推しが夢に出てきた?!
その日の夜は私の大好きな曲「Flying sky」を聴いて布団に潜った。
この曲は勿論、私の推しである野原浩之さんが歌っているのである。
元々邦楽が大好きで色々な曲を聴いていたが、声優さんが歌を歌うことがあることをにわかファン時代は全く知らなかった。
そんな私でも、推しが歌っていることを知り早速聞いたがこの曲。
頭からサビになるフレーズを歌いそこからのイントロはロック調でAメロBメロとカッコイイし、歌詞も凄い刺さるものばかりでとてもいい。
そして!何より、ビジュ(ビジュアル)がいい!!もうね、ほんとにかっこいいんですよ。
ほんとに全世界に布教したいぐらいにかっこいいんです。
そんなこんなで最高の気持ちで眠りにつく
目を覚ますとそこは普通の街中だった。
「え?ここどこだ?」
周りをぐるぐる見渡すと都会に私はいるらしい。しかも駅前…。
自分の格好も見ると着たこともないような可愛らしいワンピースを着ていて理解が全く追いつかない。
ふと前を見るともっと頭がこんがらがることに推しの日野さんが立っている。
え?これは夢ですか?夢ですよね?と頭に何度も呼びかけ急に上がる体温を感じ取る。
そんなことをしているうちに日野さんと目が合いニッコリ笑ってくれているではないか。
脳内がパンクしてしまいそうなほど情報が多すぎてついていけない。
ブーブー
そんな私を我に返させたのは自分の腕時計だった。シンプルな時計だがバイブを鳴らしているのは携帯ではなくこの腕時計らしい。
よく見るとその時計は普通の時計ではなく、タイマーのようになっていて後、9:56、9:55…
10分測っているようだ。
「なにこれ?」
不思議だなぁと思っていると先程目が合った日野さんが目の前にいてなんの前触れもなく私の手を引いた。
ひぇぇええ?!!と心の声が漏れているか漏れていないかのところで日野さんは
「今日いつもより可愛いね」と喋った。
しゃ、喋った?!!!
もう私は爆発していてもおかしくないぐらいに顔が真っ赤になる感覚に襲われる。
こんなことを普通に言えてしまう日野さん(多分夢だけれど)凄いな……。
感心するのもつかの間、日野さんは私の顔を見ながら
「どこ行こっか?」
と微笑みかける。顔がにやけてないかとても心配だが、日野さんの瞳に吸い込まれるように口も勝手に開いて
「お花見」
と言っていた。
自分の頭の中では何を言ってんの?!とまだまだ現状理解できていない私の言葉が暴れ回る。頭の中がボコボコになりながらも日野さんの優しいいいよの言葉が更に追い打ちをかける。
急な場面転換の後、そこは桜並木が見える河川敷に2人でレジャーシートもちゃんとひいておにぎりを食べていた。
日野さんは凄く美味しそうに好物の梅おにぎりを食べていて、可愛くご飯粒が口元に付いている。こんなに可愛い39歳がいていいんですか?と1人ノックアウトを受けているのだが、日野さんは米粒に気づいて取った米をぱくりと食べた。
今度は、私の方に手を伸ばしてきて米粒を取ってまた口に入れた。
「え?」
驚いたのと同時にバイブがなって気づくといつものように明るくなった自室だった。
布団から体を起こすと、パジャマ姿の自分と電子音を鳴らす目覚ましがあるだけ。
ワンピースも河川敷も梅おにぎりもない…。
パシリと目覚ましを止めてまた夢だったとじたばたするが、こんなことをしてしまっても意味が無い。
夢を振り返ると10分測る腕時計が確かあった。
あの腕時計は何を測っていたんだろうか…
あ!もしかして夢の時間か?!
ぐるぐるしていた頭が活性化されたかのようにぱっと思いついた。
夢の話だが、もしかするとあの時計は夢の時間を測っていて夢の中で10分経つと朝になる仕組みなんじゃないかと考えた。そうするとなんとなくだが辻褄が合うような気がする…。
「んーーー。。でも、夢だしなぁ。。」
よく分からないまま、ただ幸せな夢だったなと朝食を食べにリビングに向かった。