締め括り
微笑ましいわたしとアオイの様子を、遠くから見つめている二人の影がある。
「―やれやれ。微笑ましいですね」
「恥ずかしいぞ、私は。…ったく、こうなるなら、なりたいって言えばいいものの」
ソウマとマカだった。
「…それで、どうします? マカ」
「はぁ…」
マカは深く息を吐いた後、背後に鋭い視線を向けた。
「ハズミ、マミヤ」
木の影から、二人の青年が出てきた。
「はいはい」
「何のようだ?」
明るくはしゃいだハズミと、真面目で無表情のマミヤは正反対のタイプ。
―でもこの二人は、血族が使役する人間だったもの。
「あの二人の監視を頼む。ヤバそうだったら、ソウマの店へ」
「分かったよ」
「ああ、任せろ」
そう言って、二人は再び影に溶けた。
「ヤレヤレ…。ルナが1番の悩み種になるとは、な」
「まっ、良いじゃないですか」
ソウマはわたし達を見て、微笑んだ。
「あんなに幸せそうに笑うルナさんを見たのは、久し振りですよ」
「…まあな」
マカは複雑な表情で言った。
「ああ、そうだ。ソウマ」
「はい」
「一族の主に話をつけといてくれ。近々、わたしの方から訪問すると」
ソウマは苦笑した。
「ご苦労さまです」
「ああ。あそこの主とは会いたくないが、コレもしょーがないだろう」
そう言ってマカは出口に向かって歩き出した。
ソウマも続いて歩き出す。
そしてわたし達を肩越しに見て、マカは呟いた。
「―コレも、次期当主である私の仕事だからな」
ソウマは何も言わずに、笑った。
【終わり】




