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せっかくもらったセーブ&ロード能力を生かして、静かに学園生活を送りたい。

作者: 残基三

石川伸之高校2年の夏休みのことだ。


車道に飛び出した猫を突き飛ばし間一髪助けることに成功したが。


俺は真っ赤なスポーツカーにひかれて死んでしまった。


「自分の身を挺して猫を救うとは!すばらしい感動した!」


自称神様に別の世界なら生き返させてくれるといわれて、どうせならゲームのファンタジーみたいな世界がいいとダメ元でお願いしてみると。


「よし、おぬしの願いかなえてあげようじゃないか。そのままだと危ないから特殊な力もおまけしておこう。」


神様から貰った能力は、セーブ&ロード能力でした。


心の中でセーブと念じるだけと親切設計。


当然セーブもロードも死んでしまったらつかえないので、死に戻りはできないようだ。


身に危険が迫れば即ロードしなくちゃいけないけど、痛みで意識が飛ばないとも限らない。


全力で防御特化にしなくてはと心に誓いながら俺は異世界に転送された。


「うーん、着の身着のまま異世界に来てしまったが、このあとどうすればいいのだろうか。」


ステータスを見れば年齢は10歳になっていて、容姿も変わっていたしあれ名前も石川でなくなっていた。


セミスという子供の体に。


ああ、俺は転生じゃなくてどこかの誰かに乗り移ってしまった。


体の持ち主は、木登りをしていて不注意により木から落ちたらしい。


そのとき持ち主は死亡して、そのかわりに俺が入ったということなのだが持ち主のふりをしながらの生活

はとても大変だった。


親は頭を打って変になってしまったと思われてしまっていることだろう。


10歳になると教会で魔力測定が行われている。


俺の魔力はその測定で平均より高い数値を出してしまったために、王立学園へ通うことになってしまった。


親は大喜び、頭を打ったおかげで変な性格になったが魔法の才能が芽生えたということだろうか。


両親とも魔法の才能がなかったので鳶が鷹を生んだのだろう。


王立ヘンリエル学園は全寮制で親元を離れて暮らせることに、僕はほっとしている。


ステータスは魔物を倒さないと上がらないので、この世界に来てからそれはもう死ぬ気で魔物討伐に夢中になった。


10歳の子供じゃ森にはいるのを見られてしまえば連れ戻される。


内緒で森の中に出かけてはセーブをして魔物に切りかかった。


一撃でも当たれば死にそうなほどの痛みを受けて、そのままとどめを刺される落ちしか見えない。


僕は慎重に相手の行動パターンを覚えて、攻撃の回避行動の癖などありとあらゆる敵の行動を覚え続けた。


へとへとになればすぐにロードして体力全快で同じ魔物に挑む。


死が怖いから臆病な方がよかった。


一日で何百と同じ敵に挑む、一度でも失敗すればそれは俺の死に直結したからだった。


そうしてレベルを上げてステータスも多少は良くなった。


王立学園は、貴族が牛耳るとても平民には生きづらい学園で俺もこそこそと生活していた。


目立たないようにと期末テストの点数をセーブロードで赤点にならないように調整したり、わざと怒らせ

て騒ぎを起こせばどういう感じになるとか


まあ、学校でもいろいろ試してみたがやはり、赤点ギリギリのダメ生徒を演じていた方が無難に生活できたのでした。


授業の模擬戦は、同じ相手と何度も戦った。

挑発して怒らせてみたり、相手を力で圧倒してみたりと何パターンか試して一番いい結果を選択した。

順調順調で毎日がとても穏やかに生活できていたのだが・・・・。


「おい。セミスお前の成績が非常によくない、お前だけに試練を与える!死ぬ気で成果を出せ!でなければ退学だ!!」


なんてこった、夏季休暇前の1学年総当たり戦の準決勝に進出しないと退学とかふざけるな!!


これまで穏便に生活してきたのに、いまさら目立てというのか!冗談じゃない!!


とはいえ、退学になって家に帰るなどなんと親に言えばいいのだろうか。


あんなに周囲に自慢していた光景が今でも思い浮かぶほど印象に残っている。


性格が変になり親を心配させまくっていた唯一僕にできる親孝行は、学園を無事卒業することなのだ。


さぁ、始めよう、これは僕の戦いだ。



その日以降貴族にわざと突っかかり勝負をして行動パターンや能力をさぐる地獄の日々が始まった。


エーリカ・ベルフォンスという学園最強の魔術士で王位第四継承権を持つお嬢様はすべてを見下していた。


「ハエが騒々しいわね。」

つぶやきと指を鳴らし起こる爆発で僕は何度邪魔をされただろうか。


不意打ちから来る爆発は致死性ではないが意識が飛ぶほどの威力に廊下で騒動を起こしてい俺や野次馬までもが巻き込まれた。


「くそが!あいつをどうにかしなければ貴族たちの威力偵察がおこないないじゃないか!」


金髪ツインテ高飛車女がぁ!!!


ロードをすればするほどエーリカへの憎悪の感情が蓄積されていきました。


爆破の邪魔が入ったせいで戦闘データ収集は苦行であったがなんとか終わった


あの野郎とのステータスの差を埋めるために俺は、ギリギリで勝てる魔物へ挑む日々が始まり毎日が満身創痍であった。


ズタボロな僕だがクラスメイトの関心は少なく、いつも通りの授業を終えて放課後の地獄へと身を投じた。


ロックタートルまじかてぇー!!全然はがたたねーっつーの。


レッドダイナーとかあんなデカ物どうやって一人で倒すんだ!無理だろ!!


ステータスを上げるのに無茶をし過ぎて、罠やほかの魔物を誘導してぶつけるとかもうありとあらゆる手段を駆使してやり遂げた。


もう、絶対ぜーったいやらないぞ!こんな無茶は金輪際やらん、いつか本当に死ぬ!


とまあ、かなり無茶をしてステータスを上げたがこれで届くのだろうか追い付けた気がしない。


対戦相手はくじ引きで決められる。


僕もくじを引いたが、そりゃ、あんまりだと嘆くしかできない結果に終わってしまった。


「まじで、あの底辺やろう終わったな。」


「うわぁーかわいそう。」


周囲もそうおもうだろう、僕もそう思うんだよね。


神の悪戯なのだろうか、一回戦目にエーリカと当たことになってしまった。


ねぇ?普通こういう熱い展開って決勝戦でしょ。?


そんな感じで学期末の予選試合が始まりを迎えた。


一回戦の処刑タイムが始まりました。


「はぁ、こんなのとやらなくちゃいけないわけ?面倒だから私の勝ちでいいでしょ。」


「退屈でしょうが規則ですので少々我慢してください。」


って!審判お前はどっちの味方なんだごらぁ!


「わかったわ、じゃあ初めてちょうだい。」


号令とともに爆音が会場内にとどろき俺の敗北は決定した。


ふざけ!ステージいっぱい爆発させやがって逃げ場なんてねーじゃねーか!!


死なないので何度もロードできるが攻略方なんて無理だろ。


エーリカの爆発が起きれば場外に吹き飛ばされる。


ガードに障壁に後方からの突風など散々試したがすべて無駄で爆破の衝撃に吹き飛ばされ場外へ投げ出された。


爆発起きたらどうやっても逃げきれない。


初回の攻撃パターンを変えるしかないじゃないか!といろいろと挑発仕掛けたが全然無視ですよ、無視!


悪口も言ったし、身体的なことも言ったし結構女の子相手に酷いこといった自負はある。


だが、彼女は終始冷静で悪口作戦は失敗に終わってしまった。


ああ、もうこれは破れかぶれだ!


「俺が絶対この試合で勝って!お前を俺の物にしてやる!」


「なっ!平民の癖に何馬鹿なこと言ってるのよ!」


白く雪のような肌がもう真っ赤っかだった。


いや、大問題でしょ。あんたも反応してはいけない言葉で反応するなよ!


エーリカの精神が乱れたのか、初撃が爆発からファイヤーボールに代わる。


爆破よりはましだが、高速のファイヤーボールは俺を貫く勢いで飛翔してくるのが問題だ。


一発退場はないがこんなの当たったら死ぬわ!


「何で避けるのよ!この変態!いい加減燃えなさい!」


冷静さを失っているのは良いことなのだが、求婚に慣れてるお嬢様があんな言葉で何故心乱すのかよくわからん。


さて、俺の得意魔法はなんだかんだで身体強化になってしまった。


色々魔法は使える。


ファイヤーボールとか詠唱しなくちゃならん。


お嬢様は詠唱してなかったって?馬鹿野郎!天才と凡人を一緒にするなよ。


エーリカは、魔術なら全学年トップを誇るんだぞ、そんな相手に勝てとか無理げーだろ。


身体強化しないと格上の相手の攻撃よけられませんし、耐えられない。


魔法による盾はできる。


展開し維持するのに魔力を消費し、敵の魔術を受け止めるために魔力を使うので魔力量が多くないと使い物にならんのだ!


遠距離相手に近距離で挑まなくちゃいけない。


「あーもう、ちょろちょろとぉ!!死ね!!ったら死ねぇ!!」


上空から落ちてくる火の玉に床を跳ね変則的な動きをするものまで多種多様。


軌道がランダムなものは予測なんてできるわけない!


と繰り返し、繰り返し攻撃が当たりそうになれば即ロードと弾幕ゲーは俺の精神をがりがりと削っていく。


二歩先で跳ねたから一歩前進して避けたらすぐにバックステップして、半回転ジャンプ。

なんで陸上でフィギアスケートしなきゃならんのだ。


ファイヤーボールの軌道を先読みして、記憶と照会しながらワンミスも許されないというまさにインフェルノモード


エーリカの魔力は尽きる気配を見せぬまま僕はステップを踏み続ける。


それはまさに情熱的な求婚のダンスのようであった。


最初は罵声の嵐だったが、時がたつにつれ会場からは罵声が消えていた。


誘導、バウンド、行動予測からの落下に遅延攻撃と何種類あるんだというくらい様々な火の玉を避け続ける。


天才過ぎて勝てるイメージがわかないんだが・・・。


少しでも接近するチャンスが欲しいとなけなしの魔力を木刀に込めて、ファイヤーボールの打ち返しもチャレンジしてみたものの無駄に終わり。


もう何千回リトライしてるのだろう、正直体は無事だけど精神が死んでしまう。


数多の試行からたった一つの答えをつかみ取りながら進み、ようやくエーリカへ向かってファイヤーボールが反射された。


「くっ!」


足元でファイヤーボールが小爆破を起こし怯んだ。


このチャンスを逃がすものかと一気に距離を詰めた。


「もういい加減負けやがれってんだ!!」


「何よ変態!貴方こそ!いい加減にくたばりなさい!」


ってバカ!そんな近距離で爆発起こせば、自分も巻き添えになるだろうが!

ああ、もうめんどくせぇ!!


足に全魔力をつぎ込み床を蹴り上げエーリカを突き飛ばした。


エーリカを突き飛ばせたのは良かったが、背中にすごい衝撃を受けて俺は意識を失った。


エーリカを場外に落としたことで俺の勝利で試合は終わった。


救護所で目を覚ませば試合に勝ったものの試合放棄で2回戦敗退という最低な結果になり、俺の退学は確定。


ところがにやにやした担任が「ああでも言わなきゃお前が必死にならんから退学といっただけだ」と衝撃的展開。


「私は貴方なんかに負けたと思ってはいません!もう一回勝負なさい!」と粘着されて大変だった。


あれやこれやと理由をつけて撒いてみるもどれもうまくいかなかった。


一か八かの破れかぶれで、エーリカに不意打ちで唇を奪ってやった。


周囲は騒然で騒ぎがなかなか収まらない結果になってしまった。


この方法もダメかと頭の中でロードと唱えたけど、セーブデータが壊れてますっアナウンスって嘘だろ!?


どうやらエーリカとキスしたときに流れ込んだ魔力でデータが壊れたらしい。


俺はただ平穏に学園生活したかっただけなのに!あんまりだ!!


こうして俺の受難な日々がはじまっていく・・・

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