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最終話 「さんきゅーふぉあゆあぷれいんぐなのだ!☆」が表示されたら計測終了

 あれから3ヶ月が経ち、すっかり寒い季節になった。

 しかし私の周りは相変わらず、いや、前以上に騒がしくて暑いくらいだ。


「オトネちゃーん!デートしよ!」

「レイ様とですか!?させませんよ!」


「オトネさん!貴方はレイさんと別れるべきです!」

「嫌です!レイさんは渡しません!」


「オトネ!俺と付き合ってくれ!」

「決闘ですか!?望むところです!」


「オレの女になれ、オトネ」

「すみません!私は元々女です!」


「あ、あの、す、好きです、オトネさん…」

「レイさんのことがですね!?私もです!」


「星宙君、勉強で何かわからないことがあればいつでも…」

「ありがとうございます!わからないことはありません!」


 攻略対象たちはオトネへの好意を隠すことなくさらけ出しているが、ド天然娘のオトネは全て勘違いして流している。


 ちなみにオトネの魔法属性はすべてSになり(闇魔法は相変わらず計測不能だ)、サブパラメータは全てカンストという、シュトまほのサブタイトル通りの“奇跡の少女”になった。

 ついでに言うとヒサメ先生のオトネへの好感度もカンストしてる。

 鳥牧エイと下津羽ビイは手のひらを返して “奇跡の少女”となったオトネにすり寄っているが、軽くあしらわれている様子だ。


 ラゲツともあれからイベントを進め、あと一回ラゲツに会えば逆ハーエンドの条件を満たす。


 のだが、本当にこのめちゃくちゃな状態で逆ハーエンドになるんだろうか。

 いや、大丈夫、新チャートは完璧なはずだ。


 逆ハーエンドの条件を満たしたらオトネに私の悪行を全部バラすんだ。

 そうすれば私に失望したオトネは攻略対象たちの方に向かうはずだ…!




 ***




「ペンギンちゃん、また会ったね。これって運命なのかな?まるでひまわりと人参みたいだ。もっともっとキミを知りたいな」


 ラゲツの最終イベント。

 いつものようにオトネを一人にして、私とイナノは近くに隠れた。

 相変わらずラゲツは意味不明な電波台詞を並べているが、これで逆ハーエンドの条件は満たした!


 が、恋する暴走オトネはとんでもないことをやらかしてくれた。


「星宙オトネ、シュトラール学園中等部2年C組です!恋人は空ノ城レイさんです!」

「え?恋人?え?」


 オトネのまさかの暴露にラゲツは驚き戸惑っている。


 逆ハーエンドにつま先まで入ってたのに何してくれとるんじゃ!!


「ホホホ!全部遊びだったのよ、私に騙されて可哀想ねオトネさん!ご愁傷様!」


 オトネの行動にテンパりすぎて、もはや空ノ城レイのキャラがどんな感じだったのかわからなくなりながら物陰から飛び出した。


 さあ!失望しなさい!

 ショックを受けなさい!

 泣きながらラゲツに縋り付きなさい!


「あ!レイさん!えへ、この方が私の恋人なんです」


 んんん?

 もしかして私の言葉聞いてなかった?


「オトネさん、聞こえなかったかしら?私、別に貴方のこと好きでもなんでもないの。貴方の反応が面白くてからかっていたのよ」

「え…?」


 ヨシ!傷つけ!泣け!


「もしかしてそういうプレイですか…?ちょっとSなレイさんも素敵です…」


 ちっがーう!!!!!

 え?何?

 いつもだったらこういうときはショックで泣いてたでしょ?

 いつの間にこんなポジティブになったの…?


「それに、もしそれが本音だとしても、私のことを好きにさせてみせます」


 オトネはそう言うと静かに目を細めた。


「だって、私のレイさんへの気持ちは、後ろ暗くも、中途半端でもないですから」


 これは、前に私がオトネに言った言葉…。


「だから、私は自分勝手に堂々とやらせていただくことにしました」


 強い意思が感じられる目で私の目を真っ直ぐに見つめ、オトネは言葉を続ける。


「私は、レイさんが世界で一番大好きです」


 そう言ってオトネはにっこりと笑った。


 ドキ。


 …い、今の“ドキ”は何?

 なんで、ちょっと悪くないとか思っちゃったの?

 違う違う!私は乙女ゲームのイケメンが好きなドノーマルなの!


 というか逆ハーエンド迎えてくれないと私死ぬじゃん!


「何を言われたって私はオトネさんとは…」


 気を取り直してそう口にした瞬間


「ねえ!またライバルが現れたってホント!?」

「これ以上増えんなっつーの!」

「どこの誰だか知りませんがオトネさんは渡しませんからね!」

「って瑞光ラゲツじゃないですか…。こんな人に僕が勝てるわけないじゃないですか…」

「つーかまず空ノ城家の嬢さんを倒さねぇといけねぇんだけどな」

「星宙君、そろそろ目を覚ますんだ。君は空ノ城君に騙されている」


 生徒会の5人とヒサメ先生が血相を変えて駆けてきた。

 ヒサメ先生もすっかりなじんでしまったなぁ。


 って呑気に眺めてる暇じゃない!

 ラゲツの最終イベントが台無しじゃん!


 ヤバイ、これでラゲツのオトネへの好感度が下がっちゃったら爆死エンド…!?


「すごいね、ペンギンちゃん!こんなに沢山の人を惹きつけちゃうなんて、やっぱりペンギンちゃんは太陽だったんだね!ますます好きになっちゃった!」


 …なんで?

 なんで逆に好感度上がってるの?

 いや、そうだ、ラゲツには常識が通用しないんだ。


 あれ?ということは…


 ハッと顔を上げた瞬間、オトネたちの姿は消え、イケメンたちのスチルと共に人の名前を羅列した文字が下から上に流れ始めた。


 これは、まさか…


 戦犯リスト…じゃなくてスタッフロール!

 私は生きている…。

 つまり…!


「おめでとうなのだー!☆逆ハーエンド達成なのだ!☆さんきゅーふぉあゆあぷれいんぐなのだ!☆」


 ポンという軽快なSEと共に、目の前にラナビィが現れた。


 逆ハーエンド達成ー!!


「やったー!タイマーストップ!完走した感想ー!(激ウマギャグ)」


 両手でガッツポーズを作ってその場で飛び跳ね、喜びを全身で表現する。


「いやー、まさかあの状態から逆ハーエンドを迎えるなんてすごいのだ!☆絶対死ぬと思ってたのだ!☆ちょっと残念なのだ!☆」


 やっぱり殺そうとしてたんじゃねーか。


 まあ、いい。

 寛大な私はこのクソウサギのことも許してやろう。


 だってこれで私は晴れて自由の身!

 オトネとはさっさと別れてイケメンモブを引き連れてハーレムを作るんだ!


 シュトラール学園学食の調理師、町里ツカサ(まちざと つかさ)

 シュトラール学園司書、糸使ヨル(いとづか よる)

 空ノ城パパの右腕、富口マコト(とぐち まこと)

 ついでにオトネをナンパしてたNTR漫画に出てくる男みたいな見た目のチャラいモブ(名前不明)


 まだまだシュトまほには攻略不可のモブイケメンが存在してる!

 さすがにまた実は女でしたーとか、実は9歳のショタでしたー、なんてことはないだろう!


 私の未来は明るい!

 待ってろ私のハーレム!!!!

 なんならカイも6年くらい経ったら私の守備範囲だ!


「じゃあ引き続き第二の人生、『シュトラール学園~5人の魔法使いと奇跡の少女~』を楽しんでほしいのだ!☆」


 ラナビィがウインクした瞬間、ラナビィとスタッフロールは消えて目の前には先ほどまでの光景が…ん?


 違う、ここは…私の部屋。

 天蓋付きの高そうなベッド。

 空ノ城レイのベッド…。


 …は?

 最初からやり直し?

 リセットはできないって言ったじゃん!

 なんなのあのクソウサギ!

 夢オチなんてサイテー!


「お目覚めですか、レイさん」


 この世界に来たときと同じようにイナノが私に声をかける。

 ああ、ほら、やっぱり最初からやり直しじゃん。


 …ん?イナノは私のことをレイ様って呼んでたような?


 声の方に視線を向けると、そこにはいつものようにイナノがいた。

 ただし、隣にはいるはずがない人…オトネも一緒に立っていた。


 …???


「レイさんと一緒に暮らせるなんて私、幸せです!」

「はあ!?」


 思わず素っ頓狂な声を上げる。

 一体どういうことかと尋ねようとした瞬間、大きな音を立ててドアが開いた。


「オトネちゃーん!ごはんだってー!」

「今日の朝飯はパンケーキだってよ!」

「朝から甘いものとかきついですよね…。空ノ城家の人って何考えてるんですかね…」

「だったらシンド先輩は出ていけばいいんじゃないですか?」

「朝から喧嘩すんなって。オイ、飯だぞオトネ!」

「朝食は脳を活性化させる。皆しっかりとるように」

「カッセーカ?カッセーカってなんだかパンジーに似てるね!」


 生徒会の5人、ヒサメ先生、ラゲツがわいわいがやがやと私の部屋になだれ込んでくる。


 待って、なんで攻略対象全員が私の家にいるの?

 生徒会の5人とヒサメ先生はともかく、ラゲツまでいるじゃん…!


「何これ、夢?」

「夢ではありませんよ」


 目の前の光景が理解できずに混乱する私に、イナノがいつも閉じている目を薄く開いて静かにこう言った。


「だって、これは逆ハーエンドの続きですから」


 …はい?

 なんでイナノが逆ハーエンドって言葉を知ってるの?


 なんで?

 なんでこうなったの?


「誰か教えてよー!!」


 私の叫びが空ノ城家の屋敷に響き渡ると同時に、『はーいなのだ!☆わからないことがあればラナビィが教えてあげるのだ!☆』という言葉と共にクソウサギが現れたので逃げられる前に速攻で闇魔法を放ってやった。

 ラナビィは『痛っ!何すんの!?…なのだ☆』とかほざいてたのであと2発くれてやった。


 というわけで、こうして私の逆ハーRTAは完走したのだった。



 タイマーストップ☆

つたない文章でしたが読んでくださった方、ありがとうございました。

悪役令嬢←ヒロイン←攻略対象たちのギャグが見たくて書かせていただきました。

近日中に後日談とおまけ漫画を投稿させていただきます。


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