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魔族に拾われたので魔族の為に生きてみようと思います。  作者: トリ天
 1章 魔族に拾われて~幼少期~
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  6. 困りました!

 リリンの少し冷たい手が僕の体に触れ、唇を重ねる。

 リリンが貪る様に僕を求める・・・。


「セイ様、私を・・・。貴方でいっぱいにして下さい。」


 僕もリリンの期待に応えるように、リリンに教わった事を駆使して欲求を満たしてあげる。

 自ら仕込んだテクニックに、リリンが嬌声を上げる。


 リリンと一つになり、魔力をふんだんに込められた体液を流し込むと、喜びの声を上げ、リリンの体が大きく仰け反る。

 勢い良く果てたリリンが意識を手放し、力無く項垂れる。

 意識を失ったリリンを優しく抱きしめ、柔らかい金色の髪を撫でる。スゥスゥと寝息を立てるリリンを起こさない様にベッドへ運び、そっと寝かせる。


 僕は机に戻り、盛大に汚してしまった床を掃除する。


「リリンが来ると、いっつも僕が掃除してる気が済んだけどな・・・。」


 床を拭きながら、ポツリと呟く。


 掃除を終え、机の上の封筒に目をやる。リリンのサインが入った封筒・・・。

 リリンの授業がある前日に、届けられるそれには、毎回授業の内容が書かれている。


「今回の授業の【調教】ってこんなんで良かったのかな・・・?」


 いつも、テーマだけをくれるんだけど、ちゃんと授業して貰った事無いから、ハッキリ言って正解が分からない。


「あっ、リリンを虐めるの忘れてた・・・。あぁ、点数下がるかな・・・。」


 そう、リリンの授業は実技がテーマにちゃんと沿っているかで、点数をいつも付けてくれる。

 点数が付く以上、出来れば良い点数を取りたい僕は頭を抱える。


 いつもならアスタの書庫で調べて、使う魔法や責め方責められ方を勉強するんだけど、今日はナキアの件で、予習が出来ていなかった。


 今更だけどよくよく考えると、何の調教なのかどこをどれ位調教し、相手をどうしたいのかちゃんとしたビジョンを持たずに授業に臨んでしまった為、ただ相手を喜ばせただけかと肩を落とす。


「やっぱり、追試かなぁ・・・。」


 僕も布団に潜り込み目を瞑り、数分後に、眠りに着く。

 僕が寝息を立て始めるといつもリリンが腕枕をしてくれ、出来るだけ体を密着させ寝ている事を僕は知らなかった。


▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


 ――――二日後アスタが帰って来た。


 封印が解けた事により、魔力量は飛躍的に上昇している。それを体になじませる為に昼間は接近戦を重点的に行う事にしていた。


 夜の授業はもちろんアスタが見る事になった。


 あと、ナキア戦で少し引っかかる事があり、僕は空いた時間があれば書庫に籠る事が多くなっていた。


「う~ん、おかしい・・・、絶対あれで、仕留めれたはずなんだけどなぁ・・・。」


 百冊近くにも及ぶ、古式魔法に関する書物を一から読み直していた。


 古式魔法は他の魔法の様に、決まった呪文を節を付けて唱え、こうやって使いましょう。という説明の様な記述が無く、魔法が生まれた背景や意味を読み解き、自分の中で創り上げる魔法・・・。

 格好良く聞こえるが、はっきり言って威力の割にぼんやりとした魔法なのである。


 威力が強すぎるが為、ぼんやりとした伝え方しかしていないのかもしれないが・・・。


「絶対、間違って無いはずなんだけどな・・・。もう一回アスタに聞いてみるか・・・。前は自分で考えろって嬉しそうに言われたしなぁ・・・、聞いてばかりだとガッカリするかなぁ・・・。」


 そんな事を思いながら数日が経ち、次の教育係が来る。


「セイ、紹介するぞ、レティ=フル―だ。」


 気の良さそうな、青髪の女性が佇んでいた。


「初めましてレティさん、初対面の方にこんな事を言うのは失礼とは存じますが、アスタから離れて頂けませんか?」


 ナキアの一件以来、知らない顔にはピリピリとしてしまう。


「あらあら、随分と嫌われている様ね。」


 頬に手を当て困った顔をするレティ。


「こらっ、セイ、折角来てくれてるんだぞっ! そんな事言ったらダメだろ。」


 アスタが少し怒ってるが、気を抜く訳にはいかない、アスタが辛い顔をしない為・・・。

 いや、違うか・・・僕が嫌なだけだ、魔族はそう言う事に感情が動く事はほぼ無いと、分かっている。

 ズルイな僕は、自己防衛の為アスタをダシに使うなんて・・・、滑稽な程、本当に弱い男だ。


「セイ、聞いてるのか?」


 コツンと頭を叩かれる。


「き、聞いてませんでした・・・。」


「もう一度言うぞ、セイ、今日は魔法・・の使用禁止だからな、魔法・・を使わずにレティに触れれば合格だ。良いなっ始めっ。」


「えっ? いきなり?」


 額に痛みが走り、仰向けに倒れる。


「痛てて・・。」


 ナキアに喰らわされた空気砲の比にならない威力だ。封印を解く前なら意識ごと刈り取られていたかもしれない。


「こらっ、セイ、油断し過ぎだ、戦闘だったら今ので2回は死んでるぞ!」


 アスタの激が飛ぶ。

 額を擦りながら、次の攻撃に備え飛び起きる。


「アスタ、この子人間よね?」


 不思議そうに、小首を傾げるレティ。


「そうだが? 何かあるのか?」


「ん~、気絶させるつもりで、打ち込んだんだけどね~。」


 実際、油断していたが、殴られたのか? それとも何か飛んできた? 見えなかった事に少し焦る。


 その後、魔法が使えない事で防戦一方になるが、近接戦闘の練習で体を動かし続けていたおかげで、一つ分かった事がある。レティの攻撃が小さな氷の粒だった事だ。


 打ち出す瞬間にレティがどういう動きをするのか、左右の動きにはどれ位付いて来れるのか。


 打ち出される小さな氷の粒に慣れるまで、少し時間が掛かったが、だいぶ慣れて来た。氷を打ち出すモーションはほぼ皆無、だが、氷がレティから打ち出され、俺に届くまでに一瞬だがキラッと光る、それに合わせて動く。


「あらあら、随分早く慣れてきましたね。もう少し掛かるかと思ってましたけど、流石アスタの秘蔵っ子ってとこかしらね~。さぁ、まだまだこれからよ。」


 一発ずつだったのが、二発、三発、と増えて行き僕の身体のダメージも結構蓄積されて来た。

 六発が同時に発射される様になった時、レティに全く近付けなくなってしまった。


「呆れた子ね、アスタの秘蔵っ子って言っても、人間が本来の肉体・・の力だけで六連射まで避けるなんて。」


「こらっ、レティ!」


 アスタに一喝され、しまったと片目を瞑り、ペロッと舌を出すレティ。


 やれやれと、ため息を吐くアスタだったが、僕が誉められた事に気を良くし、自慢げにペラペラと語り出す。


「まぁ、セイは、可愛いからなっ! もちろん普通の鍛え方はしてないぞ! そりゃもう可愛いからな・・・。」


 なかなか話の終わらないアスタを横目に、レティが俺に向け口を開く。


「さて、セイ君、かなり避けれるようになって来た所悪いけど、次いくよ~? 気合い入れないと~死んじゃうかもだから、頑張ってね~。」


 甘ったるい喋り方とは裏腹に、かなり物騒な事を言われた。


 そう言うと、レティは両腕を広げる。


 レティの周りに数百、数千の氷が展開され僕に向け一斉に打ち込まれる、雨を全て躱す事が出来ない様に、この攻撃に僕は手も足も出ず、後方に吹き飛ばされた。


「なんだ・・・これ・・・。」


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