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魔族に拾われたので魔族の為に生きてみようと思います。  作者: トリ天
 1章 魔族に拾われて~幼少期~
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 10. 向いました!

 その日から、日中の戦闘訓練に、クロが参加するようになった。

 戦闘が得意と言うだけあって、レティとの訓練から使えるようになった体の細胞に魔力を流して、身体能力を爆発的に上げる戦い方にも、難なくついて来る。


 クロが言うには、まだ残りの7柱に魔力を供給してるから、ついて行けてるだけですと言ってくれるが、やっぱり強くなった様な気がしていただけに、どことなく悔しかった。


 クロが僕の元へ顕現してから、座学では魔法の勉強をしているが、あまり実技での魔法の勉強をしなくなった。


 アスタは魔法の根本は既に教えてるから、上位だろうが下位だろうが、詠唱を用いる様な普通の魔法なら、今は練習の必要すら無いと言う。

 僕的には消化不良だが、アスタがそう言うのなら仕方ないと、知識を詰め込む為、書庫で本を読み漁り、クロと近接戦闘による肉体強化に精を出した。


 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


 あっと言う間に、時間は過ぎ、とうとう明日は魔王と会う日だ。

 アスタは構えなくて良いと言うが、やっぱり緊張する。


 魔族側に付いているとはいえ、何が魔王の癇に障るか分からない。僕がどうこうされるだけなら良いけど、下手をすればアスタの評価が下がってしまうんじゃないだろうか? 最悪アスタが罰でも受けたらどうしよう・・・。


 考えても仕方のない事だが、どうしても考えずには居られない・・・。

 隣で寝息を立てる、クロの頬を突きながら睡魔に襲われるのを待っていた。


 ギィィッ――――

 部屋のドアが開く音がする。


「セイ、起きてるか?」


「うん、アスタ・・・どうしたの?」


「お前の事だから、色々と考え過ぎているのではないかと思ってな。」


「別に考え過ぎては、無いよ・・・。」


「なら良いが、・・・今日は一緒に寝ようか。」


 そう言うと、アスタが、ベッドに潜り込んで来る。

 僕とクロの間に入り、とても満足な表情を浮かべる。


「しかし、クロは寝る時、いつも裸だな。」


「最初は着てるんだけどね、途中で脱いじゃうんだ。寝相は良いんだけど、面白いでしょ?」


 アスタに腕枕をする、アスタはこちらに背を向け、クロで遊んでいる。

 アスタの背中に体を付け、胸元に手を伸ばす。


「こら、セイ、クロが寝て・・・んっ。」


 クロを起こさない様に声を押し殺し、お互い快楽に身を委ねていった。


「セイ、ちょっと激しかったぞ。最後は声を出さない様にするのが大変だったんだからな。」


「ごめんね、アスタにいっぱい気持ち良くなって欲しくて。」


 アスタがこちら向き僕の頭を撫でる。


「大丈夫だ、セイ、愛してるよ。」


 アスタの言う愛してるは家族としてなのか、異性としてなのか分からないが、今は都合の良い方に取り目を閉じ眠りに落ちた。


 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


「じゃあ、行って来るから。」


 アスタ城の前でクロに向け手を振ると、笑顔で振り返すクロ。

 しかし、歩き出すとぴったりとついて来る・・・。


 振り返るとクロがニコニコと微笑む。


「ん~、クロ? どうして後ろに居るのかな?」


 小首を傾げ、キョトンとするクロ。


「クロはお留守番なんだよ?」


「・・・、えぇ~!?」


 なんだよ、その今聞きましたみたいなリアクション、何度も言ったじゃないか・・・。

 僕達のやり取りを見かねたアスタが、横から口を挟む。


「クロ、今回は我慢してくれないか? 連れて行きたいのはやまやまだが、一応名前だけとは言え、魔王城だからな、招待されてない者を連れて行けないんだ。」


 アスタに無理と言われ、最後の希望を断たれ俯くクロ。

 何かを思いついた様で、急に顔を上げ口を開く。


「・・・!? 姿が見えなければ良いんですよね? 主っ!」


 そう言うと、クロの体が光る球状になり、スゥ~っと僕のお腹に入って行く。


「なんだ、クロ、こんな事も出来るのか!?」


 アスタが目を輝やかせる。

 本当に子供がお腹に入った様な気分で、テンションが上がっているアスタとは反対に、とても複雑な気分になった。


[主ぃ、そんな複雑な気分にならないで下さいよぉ、でも、これなら一緒に行っても大丈夫じゃないですか?]


「心の声聞えてるのかよ!? どうしよっか? アスタ。」


「ん? 何がだ?」

 

 クロの質問に対して全く反応を示さないアスタ。もしかして、僕の中に入ったら外に、声は聞こえないのか・・・。


[そうですね、外部に向けて発声する器官がないですから。]


「アスタ、クロがこの状態なら、一緒に行って良いかって言ってるんだけど。」


「なんだ、中に入ってしまうと、クロの声が聞こえるのはセイだけか・・・。つまらないな・・・。まぁ、その状態なら、気付く奴もほとんど居ないだろうからな、仕方ない許可しよう。」


 自分だけクロの声が聞こえない事が残念なのだろう、ガックリと肩を落とし、大きく羽を広げ僕を抱える。


「ねぇ、アスタ、前も聞いたけど、魔王さんってどんな感じなの?」


「ん~、そうだな、無駄に羽が多くて、無駄に顔の良い、ちょ~っとだけ、強い奴だ。」


 何て言うか、全く想像が付かない。アスタの話だけを聞くと、随分無駄の塊に聞えるんだけど・・・。

 想像が付かない為、緊張をほぐすには値しなかった。


[主っ! しっかりして下さい! いざとなればぶっ飛ばせば良いんですよっ!]


「無茶言うなよ・・・。」


 急に僕が独り言を発した事にアスタが反応する。


「ん? クロが何か言ってるのか?」


「あっ、あぁうん、緊張しなくてもいざとなったら、ぶっ飛ばせば良いとか言ってる・・・。」


「ぷっ、あはははっ、面白いなそれ、セイが、今の調子で成長すれば、数年後にはいけるかもなっ!」


「アスタまで何言ってるんだよ、まったく・・・。」


「まぁ、これが、冗談でも無いんだよなぁ・・・」


 最後にボソッと呟いたアスタの言葉は、風に消え、誰の耳にも届く事は無かった。


 少しの間クロの言葉を伝えつつ、雑談に花を咲かせた。


「ほら、見えて来たぞ!」


 山の山頂付近に巨大な城があるのが、視界に入る。


「何て言うか・・・、禍々しいね。」


「まぁ、人間と争っていた時から、建替えて無いからな、見た目は重要だろ?」


 畏怖の対象としての建築物か・・・。

 それとも、他に害が及ばない様に、的として目立つようにした建築物なのか・・・。


「よーし、そろそろ降りるぞ。」


「ん? アスタ、もうちょっと距離あるよ?」


「あぁ、それも戦争中の名残だ。投石とか、しょうも無い攻撃を打ち落とす魔法が張られてるからな、躱せない事も無いけど、もしセイに当たったら嫌だからな。」


 森のど真ん中に降り立つ。

 キョロキョロと辺りを見回すと、アスタが手を振り払う様に、左右に振る。

 次の瞬間ミシミシと音を立て木が不自然に避け、城までの道が開ける。


「凄い・・・。」


「流石にここは結界を張ってるからな、これをやらずに迷ってしまうと、結界自体を破壊しないとほぼ抜ける事が出来ないからな、さっ、行こう。」


 魔王城へ向けアスタに続き、走り出す。

 それなりに、スピードを上げ走ったお蔭で、苦になる様な時間は掛からず、見上げる程の巨大な門に辿り着く。


「セイ、開けてくれるか?」


「うーん、えっと、これを?」


「そうだ、これを開けれない者は、中に入る資格がない。」


 ニコニコしながらアスタが驚愕の言葉を発する。

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