プロローグ
「はぁはぁ」
「ガフグフゥ!」
騎士団に所属しているレント・ユルズは暗い森を走っていた。
「ちくしょう! ちくしょう!」
自身の所属していた騎士団は壊滅。
今回国からのクマ型の魔獣の討伐で自身の所属する騎士団三百名が派遣されたが下級の騎士がほとんどが所属しているため実力のない下級の騎士達は全滅隊長であった騎士団長は魔獣の群れに敗れ喰われて死んだ。
ただ死にたくないと思ったレントだけが敵を目前として逃げた。
「お、俺は死ねぇ! 死ねるか!」
全身はボロボロ、ついでに重い鎧も捨ててシャツ一枚、ズボン一つで逃げた。
剣は魔獣を三匹殺した辺りで使い物にならず捨てた。
「ははっ」
レントは笑う。
農民上がりにして十五歳で入団そして二年間騎士団に勤めていたが同級の連中に馬鹿にされて下級騎士止まり、お堅い上級騎士には馬鹿にされて酒をかけられて暴力を振るわれた。
「ちくしょう。 死ねるか」
悔しくて涙が出た。
自身を育ててくれた村に仕送りの為に騎士団に入団したが実力の弱いレントはどこでもたらい回しにされて苦しかった。
「ははっ死ぬのか俺」
目の前に魔獣の群れが見える。
その数五百。
「終わったな俺」
涙を流しレントは自身の終わりを悟った。
するといきなり魔獣達の首が吹き飛んだ。
「えっ?」
理解が追いつかず思考が停止した。
「……えっ? 何が起きた?」
レントは目の前の光景が分からず思考停止する。
「よかった」
女の子の声がした後レントは緊張が緩んで気絶した。