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銀の弾丸  作者:
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そんな事よりここはどこだ。

お初にお目に掛かります。

章と申します。


執筆のイロハも知らない素人ですが、

何卒よろしくお願いします。


処女作『銀の弾丸』

楽しんで頂けたら幸いです。

ーーーーーー起き………生き……のかよ?…………っかりしろ、鏡夜(きょうや)‼︎




パァーーーーーンッ‼︎



「ぐ⁉︎……何だ?」

 突如、鼓膜の側で響き渡ったその音に驚き目を覚ました。頰が熱を持ち始める。……痛い。


「お、鏡夜‼︎ 良かったー、気が付いたか! いやー焦ったぜ。おーい、皆!鏡夜、無事‼︎ 」


 ……状況がよく分からない。

 だが、今はそんな事よりコイツが煩い。恐らく仰向けに倒れていたのであろう俺を抱き起こした体勢のまま叫ぶ。即ち口は耳元。

 近くに誰もいない事から察するに俺の左頬の痛みの原因もこの男なのだろう……許さん。


「おい、幹貫(みきぬき)。俺が無事なのは伝わった。だから叫ぶのを直ぐにやめて俺を離せ。」

「お? おぉ、わりぃわりぃ。ほらよっ。」


 はあ、やっと視界が開けた。男子高校生が2人で抱擁なんて見れたものじゃない。見苦しいにも程がある。


 そんな事よりここはどこだ。


 俺の目に飛び込んできたのは一面の青。……海? いやいや、そんな筈はない。俺たちが住んでいる場所から海は見えない。360度見渡しても山、山、山。そんな場所だ。だが、それならこれは?

 そこで、はたと気付く。俺が身に付けている制服が砂塗れになっていた。砂浜に寝ていたのだから仕方がないのかもしれないが、流石に勘弁して欲しい。


「なあ幹貫。ここ、どこなんだ? 」

「え。んーーーー、島? 」


 頼む幹貫よ。もう少しましな回答は出来ないものか。


深海(ふかみ)くん、目が覚めたんですね。」

「お、チビー‼︎ 戻ってくんのおせーよ。」

「チビじゃないです。幹貫くんが大きすぎるんですよ。……でも兎に角安心しました。君が一番起きるのが遅かったんですよ。」

「ああ、そうだったのか。迷惑をかけたな。」


 やっとまともな会話が出来た事に、俺は割と本気で感動した。まあ、幹貫が話通じないのは今に始まった事ではないから、半分……いや3分の2位は諦めている。良いやつではあるんだがな。


 というか、ここにいるのは幹貫だけでは無かったのか。


「いえいえ、お気になさらず。」

「そうやでー。神山(かみやま)はぶっ倒れとる深海見つけてアワアワしとっただけやからな。海から引っ張り上げたんはおれや。」

「そうか、助かった。恩に着るぞ、皆川(みながわ)。」

「いやー、そう面と向かって感謝されたら照れるわぁ。まあ気にすんなや。皆家帰って自由に過ごしとったんに、気づいたらこないな所放り出されとる。こら明らかに異常事態や。助け合わんとな。」


 おお、何も質問していないのに大まかな状況が分かってしまった。皆川、お前がいて本当に助かったよ。

  心の中で手を合わせる……ありがたやー。


「ま、オレも手伝ったけどなー!」


 さいで。


「何言うてん幹貫。自分はでっかい声でファイトー言うてただけやん。」


  …………さいで。


「そんな事よりも、皆さん本上(ほんじょう)くんを知りませんか。海を目の前に、はしゃいでどこかへ走って行ってしまって。それきり戻って来ないんです。」

(あおい)? やーオレは知らねー。透真(とうま)、知ってるか? 」

「いや、おれも知らんなあ。ま、本上の事やから野生の猿とかと仲良おなってそうやけど。」


「ねぇーーーー‼︎ キョンの目ぇ覚めたぁ⁉︎ 」


 噂をすれば何とやら。猿の友達のお出ましだ。


 ん?本上のやつ、何か手一杯に抱えてないか?あれは、果物、だな。


「ああ、心配かけたようで悪かったよ。そんな事よりも、だ。その大量に手に抱えているものは何だ? 」

「果物っすよ。」


 本当に真剣に。悪意のない顔でコイツは言い放った。……コイツの頭の中は一体どうなっているのだろうか。もし機会があれば是非一度、中を覗かせて欲しいものだ。


「そんな事は見ればわかる。いつ、どこで、どうやってそんなに手に入れたのかを聞いているんだ。」

「ああ、そーゆーことっすね。そうなら、そう言ってくれればよかったのに。キョンの言葉はいつもちょっと説明が足りてないんすよ。しょーりゃく禁止っす。……ああ、フルーツの話だったっすね。おれ、起きた後すぐ森の中入ってったんすけど、折角だし何かゲットしようと思って探検してたら、ゴリラがね! くれたんすよ‼︎ すごくないすか⁉︎ 」


 ……皆川よ、お前の予想、当たらずとも遠からずだぞ。


閑話休題


「つーか、マジでこれどーなってんだよ。オレ家帰って飯食ってたんだぜ? 何でここに居んだよ⁉︎ 」

「あ、おれもおれも! 帰ってゲームやってたらーいつの間にかこんなとこにいたんすよねー。」


 お前ら揃いも揃って、帰ってすぐ何やってるんだ。だから課題の提出が間に合わないんだろう。取り敢えず、もう泣きつかれても写させないことにするか。


「僕も幹貫くんや本上くんと同じような状況でした。塾へ行く途中、急に意識が遠のいてしまって……。気が付いたらここに倒れていた、という感じです。」


 道路で倒れたのか⁉︎ それは、なんだ。よくぞご無事で。


「何やそれ⁉︎ めっちゃ危なかったやん。体何ともないんか? 」

「はい、お気遣いありがとうございます。幸い車通りの少ない道だったので。」

「そらホンマに不幸中の幸いやったな。ああ、おれは帰って楽な格好に着替えとったんよ。ほんでその後課題やっとる時にクラッときてなあ。せやから今ジャージやねん。ホンマ着替えとーて敵わんわ。」

「皆川、ジャージはまだ良い方だぞ。俺は下校中だったから制服のままだ。」


「ははっ。そらご愁傷様。」


 他人事だと思って……いや、他人事だもんな。


 にしても、何だ? 俺たちが揃って同じ状況でこんな島にいるなんて。……夢? それにしてはあまりにも現実味がありすぎて…………


「雨‼︎ 」

「は? いきなり何だよ蒼。」

「いやー何か、めっちゃ雨の匂いしないっすか? 多分もーすぐ雨降るっすよ‼︎ 」


 ご冗談を。と笑いたいところなのだが、どういう訳か本上の勘は気持ち悪い位に当たるのだ。そう、気持ち悪い位に、だ。

 動物との意思疎通、未来予知。もしかしたら本上はもう人間じゃないのではなかろうか。


「さっき、森の探検した時に、建物があったんすけど、そこで雨宿りしないっすか? おれ、濡れるの嫌っす。」

「そうですね。風邪をひいても困りますし……。」

「じゃー早く行こうぜ。蒼、案内しろよー! 」

「りょーかいっす! ちゃんと付いてくるんすよー。」



 そうして俺たちは森の中へ駆け出した。

なるべく早く更新できるよう頑張ります。

次話もよろしくお願い致します。



余談ですが、タイトルは『The Silver bullet.』と迷った末に今のものにしました。

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