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 44. 見つかりました!

 赤い点滅に照らされながらどれ位の時間が経っただろう、数十分いや、まだ数分か・・・。

 一向にレプト先輩の頬ずりが収まらない。そろそろ頬の皮が剥けるんじゃないだろうか・・・。


「せ、せんぱ・・・ぐえっ。」


 熱い抱擁に力が籠る。


「お゛、おねぇぢゃん・・・。」


「なになに? どうしたのかな? セイ君。」


 満面の笑みが逆に怖いが、言い間違えた自分のミスだ諦めよう。


「えーっと、とりあえずなんだけど。このサイレンと赤い点滅どうしたら良いかなぁって・・・。」


「それもそうね。これじゃあ、セイ君の声が聞こえにくいもんね。」


 そう言うと先輩はスッと立ち上がり、部屋に入っていく。程無くして、サイレンも赤く点滅していた空も治まった。しかし、部屋に入っていったっきり先輩がなかなか帰って来ないので、こっそりと部屋の中を覗いてみる。


「―――えぇ、私の所は問題ありません。―――はい。それで問題無いかと思います。―――はい。わかりました。」


 耳を澄ますとレプト先輩の声が聞こえる。どうやら誰か訪ねて来ている様だ。そっと扉を閉め、自分の着ているビショビショの制服をどうすか頭をひねる。


「手っ取り早く火属性の応用で燃えない程度に温度上げ乾かすか。」


 目を閉じ、ゆっくりと自分と周りの温度を上げて・・・、上げて・・・。上がらない。部屋の中は大丈夫かと思ったが、どうやらここでも魔力を吸われている様だ。全力を出す分には全く支障は無いが、微妙な魔力調整は難易度が格段に跳ね上がった。


「えっと、これ位か? まだダメか、じゃあこれ位か?」


 なかなか上手くいかないが、ここでヤケを起こしてしまっては制服が消し炭になってしまう・・・。


「おっ、一瞬発動したな。ここら辺か・・・。」


 今使った魔力に水分を蒸発されられる位の魔力をプラスして―――。


「セイく~ん! 寂しかったよ~!」


 ――――ドボン!


 あー、何て言うか・・・。乾かす前で良かった――――。うん、そう。乾かす前で良かった。


「おねぇちゃん、誰が来てたの?」


「ん? 5コ―の先生と、警備係の生徒よ。こっちは問題無いって適当にあしらっておいたからね。セイ君の事はおねちゃん全力で守るからね。でも、旧何とかの遺産の試練がどうのこうのと、何だか先生の方は青い顔してたけど、セイ君何か知ってる?」


 えぇ~、レプト先輩が無理矢理部屋に来いって言ったから・・・、何て事は口が裂けても言えないけど、試練ね・・・寮の隣にあったあれだろうか?


「セイ君? 急に黙って何か思い当たる節でもあるの?」


「ん~実はね―――。」


 ここに来るまでにあった事をレプト先輩に話した。


「へぇ~、セイ君あんな所通って来たんだ。 あそこは5コ―でも立入禁止の所なんだけど・・・。もう、セイ君そんな所通ってまで私に会いに来てくれるなんてっ! おねぇちゃん感激っ!」


 レプト先輩にとっては、警報も立入禁止区域も関係ない様だ。


「おねぇちゃん、とりあえずここから出ない?」


「セイ君・・・おねぇちゃんとお風呂・・・嫌なの?」


 レプト先輩の表情が一変し、世界が終焉を迎えるかの様な表情になる。


「いや、そう言うんじゃ無くて、制服ビチョビチョだし・・・。」


「そっかそっかぁ、お、おねちゃんうっかりしてたね・・・ぐふっ、じゃあ、制服乾かさないといけないからヌゴウネ。テツダッテアゲルカラ。」


「おねぇちゃん? 目が怖いよ? それに手の・・・指の動きが・・・。」


 こちらに向き直ると、自分の部屋着を瞬時に脱ぎ捨てる。透き通るような白いやわ肌が月明かりに照らされ、神秘的な美しさを醸し出すがレプト先輩の目は完全に据わっており、獲物を目の前にしたかの様に指をわきわきと動かしながら迫って来る。神秘的な美から欲望を一身に受け、何とも言えない複雑な気分にさせられる。


「大丈夫だよセイ君。おねちゃんに任せておけばすぐに良くなるから・・・。」


 今までの様に同意の上だとか、そういうシュチエーションを演じるのでは無く、今からレプト先輩の欲望を満たす為に襲われるのだと悟り、「ゴクリッ」と喉が鳴る。


 命を掛けてでも守りたい存在に、自分の欲望をぶつけるという背徳感に身を震わせながら、レプト先輩が嬌声を上げドロドロに溶けていく。


「おとうと・・・しゅごしゅぎ・・・おとうと、しゃいこ~・・・。」


 警報の件での捜査も一段落したのだろうか、気が付けば辺りはすっかりと静けさを取り戻している。

 レプト先輩も満足したのか体を預け寝息を立てている。このままでは風邪をひいてしまうと思い、扉を開けた先にある脱衣所でバスタオルを探し用意しておく。


 浴槽から先輩を運びしっかりと体を拭く。


「運んだり体を拭いたりしてるのに、意外と起きないものなんだな。」


 部屋を漁る訳にもいかないのでとりあえず、そのままベッドへ運び自分も布団へ潜り込む。


「おやすみ。おねぇちゃん。」


 少し気恥ずかしかったが、何となくそう呼びたい気分だった。色々あったせいか、目を閉じるとすぐに眠りに落ちた。


 ―――ドンドン! ドンドンドン!


「レプト様~。起きてますか~? 朝ですよ! ご飯行きますよ~!」


 ドンドン! ドンドン!


「レプト様~! セイ君と一緒にご飯食べれませんよ?」


「セイ君!!」


 勢い良く起き上がると、顔を紅潮させゆっくりと布団の中に戻る。


「セイ君・・・起きてるでしょ?」


「バレた? 着る物が無いからおねぇちゃんにくっついてた。」


 ペロッと舌を出し、レプト先輩に笑いかける。


「~~~~っ!? も~う! セイ君セイ君セイ君っ!」


 恥ずかしいのか照れなのか、キャッキャと言いながら抱きしめられ、柔らかな大きな膨らみに顔を埋められる。


「レ~プ~ト~さ~ま~。」


 急にエル先輩の声が近く感じ、布団からヒョコッとレプト先輩が顔を出す。


「あっ、エル。・・・どうして勝手に部屋に入ってるの?」


「いえね、折角ご飯に間に合わないと思って呼びに参りましたら、中から何やらとても・・・楽しそうな声が聞こえて来たものですからっ! 居ますよね?」


「ん、ん~? 何のことかしら?」


「もう一度だけ聞きますよ? い・ま・す・よ・ね? セイ君。」


「・・・。」


 エル先輩はガシッと布団の端を掴むと、一気に布団を剥ぎ取る。


「へ?」


 まさか裸だとは思ってなかった様で、エル先輩の口から変な声が漏れ、そのままその場にペタンと座り込んでしまう。


「もう、エルっ! セイ君が風邪引いちゃうじゃな・・・。エル?」


「・・・るい。」


「え?」


「ずるい! ずるい! ずるい! レプト様ずるい! 私だってセイ君気に入ってたのにっ! 黙って手を出すとかルール違反です! 手を出すなら出すで一言あっても良いじゃないですかっっ!!」


 一言あれば良いのか? と思いつつ。そっと剥ぎ取られた布団に手を伸ばそうとすると、布団が完全にベッドから遠ざかってしまった。


「セイ君もセイ君ですっ! 昨日会った時に言ってくれれば良いのにっ! 私にも見せてっ! 全部見せてっ! 私も見せるからっ!」


「え、いや、エル先輩、ご飯が学校が。」


「ご飯は一時間目に食べれば良いでしょ! 学校なんかより大事な事が今目の前にあるのっ!」


 いつもの軽い口調が変わっており、エル先輩の必死さが伝わって来る。エル先輩の黄色を基調とした白いレースの可愛らしい下着が露わになり、目を奪われる。


「はい、はい、分かった分かった。勝手に手を出した私が悪かったわ。今度ちゃんと貴女の部屋に泊らせるから今日はその位にしておきなさい。」


「本当ですか?」


「ええ。」


「絶対ですよ?」


「はいはい、分かってます。貴女も大切な仲間ですから、嘘は言いません。ですからとりあえず服を着なさい。」


 自分の意志とは関係なく、勝手に話が決まっていく。


「分かりました。今日の所は・・・隙ありっ!」


 グイッと手を引かれ、エル先輩は自分の谷間に俺を押しつける。


「あぁ・・・セイ君の匂い、セイ君の体温を感じます。」


「ちょっ、エルっ! 今日は私のセイ君なのっ! 私の弟エネルギー補充中なのっ!」


 だんだんと取り合いが白熱する二人。


「ちょっと、エル先輩っ。どこ引っ張ってるんですかっ! そんなに強く握ったら潰れますって!」


「あら?」


「わお!」


 一時間目は完全に諦める事になった瞬間だった。綺麗な全裸女性と半裸の女性が目の前に居て、しかも掴まれたりしたら、反応するなと言う方が無理な話である。


 魔力の吸収装置が動いているのは夜間だけらしく、昨日ぐっしょり濡れていた制服はレプト先輩の魔法により、あっと言う間に乾いた。一時間目を完全に破棄した事により、誰にも見つからずに5コ―の寮を出る事が出来た。


「レプト様ばっかりズルいですよ~。」


「何言ってるの、本来なら今日はずっと私がセイ君を一人占めのはずだったのに、少しでも楽しめただけありがたいと思いなさい。」


「ところで、おねぇちゃん。あの魔力が吸われるのって何?」


「セイ君あれはね。」


 レプト先輩は口籠ってしまい、答えてくれたのはエル先輩だった。


「あれはレプト様が学生会長になった時に、上位の部屋には露天風呂を付けるって言いだしてね~。天井が空いてるじゃない? だから、防犯上の理由で夜間は魔力吸収装置が付けられたんだよ~。ちなみに~、屋上の赤色灯も覗き防止の為レプト様が取り付けたんだよ~。」


 バツが悪そうに、レプト先輩が口を開いた。


「ごめんね、セイ君。おねぇちゃん浮かれちゃってて、装置切るの忘れてて。」


 昨日すぐにサイレンや、赤い光が消えたのはレプト先輩発案だったからかと、合点がいった。


「さっ、三時間目には教室に行かないといけませんし、食堂に急ぎましょう。セイ君は疲れてるだろうから、おねぇちゃんが食べさせてあげるかね。」


「私も、あーん。してあげますよ。それよりレプト様? 急げば二時間目に間に合いますよ?」


「セイ君との食事なんだからゆっくりしたいの。それに、セイ君が喉に詰まらせたら大変でしょ。あと、あーんは私がするからしなくて良いわよ。」


 丁度その頃一時間目は自習となり、昨日の件で職員会議が開かれていた事が分かるのは数時間後の事だった。

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