表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デトきしっ!  作者: むこーむこ
1/3

⓪ an opportunity

 扉はピンク色のペンキを反射しててらてらと輝いていた。


「は、入りますか」

「……うん」


 部屋もまた照明でピンク色に染まっていた。

 おそるおそる足を踏み入れると、まず視界に飛び込んできたのは巨大な丸型のベッド。

 枕側にはいくつかのスイッチがあり、あれを押すと照明が切り替わったり、ベッドが回転したりするのだろう。

 やばい、生唾が止まらない。


「え、ええと。じゃあ」

「さ、さっさと終わらせましょっ!」


 ぎこちない雰囲気を変えるように、少女は青年より先に部屋の奥へと進んで、ベッドの上に飛び込んでいった。

 しかし仰向けに体勢を変えた瞬間。


「わっ、な、何よこの天井!」


 少女はそう叫んで、枕で顔を覆う。

 見上げると、ベッドの上で恥じらうように身をよじる自分の姿が天井に映っていた。


「か、鏡張りなんて一体世の中の男女たちはどうしてこんなところであんなこと―――――もーっ、炎の魔法で地球ごと浄化してやろうかしらっ!」

「おいおい、お前が魔女になってどうするよ……」

「だって……」

「やっぱりお前の家でやるか?」


 青年は先ほど一度引っ込めた提案をもう一度伝えた。

 しかしその少女はかぶりを振って拒絶する。


「そ、それは無理ッ! だってさっき旅から帰ってきたばかりだから散らかってるし……」

「そんなの気にするかよ」

「私が気にするのッ!」

「……じゃあこの部屋でいいのか?」


 念を押すように訊ねる。

 すると少女は顔を隠したまま、こくりと頷いた。


「……分かった。じゃあ始めようか」


 こんな所にいつまでもいたら、さすがの俺も理性が吹っ飛びそうだ。

 妹のイイも帰りを待ってることだし。


 ……さっさと終わらせないとな。


 脱いだ上着をソファに投げ、ベッドに片足を上げる。

 ギッ、とベッドの中のバネが軋む音。


「ちょ、ちょっと待って」

「……何だよ」

「その前にシャ、シャワーを」

「問題ない」

「で、でもっ! 私、ホント一時間前に帰ってきたばかりだから汗とか」


 青年から逃げるようにしてベッドから離れる少女。

 しかし、浴室のドアに手が掛かる前に、青年の手が少女の肩を掴んで引き戻した。


「きゃっ! な、何すんのよ。こ、この変態ッ!」

「うるせえ。余計な時間を掛けたくないんだ。じっとしてろ」

「何よっ! もしかして、あんた私に変なことする気じゃないでしょーねっ!」

「やるかよ、んなこと!」


 口論はすぐにもみ合いへと発展していった。

 やがてベッドに倒れ込み、少女の上に青年が覆いかぶさる形になる。


「もう、何すんのよ……え?」

「あ……」


 鼻先が触れあう距離でお互いの視線が交差する中。

 少女は自分の右の胸部が圧迫されていることに気付いた。

 自分の真上にいる青年の手によって。


「わ、悪いっ!」


 慌てて手をのける青年。

 しかし少女は無反応のまま、自分の胸を手で覆い。

 そして一言――――


「――――滅殺」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ