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銀の弾丸  作者:
6/22

それって、つまり…………。

章と申します。


銀の弾丸、第6話です。

本作を読んで下さっている方、ありがとうございます。


処女作『銀の弾丸』

楽しんで頂けたら幸いです。

 幹貫の催促を聞いて、神山が俺たちに声をかけた。


「そうですね。そろそろ成果の交流をしましょう。」


 幹貫の成果は一目瞭然の為割愛。というわけで、報告は俺からとなった。


「デスク自体には特に気になることはなかったな。ただ、引き出しの中には鍵束があった。とんでもない量の鍵があるから、基本館内全ての部屋のドアが開くと考えて良いと思う。

 それと、デスクには本が2冊乗っていた。1冊は日記。もう1冊は研究資料だな。どちらもこの館の主人が書いたと思うぞ。

 日記帳に書かれていたイニシャルはK。苗字か名前か。或いはどちらでもないかもしれないがな。一応これも報告しておく。」


「ありがとうございます。では、今後この館の主人のことはKと呼ぶ事にしましょう。正直、呼び方が無いので困っていたんです。」


「ああ、分かった。日記によると、ここにまだ人が住んでいた時代、世界中で吸血鬼が大量に発生するという異常事態があったらしい。無論、ここにも例外なく押し寄せてきたそうだ。その際、Kの一人息子のユウという少年が襲われたらしい。12月4日の事だ。」


「そうなんか……。それでこの館、所々床が黒ずんどったんやな。あれは汚れやのーて血ぃやったんか。」


「かもしれないな。……ところで、吸血鬼には、血を吸った相手を吸血鬼に変える奴もいるんだと。ユウを襲ったのがまさにそれだったようだ。」


「それって、つまり…………。」

「流石神山。察しが良いな。」


 ここで俺は一旦言葉を止めた。息を少し吸って、大量に吐く。俺がこの事実を知った時には、かなりの衝撃を受けた。コイツらはどんな反応を示すのだろうか。


 緊張によって乾いた口内を唾液で軽く湿らせ、努めて冷静に言葉を紡ぐ。


「ユウはその後、人間として生きる事は叶わなかったそうだ。」


その場を覆い尽くす沈黙。ただ、幹貫が一言、「マジかよ……。」と呟いたきり、全員が口を閉ざしてしまった。

俺は謎の重圧に抗い、喉を震わす。


「こ、ここで資料の話と繋がる訳なんだが。この資料の束は、吸血鬼を人間に戻す方法についての研究結果だ。」

「戻したかったんやろな。自分の息子さんを…………人間に。」


 そう考えるのが自然だろう。Kが吸血鬼について研究を始めたのも、日記によればその直後のようだ。


「なあ、そのユウって奴は、人間に戻れたのか? 」


「さっきも言ったが、ユウはもし生きているとしたら、未だ人ならざる存在だ。戻す方法についての研究を断念した日の日記には

『研究の結果、吸血鬼を人に戻す事は不可能だと思われる。息子はもう戻らない。

本来、吸血鬼に成り果てた人間は速やかに葬るのが鉄則である。しかし、私はこうしてユウが吸血鬼となってからも長きに渡り研究を行ってきた。つまり、既にその掟に逆らった身だ。どうせ既に逆らっているのならば、私の死の瞬間が訪れるまで少しでも長く息子と過ごしたい。そう考える事は罪であろうか。……息子を少しでも脅威から遠ざけねば。

息子は絶対に殺させない。その為に私が為すべき事は、吸血鬼の習性や弱点を模索することだ。』

と書かれている。」


「それでこの本棚、吸血鬼に関する資料ばかりが並べられていたんですね。」

「そうだったのか。なら、吸血鬼に関する情報も比較的楽に得られそうだな。丁度、俺の調べた情報は以上で終わりだ。次に進めてくれ。」


 そう言って俺は神山を促した。

第6話閲覧ありがとうございます。

次話もよろしくお願い致します。



ユウが襲われた日にちはサイコロで決めました。

始めに振った時は4月61日という、訳の分からない日付になりました。

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