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私だけまだ囚われている

作者: 南薫

別れを告げるあなたからの電話は ある日曜日の午後10時ちょうどにかかってきた

おそらく どう切り出そうか考えながら 時報を待って意を決してのコール

そこにあなたの生真面目さを認め

そしてその愛おしいほど不器用なあなたを失う悲しみが続いた


カレンダーを3枚めくる頃

胸のつかえはほとんど感じなくなり

久々にあなたの声を聞きたくなった


ある日曜日のお昼12時半ちょうど

あなたが寝ぼけ眼から抜け出す頃を見計らって

電話をとってくれるか うまく話せるか どきどきしながらのコール


久しぶり、元気だよ

懐かしい響きが 瞬時に身体に沁み込む

いま 人と会ってるから またあとで折り返すね

わずか24秒の会話



夜7時 まだ電話はない

でもちょうど晩ご飯時だから

9時になった 電話は鳴らない

きっとお風呂に入った後にとでも思ってるんだ

10時46分 友達からの電話 途中で着信音がないか 耳を澄ませながら早々に切る


11時ちょうどを告げる時計 朝が早い彼はそろそろ寝る頃だ


そしていま 0時58分

時報ぴったりにかけてくる あなたの不器用なやさしさの残骸をまだ 探している

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