表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔族に拾われたので魔族の為に生きてみようと思います。  作者: トリ天
 1章 魔族に拾われて~幼少期~
8/45

  8. 知らなかった!

 魔王との面会日が刻一刻と迫る中、どうしても結論が出なかったあの事について、アスタに聞いてみた。


「アスタ、ちょっと良い?」


「ん? どうした?」


「古式魔法の事なんだけどさ・・・、色々考えたんだけど、やっぱり、分からなくて。」


「ん? 分からない? 古式魔法ならセイの方が、ちゃんと読み解いてるんじゃないか?」


「うん、そう思うんだけど、この前ナキアと戦った時、間違いなく最初の煉獄で決めるつもりだったんだけど、思った以上に威力が出なかったんだ。もう一回、一から文献や関係する書籍も読み返したけど、火力がって言うか、ちゃんと魔法の威力が出なかった理由が分からないんだ。アスタには分かる?」


 腕組みしうーんと悩むアスタが、よしっ、と何か決めた様に椅子から立ち上がる。


「いいか、セイ、心して聞くんだ。」


「う、うん、何? 改まって・・・。」


「お前は生まれつき類まれな高魔力を保有していた、ここに来たばかりの時、泣き散らかしてこの城を傾けそうになる位だ。そして、私はお前の成長と共に、魔力も更に大きくなっている事に気付いた。」


「うん、・・・それで?」


「私は心身が育つまでは、高い魔力は逆に身を滅ぼすと思い、セイの身体に魔力封印の術式を掛けた。」


「天地の封印でしょ? この前、解いちゃったけど・・・。」


「セイ、お前の身体には後、8封と2封がしてある・・・。」


「え? えぇ? 初耳だよ? 後、10個封印を解かないと本来の魔力に戻らないって事?」


 急なアスタの告白に、混乱する。


「魔力の事だけを言えばそうだ、とりあえず、最初の2封である天と地を解いておけば、後は自ずと解けていくからな。現にこの前のレティと戦った時に、8封の一つが解けた・・・と思う。」


 全く自覚が無かった・・・。なんて言えない、って言うか思うってなんですか?


「そんな胡散臭そうな顔をするな、最後に見せたあの動きは、魔力量不足、魔力の流れが悪い状態、どちらが欠けても出来ないからな。全身の細胞に魔力を流し込むなんて、ちょっとやそっとの魔力量じゃ無理だし、魔力の流れが悪い状態なら尚更な。間違いなく解除された・・・はずっ!」


「そ、そっかぁ・・・、それで、その封印が原因で古式魔法の威力が出ないって事・・・で良いのかな?」


 自信ありげにアスタが頷く。


「あぁ、そうだ、セイの封印は単純に魔力が出ない様に栓をしてる訳じゃない、先に解けるだろう8封は、お前の魔力を食う封印だからな。魔力を循環させようとしても、所々でスムーズに行かない所が出る。」


 確かに思い当たる節がある。魔法の勉強をやり始めた頃、魔力操作でつまづいて、出来ない事が悔しくて、泣きながら夜遅くまで一人でやっていたのを思い出す。


 あの時、教育係の魔族も特に怒る事無く、上手くなるまで一緒に頑張ってくれた。

 おかげで魔力操作はアスタの言う様に、人より循環が上手くいかなくても、得意分野の一つになった。


「封印の場所だが、一応教えておく。解除のトリガーはそれぞれ違うから、どの場面で解除されるか私も良く分からない。」


「え? でも、アスタが封印術式をしてくれたんだよね?」


「あぁ、そうだ、最優先項目に効力重視で決めたからな、使い勝手や解除方法等は一先ず度外視した。」


 僕の事を思ってやってくれた事はとっても嬉しいけど、流石にちょっと苦笑いが出る。


「それとな、セイが古式魔法を読み説き、使えるようになったと聞いた時は、何かの縁みたいなのを感じたんだ。」


「ん? どういう事?」


「セイの身体に残っている8封と2封は古式魔法なんだよ。残ってるとは言っても8封の一つは開封したけどね、天地はまぁ、そこそこメジャーな封印術式だから、解除方法も知っていたんだけどな。」


「じゃぁ、この間のレティとの戦いは・・・。」


 封印の解除方法を知らないと言う割には、レティを使って自信満々に、僕をギリギリまで追い詰める様に戦わせていたから、ふと疑問に思った。


「勘だっ! 魔力は生命力、肉体、精神と深く繋がっているからな、追い込めばどれか一つは解除されると思ったんだ!」


「でも、勘なんだよね・・・?」


「ま、まぁ、打たれ強さの強化にもなったし、それにっ! 怪我したらちゃんと責任を持って介抱するつもりだったぞっ!」


 珍しく慌てるアスタがとても可愛かった。


 仮にレティとの戦いで開封の条件が合わず、大怪我になったとしても、アスタを責める様な事はしなかったと思う。逆に開封出来なかった時の方が、アスタの期待に沿えなかった事に自分を責めたかもしれない。


 改めて一つでも開封出来た事に安堵し、アスタに近寄り、ギュッと抱き締める。


「どうした? セイ。」


「何となく。」


「全く、甘え癖が抜けない奴だな。魔術学院に入ったら、年に3回ある長期休暇しかウチに帰って来れないんだぞ?」


「・・・え゛?」


 アスタの言葉に固まる。奈落に落とされた様な気分だ・・・。

 抱きついたまま、ズルズルと崩れ落ちる。


「まぁ、そんなに落ち込むな。セイが帰って来るまでちゃんと待ってるし、絶対男も作らないし、浮気しないから、ねっ、ねっ。」


 言って無かった事に気付き、必死に俺を宥める。


「・・・あ゛ぃ」


「ゴホンっ、話しが逸れてしまったが、8封の場所だが。」


 アスタが頭、胸、腹、陰部、左手、右手、左足、右足を指差す。


「そこが、封印の場所だ。レティの時は、どこの封印が解除されたか分かるか?」


「多分・・・腹だと思う。」


 アスタは自机の引き出しから、封筒を取り出し、フムフムと言いながら、封筒に入っていた古惚けた紙に目を通す。


「黒雷か・・。セイ、セイの8封には、名前が付いていてな、大雷おほいかづち 、火雷ほのいかづち 、黒雷くろいかづち 折雷さくいかづち 、若雷わかいかづち 、土雷つちいかづち 、鳴雷なるいかづち 、伏雷ふすいかづち 、で八雷神の封と言うらしい。」


「アスタ、それ、本当に魔力封印?」


「大丈夫だ、ちゃんと調べて貰った。この封をされたものは、封が解除されるまで魔力を食われ続けるって書いてあるからなっ!」


 どうしよう、不安しかないんだけど・・・。まぁ、一個解除された訳だし、残りも何とかなるか。


▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


 その日の夜、下腹部に違和感を感じ、目を覚ます。


 夢じゃないと気付き、ガバッと布団を捲る。・・・女の子? 自分より少し年下だろうか、幼い顔をした娘が布団の中に潜り込んでいる。


「起こしてしまったか? あるじ。」


「どちら様? ですか?」


  足元から潜り込んだのか、必死に上って気ながら何かを口走っている為良く聞こえない。


「君が誰なのか、どうしてここに居るのか、気になる事が山積みだが、とりあえず、そうしてるって事は、こうして良いって事だよね?」


 両脇を抱え、一気に引っ張り上げる。


「~~~~っ!!!」


 引き上げられた女の子が笑みを浮かべしがみついて来る。


「主ぃ、やっと会えました・・・。」


 褐色の美少女が瞳を潤ませ、唇に吸い付いて来る。

 咄嗟の事にびっくりしたが、一旦落ち着いて少女を引き離す。


「抱きつかれた上に唇まで奪われといて今更なんだけど、君はだれ?」


「えぇ? 私が誰かも分からずに、あんな激しくするなんて、流石主っ、鬼畜ですぅ~。」


 全く激しくした覚えが無いんだけど・・・。


「それで? 結局誰なの?」


 小さな膨らみの胸に手を当て、少女が名乗る。


「私ですよ主っ、流石に気付いて下さいよ。・・・ニブチンですねぇ、八雷神が一柱、黒雷くろいかづちですよっ!」


「・・・え?・・・えぇ!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ