4話 オウマさんと出会う
どうも、ジャックです。
今日は非番です。
街ブラしつつ晩の献立を考えるのも乙なものです。
今日の朝飯はパン!
食べ方はこうだ。
オリーブ油ににんにくと唐辛子を入れて軽く炒めて火を止めてからバジルと胡椒を加えたやつにバゲットを着けながらバリバリと。
紅茶と目玉焼きも忘れずに。
うむ、今日も口の中が痛い、でもうまい。
ばりばり、もしゃもしゃ。
ご馳走様でした。
さあ、出かけるか!
~~商業区~~
今日も大通りは賑わってるな。
いつもよりちょっと騒がしい気もするが・・・。
「おやジャック、今日は非番かい?」
「おす、おばちゃん。
今日なんか騒がしい気がするけどなんかあんの?」
「何言ってんだい、勇者様だよ勇者様。
昨日、ここらに来てたんだとさ!
今日はその話題で持ちきりさね。」
「ああ、昨日外門で見たのはその帰りか。」
「お、勇者様見たのかい?」
「チラッとだけどね。
かなり若そうだったけど、どうなんだろうね?」
「あたしが聞いた噂でもそんなんだったねぇ。
勇者様が来たってのがちょうど帰ったあたりでねぇ・・・。
直接見れなかったのさ。」
「ありゃま、そりゃ残念。
あ、おばちゃん、玉ねぎ一袋お願い。」
「あいよ、毎度あり。」
「そんじゃまた。」
軽く手を振って店を後にする。
勇者様ねぇ、確か男二人に女一人だったか・・・。
下世話な話も出てそうだな・・・。
ま、がんばってくださいよってな。
さて街ブラ街ブラ。
昼の鐘がなった。
小腹がすいてきたと思ったら昼だったか。
さて、どうしようかね。
と、思いながら飯屋通りを見ながらウロウロしてたら飯屋通りの端まで来てしまった。
我ながら決め切れんもんだ。
今日は何の気分だ?
麺か米か、軽食で済ますか・・・。
そういえばこの辺に噂で聞いた米料理の店があったような?
探してみると、あった。
ふーむ、米を炒めてるっぽいが。
よし、ここにしよう。
~~炒め飯チャメシ~~
最近の新店のネーミングセンスはどうなってんだろうな?
さて、何があるのかなっと。
ほう、にんにくと肉の炒め飯か・・・旨そうだ、これにしよう。
「すいませーん。
これお願いします。」
「はい、にんにく飯ですね、少々お待ちください。」
わくわくしてきた。
「はい、お待たせしました、にんにく飯です。」
「どうもー。」
では、楽しみますか。
見た目はこんがりカリカリに焼いた肉と肉の脂でつやつやした米。
そして立ち上るにんにくの暴力的な香り。
これは、たまらん。
基本は塩味だが、肉の脂と香辛料で旨みが出ている。
そしてなんといってもにんにくだ。
空腹時に嗅ぐにんにくの香りは完全に暴力だ。
いくらでも食える気になる。
まあ、非番だから気にせず食えるけど。
ふう、堪能した。
「ご馳走様ー。」
「ありがとうございます、200エルになります。
はい、確かに。
またどうぞー。」
ふう、うまかった。
真似して今度作ってみよう。
ちょっと材料費はかかりそうだけど。
あとは道具屋行ったら一杯引っ掛けて帰ろう。
~~道具屋~~
「ちわー。」
「お、ジャックじゃないか、いらっしゃい。」
「冷蔵庫用の魔石が切れそうでさ、あと砥石探しに来たんだけど。」
「あいよ、魔石は中でいいかい?」
「よろしく。
砥石はナイフ用だからコンパクトなやつで。」
「あいよ。
そういやジャック、昨日勇者様がこの辺来てたって聞いたかい?」
「ああ、朝聞いたよ、それと仕事中城門のとこで見たよ。」
「なんだ、見たのか。
じゃあ、何してたかは聞いたかい?」
「それは知らないな。」
「魔道具屋を回って飯食ってったんだってよ。」
「何だそれ?
勇者様って今城に住んでるんだろ、わざわざこっちで飯食ったのか?」
「なんでも、普通の飯が食いたかったそうだぞ?」
「よくわからんね。」
「まあ、勇者様だしな。」
「で、魔道具屋は?」
「それこそわからん、町中の魔道具屋を回って特に何も買わずに帰ったらしい。」
「何がしたかったんだろうな?」
「さてね。」
「そいじゃ、そろそろ帰るわ。」
「おう、毎度あり。」
さすが異世界の勇者様だ、俺らとはなんか違うんだろうな。
さて一杯引っ掛けて帰ろう。
~~居酒屋 熊の尻尾~~
行きつけの居酒屋に来たけど、今日は何か混んでるな。
「いらっしゃい、ジャック。
カウンター空いてるよ。」
「さんきゅー。
大将、置いてもらってるアレと煮込みよろしく。」
「おう。」
最近お気に入りの米酒を置いてもらっているのだ。
常連特権で。
ここの煮込みと米酒が合いすぎてしょうがない。
大将も米酒をメニューに載せるか検討しているそうだ。
お、来た来た。
「ほらよ。」
「きたきた。
じゃあ、いただきます。」
ここの煮込みは、実は謎が多い。
何度聞いても何の肉か教えてもらえない。
しかし旨い。
そんな謎の肉よく食えるなって?
旨いからいいんだよ。
「すいません。」
ん?
「それ、何です?」
隣の客が話しかけてきた。
「米酒ですよ。
特別に置いてもらってるんですよ。」
「へぇ、メニュー無いからなんだと思ってました。
あ、私、行商人のオウマと言います。」
「どうも、ジャックです。
ちょっと飲んでみますか?」
「いいんですか?」
「どうぞどうぞ、最近一押しでして、結構いろんな人に勧めてるんですよ。」
「では遠慮なく。
・・・おお、これはまたビールとは違いますね。」
「でしょう?
ここの煮込みと合いますよ。」
「これはたまりませんな。」
そんなこんなでオウマさんと話が合い軽く一杯のつもりが、結構ガッツリ飲んでしまった。
オウマさんは魔道具作りもしているらしく今日は自作の魔道具を卸しに来ていたそうだ。
また飲むのを約束して、各々帰路に着いた。
そのうち新作魔道具も見せてくれるそうだ。
うむ、いい出会いである。
今日も平和だ!
いまいち話が思いつかなかった。
行商人のオウマさん、いったい何者なんだ。