすか村長」
村人2「あはははははは」
村人3「村長も言動を考えてください」
村長妻「あ・な・た ・・・ニコニコ」
村長「やばい、きょろきょろ、よし皆戻るぞ」
村長が一歩踏み出したと同時に横やりが入った。
村長妻「あなた、そこに す・わ・れ」
村長「はっ、はぃ」
村長妻「今日は働かなくていいので明日の朝まで正座しててね」
村長「いや、ちょっとそれはわしには厳しすぎると」
村長妻「動いたら・・・・・・・にこにこ」
村長「何か言ってくれ、お願いだから」
そんなことで村では楽しい1日が始まった。
ユキの視点
ユキ「それにしてもこんなところを一人で歩くなんて初めてだな。平穏に首都まで着けばいいけど。まあ
無理だろうな」
そんなことを思っていると前方から微かに悲鳴が聞こえた。
ユキ「なんだ。・・・少し遠いけど行けるか」
そう思ったと同時に駈け出していた。それは異常な速さで普通の人が見れば「ん、風か」と思うくらいに早かった。およそ300メートルほど走りそれは見えてきた。
ユキ「っと、えぇ~とあれはケルベロス。あれ、たしかあいつはここから北東120キロ先にある世界で2番 目に大きな洞窟にいるんじゃ」
ケルベロス「グルルルル・・・ガァーー」
ベアトリックス「キャーー」
ユキ「っと、そんなこと言ってる場合じゃなかった」
ユキはそういうと一回の踏込で居合の構えでケルベロスの間合いに入り抜刀し切った。魔剣と言うこともあるのかあっさり切れた。だけど、ユキは不振に思った。
ユキ「ん、魔剣とはいえこんなにあっさり切れるのか」
そう思っているのとケルベロスが倒れるのが同時だった。
ズドーーーン
ベアトリックス「ふう、助かった~」
ユキ「大丈夫?」
ベアトリックス「うん、助けてくれてありがとう」
ユキ「そう・・・」スゥー
そういうとユキは右手に剣を持っているので左手をだしていた。ベアトリックスは、差し出された左手を嫌悪するでもなくつかんだ。
ユキ「「やっぱり」」
それでベアトリックスは手をつかみ立った。
ベアトリックス「それにしてもあなた強いのね。ケルベロスは一応は上位の魔物よ。それを切るなんて」
ユキ「・・・・・」
ベアトリックス「よく見るとその剣、魔剣のようだけど?」
ユキ「・・・・・」
ベアトリックス「どうしいたの?」
ユキ「どうして逃げてたの?」
ベアトリックス「どうしてって、相手はあのケルベロスよ。ふつう逃げるわよ、余程のバカではない限 り」
ユキ「でも、君強いよね」
ベアトリックス「な、なんでそう思うの?」「「やばい、もしかしてもうばれたの」
ユキ「だって左の指に傷があるから」
ユキの言った通り指には薄くだが傷がある。
ベアトリックス「な、なんでそんなことで強いって分かるの」
ユキ「否定はしないんだね」
ベアトリックス「いや、まずなんでそんなこと思ったの」
ユキ「それはね、傷が合ったから」
ベアトリックス「だから、なんでそんなことで私が強いと思うの」
ユキ「えぇ~とね、あまり知られていないけど医者の人でも同じようになる人もいる。手術をするときに 紐を引っ張って止めるときなどによくそんなふうになる。でも君は、医者じゃない。その証拠に左 にしかその跡がない、それで医者の線は消えた。それで、次に剣士だと思った。鞘から剣を抜くと きにたまにだが刃先にあたることがある。これは、初心者に多いが君のは重なっていた。だからそ う思った。まあ、強いかどうかは鎌をかけただけだ」
ベアトリックス「押し切っても無駄なようだ。こんな早くばれるとは、まあいい。ケルベロスを一太刀で 切るのだから相当とよいのだろうな」
ユキ「どうだろう、剣を握って一月もたってないからな。弱いかもよ」
ベアトリックス「そんなわけあるか、魔剣を持っていてそれにあの速さときた。相当強いのだろう。それ に魔法も使っていないようにみえるからおそらく人間だろう」
ユキ「いやいや、魔法だって使えるよ」
ベアトリックス「ほう、魔法も使えるのか」
この世界では皆が魔法を使えると言うわけではない。剣が得意でも魔法が使えない者は多いし、逆に剣の資質がなくても魔法の資質のほうが高い人間もいるにはいるがごく少数だ。両方使える者はほとんどいない。だから、特に魔法が使える者は特別視されるし両方ともなると王族や貴族は大金を使っても自分たちに付くように促す。
ユキ「ドジったのか、本当にドジったのか」
ベアトリックス「なにをグダグダいっている。そちらが動かないのならこちらから行くぞ」
そういうとベアトリックスは大きく後ろに跳躍し剣を出現させた。
ユキ「「は、今どうやった。魔法??」
そんなことを思っているとベアトリックスは一回の踏込で先ほど飛んだ場所からもうダッシュで距離を詰めてこちらに向かってきていた。
ユキ「勘弁してよ、おれに休憩はないの!!」
続きはまた後日。