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銀の弾丸  作者:
2/22

なんかー…………迷っちゃったみたいっす☆

章と申します。


銀の弾丸、第2話です。

第1話を読んで下さった方、ありがとうございます。

皆様の期待に添えるか分かりませんが自分の精一杯で書きました。


処女作『銀の弾丸』

楽しんで頂けたら幸いです。

 おい、本上?

「あれー、おかしいっすねー? 」


 おい、本上。

「なんかー…………迷っちゃったみたいっす☆ 」


 みたいっすキラッ、じゃない。俺より遥か前方を歩く本上と、ついでにその隣にいる幹貫を日頃の恨みを込めて睨みつける。


「はあ? おい蒼ぃ。じょーだんじゃねーぞ! 何やってんだよ。」


 む、珍しく幹貫と意見が一致した。このなんとも言えない屈辱はなんだろうか。……別に俺が変なのではなく、アイツが珍しくまともだっただけなのだが。


「あ、でもでも、安心して欲しいっす。ほら、あそこ‼︎ 」


 …………おい、本上よ。まさかとは思うが


「なあ深海。本上、あの建物で雨宿りしようとか言い出すんと違うか? 」

「……そのようだな。」


「深海は幽霊とか、妖怪とかって信じるか? 」

「別に存在の否定はしないし、極端に怖がる訳でもない。だがまあ、積極的に関わりたいとは思わないな。」

「おれと一緒やな。ほんで深海。自分はあの建物をみて近寄ろう思うか? 」


 そう言って皆川が指を指した先に俺は目を向ける。そこには黒一色で造られた大きな建造物が建ち構えていた。

 かなり立派な洋館だ。もしかしたら昔は大層な大金持ちなんかが住んでいたのかもしれない。これだけならば「おやまあ、なんと立派な館だろう。」の一言で済んだ。


 しかし、何年も手入れされずに放置されていたのであろう庭は荒れ果て、窓硝子や塀はヒビが入り、挙句外壁には蔦が絡む始末。更には夕方の森という条件が加わって、何とも言えない雰囲気を醸し出している。


 つまり、まあ普通に考えて……


「あまり近寄りたくありませんね。」

「うお、急に会話に入ってくんなや。びっくりするやん。まあええ、そんな事より、や。見てみ。入ってくで、あの2人。」


 ……何だって?


「ねぇ‼︎ キョン、ミト、グル! 早くしないと雨、降るっすよ‼︎ ユッキはとっくに入ってったっすーーー‼︎ 」

「その変なあだ名はやめてくださいと前にも……ではなく! 本当にそんな所に入るんですか⁉︎ 」



ザァーーーーーーーーッ‼︎



 瞬間、突然の大雨。加えて閃光、轟音。嵐か? おい、さっきまでの夕日はどこへ行った。


「うわ、こらあそこにお邪魔するしかなさそうやなあ。」

「……そのようですね。仕方がありません、急ぎましょう。」


 一瞬にして闇と化した森を駆ける。途中、俺は思っていた事を神山に伝えた。


「神山よ、あだ名に関してはもう諦めた方が楽だぞ。」

「え? 」


「唯でさえお前には普段、あの本上に休み時間、勉強を教えるという義務があるんだ。呼び方位妥協しないとお前の負担が増えるだけだ。」

「…………そうします。」



 神山と本上は現在同じ学級である。その為か、神山の成績を知った本上に勉強を教えてくれと突然頼みこまれたのだそうだ。実際に俺も2人が机を挟み、真剣に話し込んでいるのを何度か見ている。学習をする姿勢は素晴らしいのだが、何せ本上は筋金入りの馬鹿なのだ。いくら神山でも骨が折れるだろう。


 そういう意味では学習意欲のない馬鹿の方が助かるかもしれないが……課題提出直前に突然ノートを写させろとせがまれるのもなかなかに厄介だ。


 俺と幹貫の事である。

 俺とアイツはどういう嫌がらせか、中学校で知り合って以来4年間ずっと同じクラスなのである。これはもう精神的苦痛として訴えてもいいのではないだろうか。


 因みに俺が高校で初めて知り合ったのは、神山、皆川、本上だ。皆川は学級、また班編成が同じで、何かとよく話すようになった。


 神山は皆川の中学時代からの知り合いらしい。また、幹貫の小学生の頃の知り合いでもあるそうだ。中学校は別らしいが。


 神山と皆川は最近では珍しい中学単体の私立校出身らしい。入学試験の上位2名が神山、皆川だったのだそうだ。どちらが上だったのかは教えてもらえなかったが。俺か?ほぼぴったり平均だ。断じて低くはないぞ。


 ……話を戻そう。


 本上の話だな。コイツに関しては正直、いつの間にかいた、と言うのが正しい。なんでも、呼び出しを食らった際、生徒指導室の場所が分からず、たまたま近くにいた幹貫に場所を尋ね、案内される間話していたら意気投合したんだと。


 まあ、こういった謎と偶然の重なる縁があってこの5人で行動する事が増えたのだ。


 ……その結果がこれなのだが。



 この島にいつの間にか連れて来られていた理由は分からない。だからコイツらが悪い訳ではない事は分かっているのだ。だが、少なくともあんな屋敷に入る事になったのはコイツら、主に本上の所為だ。ついでに全ての責任を被ってくれても良いだろう。


 誰かの所為だと思っておかなければやっていけない位には、この不可思議な状況に参っていた。



 小さく溜息を吐いて顔を上げる。そこには扉を開けて待っている神山の姿があった。いつの間にか2人から随分と遅れを取っていたみたいだ。


 強くなる雨足に比例するように、俺は走る速度を上げて屋敷に駆け込んだ。


 乱れた呼吸を整えながら屋敷の中を見渡す。



 その背後で、大きな音をたてて軋みながら扉が閉まった。

第2話閲覧ありがとうございます。

次話もよろしくお願い致します。



一向に話が進みません。

今の所唯の森探検しかしていないですね。

その内花咲く森の道でクマさんに出会ってしまいそうです。

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