8/32
2
わたしは私服に着替えて、部屋を飛び出した。
「アレ? ルナ、どこ行くの? もう日付け変わるわよ?」
同居している親戚のルカが、声をかけてきた。
「ちょっと出かけて来るわ! すぐ戻るから!」
「えっええ。気を付けてね」
マンションを飛び出し、自転車に乗って彼女の家まで行った。
自転車で20分の所に、彼女の家がある。
一戸建ての家の前で、彼女がうずくまっていた。
「ルナちゃん…」
「ちょっ、大丈夫?」
彼女に駆け寄ると、随分衰弱しているようだった。
…元々気の優しいコで、イジメなんて出来るコじゃなかった。
なのにムリをして…。
「…とりあえず、部屋に上げてくれる?」
彼女はうなずき、扉を開けてくれた。
両親はリビングにいるとのことなので、バレないように静かにゆっくりと階段を上り、彼女の部屋へ行った。
彼女はベッドに座り、わたしは彼女の真向かいに腰を下ろした。
「あの、ね…」
「うっうん」
「ルナちゃん…。にぶいから気付いていなかったかもしれないけど」
ぐさっ★
…言葉が胸に突き刺さった。
「委員長、ね。今、みんなに命令しているの」
「わたしをイジメるように?」
「…うん」