14. 新しい生活が始まります!
「明日は入学式かぁ、この部屋ともしばらくお別れだな。」
「主っ。」
「主様っ。」
布団の中から顔が2つピョコピョコっと顔を出す。
「ん? クロとワカか、どうした? こんな時間に。」
「主はにぶちんですね~、こんな時間に女の子が布団の中に居るんですよ~。」
クロがプーっと頬を膨らませる。
「クロっ、主様にそんな言い方したらダメでしょっ!」
クロより少し年上に見える、緑がかった髪の女の子がクロを戒める。
「ワカだって、明日からお城じゃなくなるから、なかなか主とイチャイチャ出来なくなるし、今日行こうって言ったらノリノリだったじゃない!」
「そ、そ、そんな事無いですっ。」
俺を挟んで言い争いしてると、俺の中に居る時と大して変わらないなと、苦笑いしてしまう。
ヨシヨシと2人の頭を撫でてやると、良い争いを止め、ニコニコと笑顔を取り戻す。
「あるじぃ~、ねぇ~、良いでしょ?」
「主様、精一杯ご奉仕させて頂きますね。」
「こ、こらっ、クロ、ワカ。」
制止を聞かず、布団に潜り込む二人。
甘やかせてばかりはダメだ。言う事を聞かない悪い子にはお仕置きをしないと、と気合いを入れて二人をたっぷりお仕置きする。
満足したのか二人が俺の左右に横たわり、嬉しそうに両腕に抱きついて来る。
「主っ、ずっと一緒に居るからねっ。」
「主様っ、末永くお傍でお使い下さいっ。」
それだけ言うと満足したのか、二人はスゥっと眠りに着いた。
「やれやれ、皆考える事は一緒か。」
ドアの方から声がする。
「セイ、まだ大丈夫だろ? 明日から少しの間会えないんだ、抱いてくれるよな?」
「アスタ?」
二人を起こさない様に、そっとベッドから抜けだし、アスタに歩み寄る。
軽く唇を重ねると、堰を切ったようにお互いを求めあう。
肌の感触、温もり、・・・。お互いの全てを確認するように・・・。
アスタが壁に手を突き僕を誘う。
アスタの可愛らしいおねだりを聞き、アスタと肌を重ね、 仰け反るアスタの背中に歯を立てる。
「セイ、・・・思いっきり噛みついてっ!セイが帰って来るまで、歯型が消えない様にっ・・・くぅっ、・・・噛みちぎっても良いからぁぁぁっ!!!!」
アスタの一番奥に自分の印を付け、二人とも快楽に身を落とし、呼吸を大きく乱す。
向かい合う様に座り直し、瞳を合わせ言葉を交わす。
「アスタ、・・・さみしい・・・けど、頑張るから。」
「あぁ、寂しいな、浮気せずに待ってるから、頑張って来い。」
「・・・うん。」
「セイは、いっぱい浮気して良いからな。しっかり実践経験積んでこいっ!」
「なんだよ、それっ!」
少しアスタの顔がぼやけて見えるが、笑って出発前の夜が過ごせた。
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「あ、アスタ、人がいっぱい居る・・・。」
「そりゃ、そうだろ、人の街なんだから。」
俺とアスタは、魔法学校の入学式の為、学校と隣接する都市レイを歩いている。
魔族領の村や街には行った事はあるが、ここまで大規模な都市は初めてだった。
「こ~らっ、セイ、キョロキョロしてると、田舎者扱いされるぞ。」
アスタが楽しそうにコロコロと笑う。
「アスタは、凄く落ち着いてるけど、レイには来た事あるの?」
「セイ・・・これでも、魔族領の幹部だぞ? 大きな都市にはほとんど行ってるよ。」
見慣れない人の姿に変身しているアスタに対し、改めて色々な事を知っているなと感動した。
「アスタは、やっぱり凄いね、僕の自慢のアスタだねっ!」
「そうだろ?」
傍から見れば、イチャついている事この上ない光景だろう。
学校に向うにつれ、少しずつ人が減る。
各地から集められた優秀な人材、身なりの派手な人も居れば、質素な感じの子も居る。
「ねぇ、アスタ、現状この学校にどれ位僕達側居るの?」
小声でアスタに尋ねてみる。
「ほら、セイ、また僕になってるぞ。」
眉唾な話だが人間の同年代の中で、僕僕言っていたらイジメっ子に絡まれると、自分の事を「俺」とアスタに言わされている。
「ん~、はっきりとは分からないが、3年コースと5年コースがあるからな・・・。3人~4人居るとは思うが・・・。そういえば、ナキアの娘も居るはずだぞ?」
「はぁ!? あいつの娘っ!? あいつ、アスタにあんな事言ってたのに!?」
「だからあれは演技だって、まぁ、セイにとっては生まれてニ度目のブチキレだったから、なかなか忘れられないかも知れんが、もうあんな事無いから心配するな。」
アスタにあまり困った顔をさせる訳にもいかないので、渋々怒りを治め、話題を変える。
「そういえば俺は確か、3年コースだったよね? 5年と何か差があるの?」
「単純に能力差だろう、3年でモノになる奴も居れば、5年でモノになる奴も居る、まぁ、優秀な奴ばかりを集めているのだが、育った環境もあるからな。ちなみに本気を出せば、セイはここで間違い無くダントツのトップだけどなっ!」
自慢げにアスタが豪語する。
「ちょっとアスタ、声大きいよ、目立つなって言われたでしょ。」
「・・・だって、本当の事だもん・・・。」
ションボリとするアスタを慰めていると、後ろから声がする。
「威勢が宜しいですわね? 新入生ですか?」
身なりの整った、育ちの良さそうな、女の子に声を掛けられる。
「あっ、ああ、すまない、田舎者なんで。」
「ふーん、そう、道理で見慣れない格好をしている訳ね。」
鼻を鳴らし、女の子は、3人の付き添いと先に行ってしまった。
「なんだったんだ? あいつは? 大して力も感じなかったし、滑稽にしても甚だしいな。」
「アスタが大きな声で、ダントツトップって言ったのが、気に入らなかったんじゃない? まぁ、どうでもいいよ。」
校門をくぐると様々な建物が建ち並んでいる。
流石ギルドが運営しているだけあり、学校はかなり充実した設備で、尚且つ広大な敷地面積を有している。
「いつ見ても、無駄に広いな・・・そう思わないか? セイ。」
「まぁ、魔法学校だからね、狭いと不便なんじゃない?」
「大した魔法も使えない癖にな。」
最後に吐いたアスタの悪態が微妙にツボに入り、吹き出してしまった。
入学式の会場に入り指定の席に着く。5年コースと3年コース合同の式だけあって、会場はそれなりの人数になっている。式は学院長の話が長い位で、特に問題無く終了した。
ここで、5年コースと3年コースに分かれる様で、俺とアスタは3年コースの校舎に向かう。
校舎の一年生フロアに着くと、更に2クラスに分かれて教室に入る。
1クラス約20名と、付き添いの人々が教室に入ると、教師と思われる女が既に教壇に立っていた。
「皆さ~ん、自分の名前が書かれている席に着席して下さ~い。」
その指示に従い生徒が席に着く中、一人オタオタとしている女の子が居る。
「悪いけど、そこ俺の席なんだけど? 君は?」
「あっ、スミマセンスミマセン、私まだ文字が苦手で・・・。」
「名前は?」
「み、ミーナです。」
周りを見渡し、声を掛ける。
「じゃあ、こっちだぞ。」
俺の隣の席を指す。って言うか、隣なら分かるだろ? 普通、・・・自分の名前だろ?
まさかわざとか? それとも何かあるのか? 気を付けておかないと・・・。
警戒を怠らない様に、自分の席に着く。
「は~い、全員座りましたね~。じゃあ、私から自己紹介しますね~。3年間君達のクラス担任をしますキョウコ=ルイと言います。宜しくお願いしますね~。」
パチパチと拍手が鳴っていると、一人の女が、口を出す。
「先生はクラスを受け持つ位強いんですか?」




