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魔族に拾われたので魔族の為に生きてみようと思います。  作者: トリ天
 1章 魔族に拾われて~幼少期~
13/45

 13. 助言されました!

「セイく~~~ん。」


 誰かが、後ろから追いかけて来た。

 姿が見えた途端に、アスタが僕を抱え、隠す様に背を向ける。


「何の用だ? スク。セイは私のだぞ?」


「分かってるよ、アスタちゃん。ちょっと助言をねっ、しに来たの。」


「アスタ、このこちらは?」


「淫魔のスク=バスだ。今は居ないが男もいる、男の方はインク=バスだ。」


「それで、スクさん、助言とは何ですか?」


 アスタの手が解かれ、スクと対面する。

 さっきは机に向かっていた為分からなかったが、かなり目のやり場に困る程、隠れている部分が少ない。アスタやリリンの教育が無ければ恥ずかしい状態になっていたかもしれない・・・。


「フフフッ、セイ君可愛いね。アスタちゃんの所で教育されているとは言っても、まだ経験不足かな? 私も教育に加わってあげようか?」


 スクが僕の顔を覗き込むようにニコニコと話す。


「こらっスクッ、あまりセイをからかうな。」


「アスタちゃん、これが大切な事なんだよっ。」


 アスタをしっかりと視界に納め、スクが口調を少し強くする。


「セイ君、良い? 人間は豊かな感情を持っている。それが故、道を誤ったり堕落したり、色々と生きていく上での不具合が生じるの。君なら分かるよね?」


「・・・はい、・・・嫌と言うほど。」


 ウンウンと、笑顔でスクが僕の頭を優しく撫でる。


「人間はねそれが頭で分かっていても、時に抑えられない衝動に駆られるの、それを人間は8つ、もしくは7つの罪として戒めている。だからね、困ったらそれを上手く利用しなさい。」


「おい、スク、まだセイには・・・。」


「アスタちゃん! 黙ってて、セイ君の為なのっ! 私もセイ君は大事な仲間、家族と思ってるっ!」


 珍しくアスタが、他人の言葉に押し負ける。


「良い? セイ君、君の一番大事な事は?」


「魔族の平和。」


「君の一番大切なモノは?」


「アスタ・・・。」


「それをちゃんと覚えていれば大丈夫。口封じの時は、情を込めずヤリなさい。堕す時は、身も心も完全に君無しじゃ生きていけない程に堕す事。良い?」


「分かりました。」


「よしっ、情があるうちは絶対に手を出しちゃ駄目、君は優しい人間の様だから。きっと君が辛い目に合う。私は君に永く続く様な辛い思いをして欲しくない、一瞬の辛さで終わるならそちらを選んで欲しい。何かの時は思い出してね。」


 そう言うとスクが僕の頭を抱え、ほぼ隠している部分の無い胸の谷間に埋める。

 アスタやリリンとはまた違うとても良い匂いがし、心が落ち着く。力を使って無いとはいえ、これが淫魔と言われるスクの力なのかと、実感した。


「頑張ってねっ。」


「はいっ! ありがとうございました。」


 スクに頭を下げ、魔王城を出る。


「スクはどうだった?」


 魔王城を出るまで、黙っていたアスタが、急に口を開く。


「何て言うか、言葉に重みがあった。」


「あいつが、・・・いや、スクに育てられた部隊が、多分魔族で一番人間と言う種族を理解し、そして、直接的、間接的含め一番人間を殺めている・・・。」


 強い魔族は沢山いるのは知っているが、あんなに優しく抱きしめる事が出来るあの女性が一番人間を殺めていると聞いて、生唾を飲み込んだ。


 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


 スクの言葉を受け、僕は悩んでいた・・・。


 確かに食料である動物等を殺める際には、食事に為だから、生活の為だから、と割り切っているが、自分と同じ種族、人間に対して本当に非常になれるのだろうか。


 僕の周りには優しい魔族が多い。本当に良くして貰った。

 その魔族達の為にも、魔族側の不利になるような事は絶対に避けなければならない。


 スクの言葉が頭を過ぎる・・・、僕の一番大切な人、アスタが悲しむ事には絶対しない。


「セイ~、セイ~!」


 アスタの声が耳に入りアスタの所へ赴くと、学院からの案内が届けられていた。

 どうやら入学手続きは済んでいる様で、入学式の日時と場所の案内、必要な物のリストが書かれていた。


「必要な物は、ほぼウチで手配すれば揃いそうだな。服も部屋着と運動着があれば、後はほとんど制服で過ごすみたいだな。セイ何か必要な物とかあるか?」


「ん~、リストを見る限り特に無いと思う。魔術書をいくつか持って行きたいかな・・・。まだ読んだ事が無いのがあるから。」


「魔族側の魔術書はやめておけよ、変に勘ぐられたら面倒だからな。」


「分かった。・・・ねぇ、アスタ、相手を殺す時ってどんな時なのかな?」


 アスタには聞くまいと思っていたが、つい口が滑ってしまった。


「なんだ、やっぱり気にしていたのか? そう難しく考えなくて良い、本当にその時が来たら自ずと分かる物だよ。スクが言っていただろ? セイにとって大切なのは? って、それに従えば良い、気持ちとか覚悟とかもその時になれば決まるもんだよ。」


 アスタが少し寂しそうに俺の頭を撫でる。


「何があっても、私はセイの味方だよ。」


「・・・うん。」


 アスタの言葉を信じ、俺は必要以上に悩むのを止めた。


 自室に戻り、荷物の整理を始めた。とは言っても自分の物なんてほとんど無い。部屋を見渡し少し寂しさを感じる。


[[ 主様 (ぬしさま)っ。]]


 ん? ワカか? 急に話し掛けられちょっとビックリする。


[[はいっ。 顕現出来るようになりましたので、報告しておこうかと思いまして。]]


 学院へ行く前にアスタにも会わせておこうと思い、出ておいでとワカに伝える。

 左腕からポゥっと光る球体が出現し、床に降りる。


 光の球体が徐々に人型となり、黄緑色の髪の女の子が姿を表す。


 ん? クロとあまりサイズ感が・・・確かに多少クロよりも背は高いし、胸の膨らみも少し大きい。

 ついマジマジと見ていた様で、ワカが手を前で組みモジモジとしだす。


「あっ、あの、主様ぬしさまあまり見つめられると・・・。そのぉ・・・。」


 上目使いでクネクネと体を揺らす。

 しかし、封印が解けた時とかなりイメージが違う。


「あぁ、ごめんね。髪の色とか珍しくてついね。あっ、あと、もう一人紹介したい人も居るから。」


「はいっ、アスタ様ですね。」


 どうやら、封印が解けてから僕の中で色々と勉強した様で、アスタの事も知っていた。


「セイ、どうした~?・・・はっ!?」


 ドアを開けたアスタが固まる。


「あっ、あの、はじめまして。・・・わか・・・ぐはっ。」


 アスタが目で追えない様なスピードでワカに抱き、頬ずりする。


「なになに? セイ、この子がワカちゃん? 髪の毛緑色とか珍し~。ほっぺたプニプニ~。」


 アスタに抱きしめられ、過剰な可愛がられ方にワカが目を丸くしている。


「クロちゃんよりちょっと大きいかな? セイとの子供がもう2人目とか嬉しい。でも、セイが8人も生むんだから、私もそれ位生まないといけないよね~。」


 ワカを抱えクルクルと回るアスタが楽しそうで何よりだ。ただ、僕が生んだ事になっているのが、いや、考えるのはよそう。


「なぁ、ワカ、やっぱりクロより永く僕の中に居たからサイズがクロより少し大きいのか?」


「はっ、はい。私もクロと同じで少し早めに開封しましたので、元のサイズには至っていませんが・・・。」


「良いよ良いよ、セイにいっぱい授乳して貰えば。私はこのサイズでも一向に構わないけど~。あぁー、ルシに自慢した~い。可愛い子供が2人になりましたって。」


「はいっ! 主様ぬしさまにいっぱいして貰いますっ!」


 僕を差し置いて笑顔で話が進んでいる。


「ワカ、そういえば魔王城で封印が解けた時? かなり威厳のあるような喋り方だったけど、今が・・・その、普通なの?」


 ワカが照れたようにポリポリと頭を掻く。


「はい・・・、どちらかと言うと今が普通です。久しぶりの開封で何と言うか、私達それなりに崇められたりしてましたので・・・。」


「威厳を出して発言していたと?」


「あぅぅ・・・。」


 耳を赤くしワカが顔を両手で覆う。

 その様子がアスタのツボだったようで、キャーッっとワカを抱え再びクルクル回っている。

 確かに可愛かったけど。


 結局その日はクロも呼び出し、四人で家族団欒? を過ごした。

 

 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


 明日はとうとう、魔術学院の入学式だ。

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