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残り物には福がある  作者: 橘 葵
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久しぶりの三者猥談

 マスタング領に辺土統括軍が帰還した。 今夜は3人で旧交を温める会を開いている。


「結局、ブルースは何を壊したのだ?」

「瘴気を生んでた元凶だよ」

「ですから、それが何かと聞いているんです」

 悪いが僕は誰にも話す気はない。 この世界をモデルにしたゲームがあって、あるいは、ゲームをモデルにこの世界が作られたのだとして、その配役に僕は疑義がある。


「ダイアナは実際、いい女だと思うぞ」

「おまえは、何を言いたいのだ?」

 あらかじめ、配役の決められた人生など、呪いでしかない。 人は学び、努力して、失敗もして・・多くの経験や出会いを通じて、その人となる。 


「ゾンダ家の姫って大変だよな。 聖女の認定も迷惑な話だ」

「私は平気です」

「そうだ、何を今更」

 生まれの不幸もあろうが、それを甘受するのもまた、その人であるべきだ。


 例のタブレットを破壊した直後、辺りの瘴気の濃度が急激に低下し始めた。 後に知ったが、件の地下空間の奥が魔素噴火口と繋がっていて、気持ちの悪い蔓は、その火口から伸びた物だった。


「妬み嫉みを集める呪具のような物だったんだと思う」 

「呪具を発見されたのですね?」

「魔素が瘴気と化すほどの呪具か・・想像もつかんな」

 特別な存在に生まれ変わって願いをかなえる。 裏を返せば、特別な存在に対する嫉妬が、ああいったゲームの求心力なのだろう。


 ともあれ、突然の変化に戸惑う魔獣を尻目に、僕らは帰路を急いだ。 途中、神亀タロウの協力もあり、噴火口を出て3日で、統括軍本陣へ辿り着くことが出来たのだ。


 *****


 毎度の事ながら、お酒が回ると、楽しくなってしまう。 


「嫉妬といえば、こいつも酷い」

「私が何時ブルースに嫉妬した?」

 ふにゃ? 飲み過ぎたかな?


「妊娠したと嘘を付いて、結婚を迫ったんだ」

「なっ? ななっ? おまっ?」

「あら、ダイアナ様ったら抜け駆けですか?」

 あ・・誘われてる。


「嫉妬深い女よりティアと子供を作る」

「私もブルース様のお子が欲しいです」

「ちょっと待てブルース! ティアも酔った勢いとか後悔するぞ!」 

 ティアって嫁だっけ? 愛人かな? まあいっか。 


「おい、ティアに乗るな! ティアも服を脱ぐんじゃない! くそっ 無駄に力が強い。 シンシア、手を貸してくれ!」


 ***** 


 朝だ・・頭が痛い。


「もう、昼過ぎですよ」

「なっ?」

 何故、シンシアが隣に寝てる?


「酷い男。 抵抗する私を無理やり組み敷いて、あんなことや、こんなことまで」

「あんなこと? こんなこと?」

「はい、明け方までぶっ通しで」

 シーツの彼方此方に証拠の数々が・・真っ赤な牡丹まで咲いてる。


「もーしわけありませんでした!!!」

 取り敢えず、土下座しておこう。


「逆に傷付きましたわ」

「う」

「憶えてないだけではなく、随分と後悔されてるご様子」

「だって、無理やりは良くないだろ?」

 不同意ダメゼッタイ。


「酔った貴方に、私をどうこう出来ると思っているのですか?」

「う」

 多分無理だと思う。


「よく反省して、次はシラフの時にお願いしますね」

「反省します!」

「それでは、マスタング卿、女は色々と支度がありますので」

「失礼します!」

 ガウン1枚で、自分の寝室から追い出されてしまった。


「おはようございます。 旦那様」

「おはよう、エリナ」

 寝室の前には、()()()()()()()()()()エリナが待っていた。


「別室をご用意してます。 そちらでお支度を」

「うん、気が利くね」

「いえ、奥様のお指図ですので」

 この後、絶対怒られる。


 +++++


 昨晩のことが頭でグルグル回って整理がつかない。 あれは、ブルースの前世は直樹だという意味だ。 ブルースと直樹には、それぞれ別々の感情を抱いていたのに、どう整理すればいい。


「ダイアナ様、お茶が冷めてしまいますわ」

「ん?・・ああ」

 茶会の気分ではないのだがな。 ティアの話とは何だろう?


「昨日は、久ぶりに楽しいお酒でしたね」

「いや、ティアは酒を控えた方がいい。 何がとは言わんが、肝が冷えたぞ」

 危うく貞操の危機だった。 互いにきっと後悔する。


「あれは酔った振りをしていただけですわ」

「なっ・・ティア?」

「せっかく王女ではなくなって、思いを遂げるチャンスでしたのに」

 何たる事だ。 すっかり騙されていた。 子供とばかり思っていたティアも、当たり前だが女なのだ。


「それで、話というのは昨日のことです」

「うむ」

「ナオコ様・・とは前世のお名前ですか?」

「えっと・・その、そうです」

 酔っていなかった・・つまり、ティアは全部覚えているのだ。


「私達の今後について相談したいのです」


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