表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
14/41

第十四話 学園祭がやってくる!

 2学期が始まった。


「レイ様ごきげんよう」

「あら、ごきげんよう」


 休みボケで体も頭もすっかりなまっている。

 しかし私は空ノ城家の一人娘なのだから気を抜くことはできない。

 なんか最近レイ様おかしくない?とか思われてしまったら…、そしてもしそれが空ノ城家の人間の耳に入ったら…。

 最悪空ノ城家の人間失格の烙印を押されて追放されるかもしれない。


 パーティ追放ものみたいに!


 そうなるともう贅沢三昧の暮らしはできない…。

 転生前には食べたことのなかったような超高級料理に舌鼓を打つことも、黒塗りの高級車で登下校に迎えにきてもらうことも、歩くだけでみんなが頭を下げるいい気分も味わうことができない。

 いや、そんなことよりも最悪シュトラール学園を退学することになるかもしれない。

 そうなると爆死エンドだ!


 絶対に空ノ城レイの中の人が変わったとバレるわけにはいかない!


 …いやまあ、たまに素が出ちゃうけど。


「レイさん、イナノさん、おはようございます!」

「あら、おはよう」

「…おはようございます」


 私を見つけたオトネが駆け寄ってきて深々と頭を下げる。

 そして嬉しそうに微笑みながら私と肩を並べる。


 長い休みが終わったというのにオトネは元気だ。

 学校を楽しむ、これもヒロイン力のなせる技なのか。

 うらやましい。

 私なんかできれば学校に行きたくないのに。

 いや、シュトラール学園にはイケメンが多いから目の保養になるし、逆ハーエンドのためにははいつくばってでも行かなきゃいけないんだけど。


 それでも勉強は嫌だー!

 なんで転生しても勉強しなきゃいけないんだ!


 なんてことを考えながらも涼しい顔をして歩く。

 私の悪役令嬢力も大したものだと思う。


「ねぇねぇ聞いた?今年の学園祭のゲスト!」

「聞いた聞いた!ラゲツが来るんだよね!」


 女子たちの噂話が耳に入る。

 そうか、シュトまほの2学期といえば学園祭。

 学園祭といえば二人目の隠しキャラ、瑞光ラゲツ(ずいこう らげつ)だ。


 シュトまほの世界にも芸能人というものがいて、ラゲツはT層やF1層に特に人気のあるアイドルだ。

 イケメン揃いの攻略対象たちの中でもラゲツは特に整った美しい顔立ちをしている。

 シュトまほファンの間で「#ラゲツは美術品」という謎のタグが流行ったくらいに。


 生徒会の5人とヒサメ先生はもうクリアしたようなもの。

 この6人に関してはよほど変な行動をとらない限り問題はないから、もうオトネ任せ(オート)で構わない。

 だがラゲツを攻略するには決まった日付に決まった場所に行かなければならない。

 これだけはオトネ任せ(オート)にするにはあまりにも運否天賦すぎる。


 攻略対象は残り一人。

 ラゲツをクリアできれば逆ハーエンドは確約されたようなものだ!

 これだけはめいっぱい誘導しなきゃ…!


「もうすぐ学園祭ね。一緒に回らない?」

「は、はい!ご一緒させていただきます!」


 よし、これで学園祭当日にオトネを誘導すれば第一段階はクリアだ。

 心の中でガッツポーズをとっていると、向こうからイブキが駆けてくるのが見えた。

 その後ろには他の4人もいる。


「へへ、いっちばーん!オトネちゃん!今度の学園祭でボクのクラス、猫カフェやるから遊びにきてよ!可愛い猫ちゃんいるよ!」

「動物で釣ろうとはあさましいですね、イブキ。うちはクラシックが流れる優雅な執事喫茶ですよ。そういえばオトネさん、ケーキ好きでしたよね」

「いやお前もモノで釣ってんじゃねェか。うちはイマーシブシアターをやるからオトネも来いよ。何が起こるかわかんねェから楽しいぜ」

「僕のところはお化け屋敷ですけど、何もサービスできないし来てくれるわけないですよね…」


 イブキたちが口々に自分のクラスの出し物をアピールしている。

 アピールできてないのもいるけど。


 おうおう、私もいるんですけど一人くらい私も誘ったらどうなんですかね。

 こっちは空ノ城家の一人娘ぞ?


「お前ら生徒会だろ。ちゃんと生徒会の仕事しろって」


 そんな中、レッカだけがキャラに合わない真面目なことを言っている。


「えー、レッカそんなマジメキャラだっけー?」

「じゃあ誰が生徒会の仕事するんだよ!学園祭には学校外の人も来るんだし、学校を守るのが俺たち生徒会の仕事だろ?」

「いやまあそりゃそうだけどよ…」

「何か変なものでも食べましたか?」

「あー、拾い食いしそうですもんね…」


 私は知っている。

 レッカがキャラに合わない真面目なことを言っている理由を。


 これはオトネの好感度を上げるために真面目なことを言っているわけではない。


「たしかレッカのクラスはメイ…」

「わー!言うな!言わなくていい!オトネも俺のクラスにはこなくていいから!ほらお前ら行くぞ!学園祭の準備で忙しいんだから!」


 何か言いかけたシズクの口を両手で塞ぎ、レッカはそのままシズクを引きずりながら去っていった。

 他の3人も「ヤクソクだからねー!」「絶対来いよ!」「気が向いたらうちにも…」とか言いながらしぶしぶそれについていく。


「オトネさん、絶対レッカさんのクラスに行くわよ」

「え?でも、レッカさんはこなくていいって…」


 そう、レッカのクラスは学園祭の定番、メイド喫茶なのだ。

 イナノのようなクラシカルなメイドではなく、ミニスカートのフリフリの萌え萌えのヤツだ。

 女も、男も。


 そう、男も!!


 レッカ推しのユーザーからは賛否両論…主に否だった女装イベント。

 他の4人は乙女ゲーのイケメンらしい専用の立ち絵やスチルが用意されているというのに、レッカだけがフリフリ萌え萌えミニスカメイド。

 レッカのかっこいい衣装が見たかったレッカ推しユーザーから猛反発を食らったが、中には新しい扉を開いてしまったユーザーもいるらしく、一部界隈では大変盛り上がったようだ。


 しかしレッカ推しのユーザーもまだまだ修行が足りない。

 そっちの趣味がなくとも、気になってる子(ヒロイン)にあられもない姿を見られて恥じらうイケメンは萌えるだろうが!


 絶対生で見たい!


「フフ…、楽しみね」

「そ、そうですね!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ