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っょぃ

世の中にはRPGゲームというものがある。

敵を倒してレベルを上げてドラゴンに乗って魔王を倒し、ついでにヒロインなんかもいたりして。

紳士淑女の諸君なら誰だって一度はプレイしたことがあるはずだ。

冒険の途中でプレイヤーはレベルアップやジョブ・転職システムなどを起点として様々な特技や魔法を習得していく。メ○、ブ○ザラ、ジ○ダインetc。


世の中にはチートというものがある。

冒険が始まったばかりの状態でラグナ○クを持っていたり、HPが9999だったり。

あれほど苦戦したボスとの戦いが何だったのかという程の虚無感を味わうことになるなど、チート自体には賛否両論の意見があるが、私はチート大好きである。大好きなのである。

大事なk(ry、とにかく使えるものは使ってしまえ。序盤で無双ヒャッハーである。

だからつまり何を言いたかったのかと言うと、


「フェアリーと契約すると、すごーく強くなれるんだよ!」


まさにこの一言に尽きる。


可愛いニナたんと契約した俺は、1歳にしてロリキャラ攻略という堕罪の十字架を背負うことと引き換えに強大な力を手にしてしまった。

波○拳?かめは○派?よゆーだよ余裕。鼻ほじりながら片手でレーザー(破壊光線)イケるわ。

最初は抑えが効かなくて窓から見える綺麗な北アルプスの山脈っぽいとこをラ○ュタの巨神兵バリにズバーンとかやっちゃったけど、やべぇ直れ!って手をかざしたら即効で直っちゃうし。

これをチートと言わず何がチートだ。幸いにも余りの高威力で音速の壁とかも超えちゃったみたいで誰にも気づかれることなくお山さんの偽装工作は無事に終わったよ!


でもよー、1歳児の時点でここまでのチートって夢が膨らむっちゃ膨らむんだけど、ここまで酷いともう逆になんか萎えてくるって言うか。定番のゴブリン退治イベントもバブーでチャーンな俺がやったら世間的に色々ヤバそうだし。


大好きなローラママンのおっぱいタイムの最中、ガレットの野郎が夜勤明けのハイテンションで無理矢理ローラたんを連れ去って励んでた時は思わずベッドの柵を握り潰しちゃったけど、それもすぐに「なおれなおれー」で修復したし。

前世の記憶があるからまだ致命的なオイタはしてないけど、これ普通に中身=年齢だったらエラいことになってるよな。事案ですよ事案!


でも大丈夫!なんたってジェントルだもん俺。チートだけどわきまえる。謙虚って大事なんだぜ?

世の中大体オラオラえばってる奴より謙虚で強かな奴がマネーを動かしてるって深夜のスカパーで言ってたしね!


だから謙虚な俺はママが忙しくて放置されても、大人しくフェアリーのニナたんと一緒にお人形遊びとシケこむ訳だ。最近は慣れてきたせいか多少は語録も増えてきたしな。



「じゃあ今度はポロロくんがそっちがわのくまさんのお人形さん持ってね」


「あい、わたったー!」



今もこんな感じに可愛い乳児をアクトしてる所なんだぜ。

そしてここで驚愕の事実。自然に会話が成り立ちすぎてスルーされると困るからあえて言うけど、

俺の名前ポロロなんだぜ!σ(゜∀゜ )オレポロロ!!


おいおい。ガレット、ローラと来てなんでポロロ来ちゃったよ!?

ぽろろって保育園の運動会の男子の短パンじゃないんだからよ!キラキラネームとかブッちぎって下ネタかよ!どっから来たポロロ!

いつか大きくなって大事な決闘前の名乗り上げとかで我が名はポロロ!とかやりたくねーよ。

魔法やらステータスはメーター振り切ってるけど名前って結構重要なファクターだって心の底から思い知ったぜ。

至福のおっぱいタイムの時にローラたんが「■■■~」「ポ■■くー■」なんて天使の笑顔で仰ってたのが「ポロロくーん」って俺の名前だったって気づいた時は、基本授乳中はスマイルを欠かさない俺でも一瞬真顔になっちまった。


時代を先取りし過ぎた感が溢れ過ぎて、本人の自我が枯渇しそうな名前だけど。

でもきっと何か意味がある名前で、ガレットとローラたんが愛を込めてつけてくれた名前だ。

甘んじて俺は命名ポロロを受け入れるぜ。


んでそんなポロロくんは今日も良い子にロリっこ妖精とキャッキャしてた訳なんだが、



「ズドンッ」



っと強烈な音と共に遊んでいたベッドから振り下ろされて、慌ててニナたんの魔法でふんわりキャッチされた。いくらチート持ちでもビビる時はビビるし、急に壁ドンならぬ地表ドンされれば気抜いてれば普通に吹っ飛ぶ。


自分のチートが衝撃的過ぎて何が起きても楽勝とか舐めてたけどこのズドンッはダメなやつだ。

下半身ヒュッとした。


ただいつまでもフワフワ浮いてても始まらないし、なんぞなんぞ?と窓の外を覗いてみるとストーリー終盤で出てくるボスっぽい悪魔が外でガレットとなんか睨み合いしてるし。



「貴様ッ、確かにあの時この手で魔核を切り裂いたハズなのに何故ここにいる!?」


「魔核が1つだけとは限らないですよ?勇者さん?フフっ」



風に乗せてニナたんが声を拾ってくれるけど状況から察するにガレットが撃ち漏らした奴が後を付けてて見事に魔族に家バレって感じか。



「魔核が2つあるだと?馬鹿な・・そんな奴今まで見たことが・・」


「自分の常識だけで全てを分かった気でいる。これだから人間は愚かなんですよ。驚いてるところ悪いんですけど正直魔核を潰されるのは想定外でした。放っておいて成長されたら十分に脅威に成り得る。危ない勇者さんにはここで退場してもらいましょうか」



魔族氏がそう言った瞬間、もんのすげえ黒いエフェクトが彼を覆って遠くから見てるだけなのにプレッシャーが半端じゃない。



「ポロロ!危ないよ!窓から離れて!」


「ぱーぱ!あうないっ!」



対するガレットもオーラに圧倒されて気を取り戻したのか戦闘体制に入ろうとするが、魔族のそれに比べガレットのオーラは余りにも弱弱しい。本来ならガレットも相当に強い部類に入るんだろうけど今回の敵は相手が悪すぎたようだ。俺だったらあんなのが出てきたら即土下座する。強い弱いじゃなく見た目でアウトです余裕です。そんなのを前にしても逃げずに必死に家族を守ろうとするガレットはまさに勇者。そのものズドンだ。ただ負けフラ立ちまくってる感が半端ないけど。。


余裕の表情で打ち合う魔族とは対照的に打ち合う度に目に見えて疲労が蓄積していくガレット。


とどめと言わんばかりに魔族の振り下ろした右腕から鋭い斬撃が放たれるが、ガレットも腐っても勇者だ。例のピカピカ剣で必中かと思われた斬撃を自らの左背後へと受流し、即座に死角となった右手から聖属性っぽい光弾を至近距離で魔族に連射。たまらず距離を置こうと後ろへ跳ぶ魔族に覆い被さるようにガレットの追撃のピカピカ剣が突き刺さる。


時間にしてその間わずか3秒弱だろう。やったか・・、movie endの文字が浮かびIGAAAAAAの流れになると思いきや胸にピカ剣が刺さっているにも係わらず余裕の表情の魔族氏。

いつから魔核は2つと錯覚していたドヤぁである。

さっきの攻撃で力を使い果たしたであろうガレットを左腕でまるで埃を払うかのように一薙ぎにするとトリプルアクセルでガレットが吹き飛ぶ。



「ガレットーー!」


「ぐ・・逃げろ、、ローラ・・。ポロロを連れて早くっ!きっとこの騒ぎで聖騎士団もすぐに駆けつけてくれる・・。ここは俺が抑えるから早くっ!」



玄関のドアの所から吹き飛ばされたガレットに駆け寄ろうとしたローラだが、ガレットのまさに命を削った怒鳴り声で我に返ったように身を引き返してドタンドタンと階段を上がってくる音がする。

もうテンプレ乙としか言いようが無いはずなのに身を削って家族を守ろうとするガレットに思わずポロロとかくだらない事を考えてる場合じゃない。

フェアリーのニナも焦った顔で救急車の用に羽を点滅させてピンチだよアピールが凄い。



そろそろか。


勿体ぶった意味も分からんけど、なんやかんやで信頼してたガレットも押されてるしこのままじゃ一家全滅してしまう。



「ス○ラ!プロ○ス!ラ○カジャ!!」



前世の言葉だから隣で飛んでいるニナには何を言ってるのか分からなかっただろう。

ローラを遠ざけ単身向き合うガレットに魔族の斬撃が届こうとするその刹那、だが俺の詠唱の方が僅かに早かった。袈裟懸けに切られたであろうガレットの周りに白いオーラが浮かぶと同時に当たるはずの斬撃をまるで霧のように触れた端から扮散させる。


でもでも俺の厨二パワーはこんな所で終わらない。

威力は5兆、距離は260m、弾速はマッハ2千!よし、それっぽい。

形状はトゲ!だとありがちだからグーパンでいいや。色は水色!水属性だ!うぉおおおお!!



「まぞぅ!あってぃいえー!!」 ※注 まぞく あっちいけー



額にイメージした第三の目からファンシーなショッキングブルーの拳骨が具現化し、キィィィンと甲高い音が鳴ったと思った瞬間、魔族氏の鳩尾に拳大の穴が開いた。速度設定がおかしかったせいかピンポイントに衝撃が収束して逆にダメージが少なかったのだろう。

だが魔族氏含めその周囲のモノに与えた影響の大きさは計り知れない。

魔族氏ぽかーん。戦ってたガレットぽかーん。ローラたんも可愛くぽかーん。

粉々に吹き飛ばしてやるつもりで放った一撃だったがよくよく考えてみれば結果オーライだったのかもしれない。未だ一歳児である我が子が自らが苦戦している相手をワンパンとかきっとガレットもローラたんもドン引き間違いなしだ。



ここだ。ここ・・。。

・・一番大事なのは今だろう。

魔族が余裕でティウン出切ることは分かったけど、ここから先の行動が俺のこれからの運命を左右する上で最も重要な場面だ。ローラたんに『うぇ・・ポロロキモたん』とか思われたら生きていけない。

イメージしろ。イメージ。


正義の味方・・・強そう・・・ピンチに現れて味方を救出・・・、

あと聖属性っぽくて見た目で一発で味方だと分かるようにして・・・。










「あ、貴方は一体・・?」


「グフッ・・き、貴様・・こんな間近に接近されるまでここまで強大な魔力に私が気付かないなんて・・」




ガレットと魔族氏の間に急に現れた謎の生物。

背丈は平均的な人間の大人サイズ。180センチもないだろう。ムキムキ属性のガレットの隣に立つとやや小柄にさえ見えてしまう。だがしかし其の放つオーラは底抜けに神々しく闘いの最中であったはずのガレットでさえ思わず膝をついてしまう。

全てを浄化するような圧倒的な存在。



『我は幼少なる存在より乞われ呼ばれし神。名は未だ在らず。邪なる者討ち殺さしめん者』



自称神様が右手をゆっくりと振り下ろす。

と、同時その動きに呼応するように魔族氏が頭から圧縮される。まるで見えない檻の中にでも入れられたかのように必死に騒ぐ魔族氏だがまさに圧縮としか言い表せないであろう見えない壁に上から垂直に押しつぶされていく。断末魔を叫ぶことすら出来ず魔族氏は消滅。神様パねぇ・・・。。


未だ唖然とするガレットを振り返ることもせず役目は終えたと言わんばかりに足元から消えていく神様。



『我を呼びし者よ、願わくば・・』



怖過ぎたので思わず帰って帰ってオーラ出してたら早送りで帰還して頂けたのだけれど、でもこれで俺がやったなんて誰も疑わないハズ!でもあれはあれでマズいよなぁ。怖過ぎ。





「どう?どう?どだったー?結構よく出来たでしょー?願わくば・・なでなでを所望するっ!」




・・ニナたん、あんただったのかよあれ。。。

超ビビッたよ。オムツ履いててよかったよ。



「ポロロくんは私が守るんだからっ!」



フェアリーって言う程可愛い存在じゃないみたい。





「い・・今のは一体・・・?」


「神・・さま・・?私達を守ってくれたの・・?」


「なぜ神が顕現なされたかのは俺にも分からないが、、助かったことに違いない。あのまま俺1人だったら確実にやられていた・・。ローラとポロロが無事で・・、本当によかった。俺達はパーティーを組んでもあいつを相手にするだけで精一杯で・・。最後は確かにこの手で魔核を砕いた感触もあったんだが、、魔核を複数持った魔族なんて数百年前に現れたAランク級の魔王以来確認されてないはずだ」



案の定途惑うガレット達だったが当たり前だろう。

俺もビビッたもん。それにしても魔王か・・。いつの間にそんなフラグ立ってたんだよ・・。

まず内政チートで周囲から色々強化して、チートっぽい必殺技の開発とかして、現代知識を駆使して日本食を再現とか・・、色々全部スッ飛ばしていきなりA級魔王クラスの出現かよ。

ニナたんのワンパンで沈んでくれたからよかったけどこの流れってどうなの?俺がフェアリーと契約してなかったらと思うとゾッとする・・。でもその辺も折込済みで魔族氏が派遣されてきたとしか思えねぇよなぁ・・。数百年ぶりとかタイミング良過ぎるもん。俺のチートに何かしら関係あるパターンだろうなぁこれ。




勿論ポロロ自身は自分が神に観察されているなんて知らないし、知る手段もない。

でも流石にここまで色々とイベントが重なると前世の記憶も手伝ってコレは何かある!と勘ぐってしまうのも仕方ないだろう。随分楽観的な性格になってしまったけれど、生まれ変わってからは何不自由することなく幸せな1年を送ってきただけに今回の魔族氏襲来は色々と刺激が強すぎた。

だが元々が不幸のドン底だっただけに、ネガる事に関して言えば前世から引継ぎもあって得意である。




ま・・まぁ魔王クラスも相手にならないフェアリーのニナたんもいてくれるし、何とかなんだろ!何とかならないと困る!とりあえず早く成長して色々動けるようになりたいけどこればっかりは頑張りようがないからなぁ。年をとるなんて前世は嫌な思い出しかなかったけど今は本当切実だよ!


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