第二十二話 祭りの後
※この話は生徒会の5人視点になります
シュトラール学園生徒会庶務、レッカだ。
俺には今いい感じの女の子がいる。
名前は星宙オトネっていうんだけど、よくデートに誘ってくるし、初対面で悪態ついたっていうのに俺にすごく優しいし、俺のメイド姿を見て可愛いって言ってくれたから多分俺に気がある。
と、思って学園祭のキャンプファイヤーでダンスに誘ったんだが、先約があるとか言われて断られてしまった。
…は?
いやいや誰だよ?
シズク?
いや、オトネがあんないけ好かないキザ野郎を選ぶわけがない。
じゃあイブキ?
まあイブキはたしかに一緒にいて楽しい。
でもイブキはチビだし、オトネの恋人っつーより弟って感じだろ。
シンド副会長…ないない。
あんな陰気な人が明るくて太陽みたいなオトネと一緒にいたら蒸発しちまうだろ。
となるとライコウ会長…。
あり得る…。
あの人強引だし、力づくでオトネをモノにしようとしてるに違いない!
畜生…!
俺がオトネを救わなきゃ…!!
***
シュトラール学園生徒会書記、シズクです。
品行方正、眉目秀麗、十全十美、そんな僕と釣り合える女性などこの世にいるのでしょうか。
しかしようやく候補を見つけました。
星宙オトネさん。
生まれつき魔法が使えないという枷を負いながらも僕の指導により魔法の才能を開花させた女性。
よく僕をデートに誘ってきたり、勉強を教えて欲しいと頼ってきたりするのでオトネさんは僕のことが好きに違いありません。
ま、まあ僕と付き合うのは荷が重いかもしれませんが、オトネさんがどうしても僕のことを好きだと言うなら付き合ってあげてもかまわないのですが。
と、思って学園祭のキャンプファイヤーでダンスに誘ったのですが、先約があると言われて断られてしまいました。
…は?
いやいや誰ですか?
生徒会には僕以上に素晴らしい男性などいないし…。
…ハッ、ヒサメ兄さん…!?
ヒサメ兄さんは僕の従兄なのですが、僕が唯一認めた素晴らしい人です。
賢良方正、才気煥発、そしてかっこいい。
僕の目標であり、憧れである。
ヒサメ兄さんが相手なら僕は勝てない…!
いや、ダメだ!
戦う前から勝負を投げてどうするんだ、シズク!
僕は今日からヒサメ兄さんに憧れるのをやめる。
ヒサメ兄さんを越え、オトネさんを僕の恋人にするのです!
***
シュトラール学園生徒会会計、イブキだよ。
いきなりだけどボク、今すごいムカついてるんだ。
最近星宙オトネちゃんがボクのオキニイリなんだけどさ、誰かがオトネちゃんに手を出してるみたいなんだよね。
オトネちゃんいつもボクに笑いかけてくれるし、猫カフェでもボクのこと撫でてくれたし、オトネちゃんゼッタイボクのことがスキなのにさ。
だから学園祭のキャンプファイヤーでダンスに誘ったのに、先約があるとか言うんだよ!?
オトネちゃんヤサシーから最初に誘ってきた人のオネガイ断れなくて、ホントに踊りたいボクと踊れなくなっちゃったんだよ!
ゼッタイに許せないよね…?
そういうフトドキなことするヤツ誰?
レッカ?シズク?ライコウ?シンド?
いや、誰だっていい。
誰だとしても…オトネちゃんはボクのものだって知らしめてあげないとね。
***
シュトラール学園生徒会会長、ライコウだ。
学園祭ではえらい失態をしでかしちまった。
オレと空ノ城家の嬢さんの喧嘩にオトネを巻き込んじまって、オトネを怪我させるところだった。
このケンカっぱやい性格なんとかしねぇとって思ってるのに、つい売られたケンカは買っちまう。
そのせいでオトネには迷惑をかけちまった。
オレが、オトネを守らねぇとって思ってたのに。
惚れた女を守んのが漢だろ。
多分オトネもオレのことを少なからず思ってる。
オトネのオレを見る目は惚れた女の目だ。
危ねぇ目に合わせたことも謝りたかったし、学園祭のキャンプファイヤーでダンスに誘った。
そしたら先約があるとかで断られちまった。
…あ?
いや、わかってる。
レッカもシズクもイブキもシンドもオトネに惚れてるっつーことは。
このオレを出し抜こうとはいい度胸じゃねぇか。
見とけよ、てめぇら…!
***
シュトラール学園生徒会副会長、シンドです。
なんで僕みたいなどうしようもない人間が副会長なんですかね。
シュトラール学園の七不思議ですよ。
まあこんな僕でも恋はするわけで。
星宙オトネさんって言うんですけど、あの人ずっと魔法が使えなかったんですよね。
魔法なんて生まれたときから誰でも使えるのに、こんなどうしようもない僕以下の人間がいるのかと優越感を覚えてました。
ですがいつの間にか複数の属性の魔法を使えるようになってたんですよ。
ま、まあ複数の属性の魔法が使えるといっても初球魔法ですけどね。
で、なんでオトネさんが好きかというと、オトネさんが僕以下の人間だから………いや、そうじゃなくて…。
あの人、魔法が使えなかったのに誰かを恨んだり自分を呪ったりしなかったんですよ。
もし僕がオトネさんだったらとうの昔に自〇してましたね。
なのに、あの人は一度だって辛そうな顔をしなかったんですよ。
毎日、本当に楽しそうで…。
だから、気が付いたらオトネさんを好きになっていたんです。
…オトネさん、これ以上頑張らないでください。
僕より魔法が使えるようにならないでください。
僕以上になってしまったら、きっと、僕はオトネさんに見下されてしまう…。
見下さないで。
他の奴らと同じ目で僕を見ないで。
いつまでも、僕以下のオトネさんでいて…。
すみません、一人で盛り上がってしまいました。
ええ、まあ、どうせ断られることはわかってたんですけど、学園祭のキャンプファイヤーでダンスに誘ったんですよ。
はい、もちろん断られましたよ。先約がいるとかなんとかで。
誰かは知りませんけどどうせ生徒会の誰かでしょうね。
みんな僕よりすごい人ばかりですから。
僕なんか、どうせ…。




